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彼女の「腹ドン」がエッチすぎるので、俺たちの高校生活はカオスになります。  作者: 阿井川シャワイエ
1章 霧島優羽

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番外編2-3 ヒヤヤッコとストレッチ(後編)

 ヒヤヤッコに目を向けないようにしながら、彼女の隣に敷かれたマットに座る。

 お手本を見せてもらっておいてなんだが、俺に開脚は難易度が高過ぎる。


 座った状態で、両足をまっすぐ前に伸ばした。


「えっとじゃあ、前屈する?」


「うん、そのつもり」


 俺のサポートをするためなのだろう、こちらに近付いてきたヒヤヤッコに、やはり視線は向けないままで答える。


「ナオ君って確か、身体硬かったよね。背中、押して上げようか?」


「とりあえず、最初は自力でやるよ。もう動かないってところまできたらお願いします。あ、ホントに俺、身体硬いから、押すのはほんのちょっとでいいからね」


「うん、分かった。任せておいて!」


 元気のいい返事に少し不安を感じるが……。

 とりあえず、始めよう。

 グーッと両手を足のつま先に向けて伸ばし、そのまま身体を折り曲げていくぅー……!


「えっと……もしかして、もうやってる?」


「やってるううう」


 限界まで身体を倒しているが、ヒヤヤッコにとっては、やってるかすら怪しいレベルだったようだ。


「えっと、じゃあ押してあげるね」


 困惑気味にそうつぶやきながら俺の背後に回るヒヤヤッコ。


 彼女の手のぬくもりを背中で感じた。

 そしてヒヤヤッコが俺の背中を軽く押した――その瞬間!


「グェッ!?」


 身体中を駆け抜ける痛み。

 思わず絞め殺されるニワトリのような、恐ろしい声が出た。


 だがヒヤヤッコは俺が死にかけていることに気付かなかったらしい。

 俺の背中にさらに力を掛け……グググーっと……押してくる……!

 いや……これは……ダメェ!


「いったーーーーーーい!?」


 目を見開き、叫ぶ!


「え!? すこし押しただけだよ!?」

 

「むりー、ひややっこー! むりー、たすけてー!」


 無我夢中で叫び続ける。

 

 押されているのは背中なのに、なぜか太ももの裏が痛い!

 仕組みが分からない!

 こわい!


「ご、ごめんね!」


 ヒヤヤッコにも俺が本気で助けを求めているのが分かったようで、背中を押す手を緩めてくれた。

 太ももが痛みから解放されていく。

 だがそれと同時に意識も遠のいていくような……。



「……ナオ君? ナオ君? もう大丈夫だよ」


「う、うーん?」


 ……ヒヤヤッコの呼びかけで意識が覚醒した。

 気を失う寸前だったようだ。


 今の俺は、仰向けでリビングの床に寝そべっていた。


 恐らく無意識のうちに暴れてしまい、敷いてあったマットからズレてしまったのだろう。

 だが後頭部に温かく、そしてなんだかやわらかい、幸せな枕の存在を感じる。

 

 視線を上げると、心配そうにこちらを見下ろしているヒヤヤッコと目が合った。

 ……どうもヒヤヤッコが膝枕をしてくれているらしい。

 彼女は涙目になっている。

 そして多分、俺も。


「ヒヤヤッコォ。俺……生きてる……?」


「うん、生きてるよ! よく頑張ったね、ナオ君!」


「いや、甘すぎるでしょ……」


 ミライさんの声。

 見ると、彼女はリビングの入口に立っていた。

 呆れたように首を横に振っている。


「玲香ちゃんがナオの背中を押すところから見てたけど……ねえ、ナオ?」


「な、なんでしょうか、ミライさん」


 膝枕状態のまま答える。

 なにか恐ろしいものを感じ、ミライさん相手に敬語になっていた。


「ナオ、言ってたよね。『ちゃんと柔軟やってるよ』って。『教えてもらったお陰で身体が柔らかくなって嬉しい』って、この前もそう言ってたよね?」


「……言ったかもしれませんね、ええ」


 寝そべったまま、ぎこちなく頷いた。

 ちなみにミライさんは「この前」と言ったが、ここ数年ミライさんと柔軟の話なんてしていない。


 だから恐らくそれは俺が小学生の頃のことだ。

 確かにその頃はちゃんとやっていたので、ウソはついていない。

 とはいえそんなことを指摘しても、良いことなんてないだろう。

 毎日やると言った柔軟をここ数年していなかったのは確かなので、素直に怒られようと思う。


「なのに、ちょっと押されただけで悲鳴を上げるこの身体の硬さ。もしかしてだけど――柔軟、サボってた?」


 素敵な笑顔で聞いてくるミライさん。

 俺もつられて笑顔で答える。


「はい! サボってました!」


「はあぁぁ~」


 ミライさんは深くため息をついていた。

 そんな姿を見せられては、さすがに慌ててしまう。


「ごめんなさい。本当にごめんなさい。俺もやらなきゃとは思ってたんだけど……」


「ナオが『恥ずかしいからこれからは1人で柔軟する』って言うから信用してたのに……。これは私も考え直した方がよさそうね」


「恥ずかしいから?」


 怒られている俺の頭をよしよしと撫でながら、不思議そうに呟くヒヤヤッコ。


 まあなんというか当時のミライさんが着ていた服も今のヒヤヤッコと似た感じで露出が高く、しかも身体を密着させてくる感じの教え方だったので、子どもにはなかなか刺激が強かったのだ。

 俺がストレッチ=エッチという印象を持った原因の1つにミライさんの存在がある。


 それだけに「やっぱり私が教えてあげるから!」とミライさんが言い出す展開だけは避けねばならない。


 当時は俺も純真な子どもだったから「なんか恥ずかしい」で済んでいたが、今の俺があの攻撃を受けたら、かなりヤバイ。


 そうと決まれば先手必勝だ。


「うん。やっぱり私が教え――」


「俺、優羽さんに教わりたい!」


「うん?」


 話に割り込まれ首を傾げているミライさん。


 いやいや危ない所だった。

 先手必勝なのに、危うく先手を取られかけていた。

 とはいえ大事なのはここから。

 油断せず説得しよう。


「なんていうか今は優羽さんと一緒にいる時間を少しでも長くしたいっていうか……。だからミライさんが優羽さんにストレッチを教えて、その優羽さんから俺が教わる……って形でどうかな、と」


「ふむ……」


 難しい顔で考え込んでいるミライさん。

 この感じなら俺の要求は通るだろう。

 拒否するときのミライさんは、変に気を持たせたりせず即答してくることが多い。


 あらかじめ優羽さんと恋人関係にあることを言っておいて本当に良かった。

 ミライさんは他人の恋路を邪魔するような人ではないのだ。


 思いのほか答えを出すまでの時間は長かったが、結局は俺の予想通りになりそうだ。

 ミライさんは笑顔で頷いている。


「うん、ナオがそう言うならそうしようか」


 よしよし。

 やはりミライさんは話が分かる。


「ただ……ナオも参加してね」


「……参加?」


「うん。玲香ちゃんたちに色々と教えてあげる『特別授業』にナオも強制参加だから。私にウソをついた罰も兼ねてるから拒否は認めないよ。ま、ナオの希望だしストレッチの時だけは参加しなくてもいいけどね」


 ぐう!?

 イヤなところをついてきた!

 ミライさんのことなので嫌がらせで言っているわけではなく、彼女なりに気をまわした結果なのだろうが、はっきり言って迷惑でしかない。


「え? もともとナオ君も来てくれるんじゃないの?」


 相変わらず純真な目で見てくるヒヤヤッコ。

 思わず目をそらす――が、彼女に膝枕をしてもらっている状態なのだ。

 身を乗り出して俺の目を見てくるので、さすがにそらしきれなかった。


「あー、うーん、それはねー……」


「ナオは明らかに『参加しません、俺は無関係です』って雰囲気を出してたよ。玲香ちゃんは気付かなかった?」


「ウソ! そうなの、ナオ君?」


「んーまあーそうかなー。いやだって、女性の集まりに、俺がいても邪魔なだけっていうか……ねえ?」


「そんなこと無いって。むしろお化粧にしろファッションにしろ男の子の感想があった方がやる気が出る、そういうもんだからね。玲香ちゃんもそう思うでしょ?」


「あ、えっと、確かにそうですよね。ナオ君はたくさん褒めてくれそうだし、やっぱりいて欲しいかな」


「うーん、でもなー」


 渋りはしたものの――内心悪い気はしない。

 いや実際「絶対に来ないで」と言われるより、よほど嬉しい展開ではある。

 とはいえ、正直めんどくさいというのも事実で。


 ……うん、そうだ。

 あとなにか一押しがあれば、思わず頷きそうだが、やはりめんどくさ――


「それにナオもさっき言ってたでしょ。優羽ちゃんと一緒にいる時間を少しでも長くしたいって。なら当然参加するべきじゃないの? 優羽ちゃんと一緒にいられるよ?」


「…………」


 考えてみると。

 「特別授業」が行われる日はワルミちゃんとデートができない可能性が高い。

 それは当然優羽さんとも会えないことを意味する。

 今は優羽さんとの関係を少しでも安定させたいし、多少面倒でも特別授業に参加した方が良いのでは……?

 

 それに……そうだ!

 

 優羽さんはミライさんから教わった美容法やファッションを、俺に自慢してくるかもしれない。

 「今日の私はいつもと違うんですよ」と言ってくる優羽さん。

 俺はどこが違うのか、きちんと見抜けるだろうか……?

 

 いや……無理でしょ……。

 答えが「化粧水を変えました」とかそういう可能性もありえる。

 無理無理ゼッタイ無理!

 そんなの、わかるわけがない!


 だったら――


「でしょ? ナオ?」


「な、ナオ君? 来てくれるよね……?」


 ……そう。

 みんなから来て欲しいと言われる今のうちに決断した方が、ゼッタイに良い。

 もし優羽さんが拒否しようとしても、ミライさんとヒヤヤッコが認めていれば最終的には俺の参加は認められるだろう。 

 そして優羽さんと一緒に授業を受けておけば、彼女が俺を試してくることはあるまい。

 

 そう決意した俺は、2人に頷いた。


「んー、そこまで言われちゃあ、しょうがないねえ! 俺も参加してあげるよ!」


 将来起こりうる「事故」を未然に防げたという安心感でテンションが上がったせいか、上から目線の返事になってしまった。


「さすがナオ、決断力の鬼!」


「う、うん? あの、さすがナオ君だよ? えらいね!」


 適当におだててくるミライさんと、つられてよく分からず褒めてくるヒヤヤッコ。


 なんにせよ、俺もミライさんの「特別授業」に参加することが決まったわけだ。

 ミライさんの口車に乗せられた気もするが、優羽さんとの関係を深めるためでもあるし、今後のことを考えると俺にとっていい展開だったな。



お知らせ

突然ですが「ミッドナイトノベルズ」に引越すことにしました。

今後の投稿はあちらで行います。


2章で物語を展開していくうえで「なろう」基準だと性描写が引っ掛かりそうな気がしたのが引越しの理由です。

もともと1章部分にしても警告が来てもおかしくないなあとビビりながら書いていたので、のびのび書くためにも移動することにしました。


とはいえ2章が今までの1章部分と比べて極端に性描写が増えたり濃くなったりするわけではないです。

そういう意味でも「ノクターン」ではなく、「ミッドナイトノベルズ」を選んでます。


次回の更新は29日か30日予定ですが、次回更新分からこちらではなく「ミッドナイトノベルズ」での投稿になります。

(18禁サイトになるので、そちらで読めない方のためにカクヨムにも投稿予定です)

「ワルミちゃんとイチャイチャ」という番外編になるはず。

このタイトルで18禁サイトに移動してるのに、そこまでエッチな話にはなりそうもないです。

2章もそんな感じです。

なんかごめんなさい。

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