秘密 END
完結です。
先日、ラブラちゃんがヒロインでしかも転生者だと解った。
レンバーラ君と話していた内容がまんまその話だった。
ラブラちゃんの口から転生者と言う言葉が出た時、ハッキリ言って納得してしまった。
ラブラちゃんにふりかかるラッキースケベ的展開がヒロインだからと言われれば辻褄があう。
ラノベに出てくるヒロインならスッゴい電波とか痛々しい勘違い娘が定番なのに、ラブラちゃんは王子を攻略したんじゃなくて私と仲良くしてたら王子付いてきたと王子をオマケ発言!
思わずアホ王子が可哀想に思えて突っ込んでしまった。
話しは変わって、ラブラちゃんとレンバーラ君がこの世界を疑似体験していた人間だと言うことが解って、私は思った。
この世界での私の立ち位置は何処なのだろう?
今までずっと自分は悪役令嬢ポジションたと思ってきたけど、あっているのかな?
「ラブラちゃんはヒロインなの?」
「………あの男の言ってた事は忘れて良いよ!」
「ラブラちゃんがヒロインなら、私は悪役令嬢?」
「………ナルは私の親友!………で、今は……攻略対象者」
「はぁ?誰の?」
「さっきのピンクの髪の男」
「………に、逃げなきゃ!」
「手伝う!または、ブラウド様ともう結婚しちゃえば?」
「だ、だって!結婚は学園を卒業したらって約束してて……今はラブラちゃんと学園生活おくりたいから………」
ラブラちゃんは感極まったように私を抱き締めた。
「ナル、大好き」
「私もですわ」
私達はニコニコ笑いあった。
「私、ブラウドさ……ブラウドに話があります!」
「………はい。ちなみに、結婚出来ないとかでは…」
「ないです」
この日、私は決めていた。
「では、何でしょう?」
「私、前世の記憶があるんです」
「………へ?」
そう、私はブラウド様に前世の記憶があることを話そうと決めていた。
「私はこの世界とは別の、魔法の無い世界で生活していました。職業は薬学士でした………ブラウド様は私が歳上と話しているように感じた事があると言っていたでしょ?当たり前です、私向こうでは40歳越えてましたから。ブラウドさ……ブラウドには秘密を作るのは嫌だなって思っ……」
言いたいことを言ってブラウド様の方を見るとブラウド様の顔が表情を無くしていた。
どうしよう、怒らせてしまった。
私が怯えた顔をしたのが解ったのか、ブラウド様は私に勢いよく近寄ると強引に腕を捕み引き寄せ乱暴なキスをしてきた。
何がおきたか解らないうちに口を舌でこじ開けられ私の舌に、ブラウド様の舌が絡まってくる。
な、何?何で?
漸く解放された口から粗い吐息と唾液がこぼれた。
「……何で?」
「ナル、俺は君の全てが欲しい」
「?」
「君のその前世の記憶の中にどれだけの男が君に愛を囁き、俺の知らない顔を見ていた?」
「はぁ?」
「俺以外の男と…」
「ま、待って!何で他の男の話が出てくるの?」
ブラウド様は悔しそうな顔をして言った。
「40歳越えてるって事は………結婚、してたんだろ?」
な、何?前世の私を思って嫉妬したの?
「………してない」
「へ?」
「私、仕事が恋人って感じだったし友達すら居なかったの………私の中にある全ての記憶の中でキスをしたのはブラウド様がはじめてだよ」
呆然とするブラウド様に私は軽く触れるだけのキスをして言った。
「恋愛なんて本の中だけで満足だった私が、キスしたくなるほど好きになったのはブラウド様がはじめてです」
ブラウド様はビックリするほど真っ赤になってうずくまった。
「ブラウド様?」
「………ごめんなさい」
「ですね」
「ごめんなさい………醜い嫉妬で酷いことをしました」
ブラウド様は頭を抱えた。
「酷いこと?」
「無理矢理キスしてごめん」
「ああ」
ブラウド様は乱暴に頭をかきむしった。
「ブラウド様は嫉妬深くて私の全てが欲しいんですね」
ブラウド様はビクッと体を震わせた。
「ブラウド様、立って」
ブラウド様は暫くフリーズするとゆっくり立ち上がってくれた。
私はブラウド様に抱きついた。
「私だってブラウド様が他の女性と仲良くしてたら嫉妬します。私だってブラウド様を………ブラウドを独り占めしたいよ」
「!!」
「ブラウドは私のなんだからね!」
「は、はい」
ブラウド様は大きな安堵の息をつき、抱きついている私を抱き締め返してくれた。
「ありがとうございます嫉妬してごめんなさい」
「無理矢理は駄目です」
「はい」
「私もごめんなさい」
「え?」
「この前ラブラちゃんとイチャイチャしちゃった」
「………どうやって?」
「今みたいに抱き締めあってみました」
「………キスして良いですか?」
「な、何で?」
「キスは婚約者の特権では?」
「……そうだけど………」
「拒否は認めない」
ブラウド様はそう言うと私に優しいキスをした。
「ところで、今日は諜報部員が邪魔しないな?」
「私の秘密を教えるのはブラウド様だけですから、事前に下がらせました」
「なら、いくらでもキス出来るね」
ブラウド様はそう言うと貪るようにキスを繰り返した。
前世の私は知らない、男の人の欲望を感じながら今まで感じたこともないほどの幸せを感じているのをブラウド様は知らない。
私はブラウド様にしがみつきながらそんなことを考えていた。
END
今まで私のつたない話にお付き合いくださりありがとうございました‼
次の作品も早めに出せたら良いと思っています!
これからも宜しくお願いいたします。