1.聖女追放される
「セレナ・カタストロフ・ハッピーエンド。貴様との婚約を解消する!」
目の前にいるクソ王子ことバッカス・ギーテ・ハメーツがそう告げた。
パーティーの最中だと言うのに、この男は何を言っているんですかね?
周囲にいる貴族連中もザワザワし始める。
「最初からおかしいと思っていたんだ。聖女というだけで王族であるこの僕の婚約者になれるなんてね」
私もそう思います。
それに関しては私も疑問に思っていました。
いくら文献を漁っても、それらしいものが見つけられませんでした。
この国は代々聖女の刻印が現れた少女と、第二王子が結ばれるという謎の決まり事があります。
なので私も刻印が現れた段階で王城へと招かれ、悠々自適な生活をおくらせてもらっていました。
手に持つお皿からお肉を口に運ぶ。
うん、美味しい!
「君との婚約を解消するにあたって、その理由を教えてやろう。おい」
「ハッ! セレナ・カタストロフ・ハッピーエンド。貴女には以下の疑いがかけられている——」
王子の隣にいる騎士が何か言い出しました。
「恐喝、窃盗、万引き、傷害、横領、百合乱暴、覗き、詐欺、百合乱暴。以上の疑いにより追放処分とする!」
…………百合乱暴?
え、なに、百合乱暴って!?
「お、お待ちください! 私はそんなことした覚えがありません!!」
本当に身に覚えがありません!
私に女の人とどうこうする趣味なんてありません。
「黙れ。彼女が貴様にされたことを打ち明けてくれ」
クソ王子の隣に一人の女が近寄り、寄り添いました。
たしか……どこかの田舎貴族の娘だった気がしますね。
最近クソ王子と仲がいいとうわさされている女。
どちらにも興味がなかったので大して気にも留めていなかったのですが、私と敵対する気ですか……そうですか。
「彼女——ファム・ファタール嬢を僕の新たなる婚約者として迎え入れる」
「わかりました。それでしたら、私はこの城を去りましょう」
手に持つ皿をテーブルに置き。
振り返ると同時に涙を流しながら、パーティー会場を後にした。
これ以上ゴミカスの相手をするのは時間の無駄ですね。
出ていけと言うのなら、喜んで出ていきましょう。
◇
さて、この城から出ていっていいと言うのならさっさと身支度を済ませましょう。
去り際に嘘の涙を周りに見せたので、周りの連中は私への評価を下げることはないはずです。
部屋に戻った私は早速荷造りを始めました。
「アイテムバッグ〜」テッテレー
宝物庫から盗ん……借りたこのアイテムバッグは、その見た目からは想像もできないほどの物資を詰め込めるという代物となっています。
「たしか……500kgまで詰め込めるんでしたね。厳選しないといけませんね」
まず手始めに枕と毛布を入れます。
やはり眠り慣れた寝具は必須。
私は枕が変わると寝つきが悪くなるので使い慣れた枕はマスト。
次にくり抜いておいた壁を隠すための板を取り外し、城中から集めた換金できそうな物を詰め込んでいきます。
コレは王家の紋章が入っているからダメ。
コレは……OK。
銀製品の食器は溶かしてひと塊にするとして……金貨が思ったよりも少ない。
なんで?
散財した記憶は……ありますね。
すごくある。
無いものは仕方ない。
換金性の高い物をより優先して詰めていきましょう。
洋服も動き辛い物以外は全て詰め込……もう容量一杯ですか、そうですか。
服は後から買うことにしましょう。
アイテムバックに入らなかった品々を壁の中に戻し、板をはめ直す。
これで準備はOK。
服装を着替えて、私はそのまま自分の足で堂々と城を出ました。
城門の兵士が私に向かって敬礼しているので、ペコリと頭を下げてから歩き出す。
少し歩き。
城へと振り返る。
「いつの日か戻ってきますからね」
私はこの日——心に誓った。
「この私に濡れ衣を着せたことを後悔させてやる……!」
クソッタレな王子とあの女——ファム・ファタールをこの手で捻り潰す。
「待っていろ。必ず貴様らを叩き潰す。私のこの手で——!!」
これはとある聖女の物語。
濡れ衣を着せられ。
復讐を誓い。
世界の誰もが恐れる軍隊を作り出すまでの彼女の軌跡。
「さあ張り切って行きますよー!!」
セレナ・カタストロフ・ハッピーエンドはその第一歩を踏み出した。
更新ペースですが
「異世界転移は草原スタート!?〜勇者はお城でVIP待遇、俺は草原でサバイバル〜」
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「異世界ニコチン酒道〜《無限嗜好品供給》スキルと共に第二の人生を謳歌するつもりが、ヤニカス天使と酒カス天使がついてきた件。え、返品不可?〜」
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「自称・極悪聖女、我が道を行く〜私に罪を擦り付けた奴らを潰すために軍を作ります。集え! 我が御旗のもとに!〜」
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「エクス・マキナの操縦士〜元世界王者は、事故の起きなかったIFの身体で神速を刻む~」
の四作品を1話書いたら次、という形でローテーションしているので、少々お待ち下さい。
更新を待ってる間、他の3作品を読んで頂けると作者が喜びます。




