3ー3.5 誰かの景色
相変わらず前書きとかは苦手です
石造りの床を踏みしめ、ざわめく街道を抜ける。
周囲を見ずとも分かる、活気溢れる何時もの王都、私はその喧騒を普段以上に気にしながら、歩を進めていく。
普段は身に着けない深めのローブ、目元まで隠れてしまうそれを多少鬱陶しく感じながら、目を細めた。
しばらく歩くと、不意に喧騒が薄れる。
足を止めた、ローブを少し上げ、其処が開けた場所である事を確認する。目的地だ。
思わずその場所を見上げる。其処は、均等な白い石が積み上げられた堅牢な外壁だ。
風が吹き、ローブと髪を揺らした。
平原に隣接するこの場所は良い風の匂いがする。
堅牢なる壁の名は白護外壁、戦いによる傷を知らないそれは平和の象徴だ。
アルナスの歴史を語る上で欠かせないこの場所は、王都の観光名所でもあり、私の好きな場所でもある。
私は手近な石作りの階段を登り、辺りを見渡した。
目標を探す、これが今回の仕事だ、私は注意深く視線を巡らせるが……、
探すまでも無かったようだ。目標はすぐに見つかった。
金色の髪をした二人連れの少女。黒髪の男が見当たらなかったが、両手にソフトクリームを抱えながらすぐに戻って来た。
私はそれを確認すると、思わず動きたくなる衝動を抑え、息を殺す。
彼女達に気取られてはいけない。
そう、それが私の仕事だ。
思わず唇を噛んだ。自分自身気にもしているし、悪い癖だともよく言われるが、気にとめる人間は今私の隣には居ない。
「後、一時間……」
私は呟き、彼女達をもう一度確認すると、姿を隠した。




