12 出会い2
ギルドが開く時間になり、オレはさっそく中に入った
一番乗りである
すぐに受付に向かって歩き、いつもの嬢の前に立った
「あら、今日は早いのね」
「うん、たくさん依頼、受けるから」
オレは手当たり次第に討伐依頼を受けた
あの異世界人を討伐してからオレのランクはCまで上がっていた
受けれる討伐依頼も増えている
今日受けたのはアンデッド系の魔物の討伐依頼
幽霊やらゾンビやら、映画の世界の話だったが、この世界ではどうやら現実にいるらしい
まずは墓地に出るゾンビとゴーストの討伐
こいつらは光の魔法や聖水を付けた武器でしか倒せないという
まあ大丈夫だろう。オレにはこれがあるし
手からのこぎりを出して、仕舞い、鉈を出して、仕舞い、斧を出して、仕舞った
「なぜ斧が、出せるように、なったんだ?」
オレが以前の世界で使っていた武器はのこぎりと鉈だけだった
それが斧が増えた
トマホークと呼ばれる部類の手斧で、投げるのにも便利だ
斧を今までずっと使って来たかのようにクルクルと回し、空中に投げて受け取り、さらにクルクルと回して仕舞った
「だけど、これは使いやすい」
ゾンビやゴーストにこれが効くかは分からないが、存在するなら消せる
夜に行けばいいのかと思ったが、どうやらここの墓地はカタコンベタイプらしい
地下にある墓地であるため常に薄暗く、かがり火くらいしか光がない
オレの得意とする場所だ
薄暗い場所はなぜだか落ち着く。憎しみや怒りもおさまるくらいに
「さて行くか」
地下墓地を目指し、オレたちのいる家と反対方向の出入り口に行く
その出入口付近に地下墓地の入り口があるらしい
看板があったためすぐに見つかり、入り口にいた管理者に話しかける
「おお、あの依頼を受けてくれたのかい。それにしてもこんな小さなお嬢ちゃんがCランクとはねぇ。ともかく危ないと思ったらすぐ引き返すんだよ」
管理者のおじいさんは優しくそう言った
お礼を言ってから地下墓地へ入って行く
おじいさんが言うには、墓地の最下層にアンデッドたちが出るらしい
彼も襲われたが、一緒にいた獣人の少女が助けてくれたらしい
獣人と言うのが分からなかったため、おじいさんに聞いてみたら、どうやらあの時スリをしようとしていた犬が獣人というものだった
獣の特徴がある人間という認識でいいのだろう
あの犬、可愛かったな。また会えるなら会いたいものだ
まあロックしてあるからいつでも会えるが
地下墓地はかび臭いが、掃除はされていた
あのおじいさんがしっかりと掃除しているのだろう
何事もなく一層、二層と下り、最下層の三層目に
そこではすでにうめき声と悲鳴のような叫び声が聞こえた
墓のある場所に来るとゾンビ、ゴーストが徘徊していた
「仕事だ」
新しく出せるようになった斧を出現させ、ゴーストに向かって投げる
「キェエエエエエエ!!」
耳をつんざくような悲鳴が上がり、ゴーストが消えた
アンデッドを倒すには光魔法か聖水を付けた武器が必要だが、もう一つ倒せる武器がある
それが聖なる武器だ
聖剣や聖槍、神剣と言った特殊な武器
何故だか分かったが、オレの武器はそういった聖なる気配を帯びていた
ゴースト、ゾンビは成すすべなく切り刻まれ、消滅していく
倒し方が分かっていれば動きの遅いだけの的。なんてことはない
数十分ほどで全てのアンデッドを倒し終えた
ゾンビの方は消滅しなかったため、墓地に埋めなおしておいた
どこのだれかは分からなかったため、間違っているかもしれないが、死人に口なし
まあすでに浄化されているから化けて出ることもないだろう
汗をぬぐい、俺は地下墓地から出て来た
「早かったね。まあ命を失うより逃げた方がいい。良い判断だぞお嬢ちゃん」
「ん、いや、終わった」
「へ?」
あっけにとられるおじいさん
一応中を一緒に確認しに行き、討伐が完了した
「すごいなお嬢ちゃん。小さくても立派に冒険者なんだねぇ」
おじいさんに頭を撫でられ、胸にポワポワした気持ちが湧き上がる
さて次だ
次のアンデッドはレイスと呼ばれるゴーストのさらに上位の魔物
それは外にある名無しの墓地と呼ばれる場所に出るらしい
魔物に食い荒らされ誰の死体か分からないモノや、行き倒れた死体などが埋葬されている場所
地下墓地での討伐依頼を果たしたその足で街を出て、名無しの墓地へと向かった
光の人影がじっと観察している
自らが送った一人の異世界のモノを
「どうやらちゃんと加護は発動しているようですね」
「もっとちゃんとした加護を与えてあげればいいのに」
「与えていますよ。あれは成長していくと徐々に解放されて行く力ですから、今はまだあの程度なだけです」
「でも不死なんて力まで与えて、危険じゃない?」
「あら、それは知りませんよ。死なないのは彼女自身の力のようです」
「なっ!? そんな馬鹿な。あの世界は物理法則が支配している世界だぞ! あり得ない」
「私にもわかりません。ですが、あれはそういうモノなのだと、思うしかないのです」
光の人影たちはいぶかしみながらも、また少女の観察を再開した




