第二話 仲間と友達と親友
朝の決戦は、見事にヒメが勝ち誇っていたらへん、莉乃は負けたのだろう(屋敷に戻った時には、勝負は終わってた)。だから、そのままみんな一度帰った。
十時から十二時が朝の部とし、十三時からは昼の部としている。
だからまた、こうしてヒメと暇つぶしにメンバーが来るまで話すことにする。
「あ~あ、どこかに『俺のことはいい! お前は先に行け!』などと、言われてる仲間はいないかしら」
「お前はホントにお嬢様か?」
中二みたいなことをほざくヒメに、冷静にツッコミをいれる。
「そうですが、なにか!」
なぜだかドヤ顔でキメるヒメ。キランという擬音も聞こえてきそう。
「なにか、と言われても困るんだがな」
「ふっふっふ……私こそが最強の王であるヒメデリウスでありますわ!」
「………………」
頭を何回ぶてば治りますか? このパッパラパープリンセスヘッド。
「ならば、手始めに貴様からいただこうとしようかしら」
「………………」
このヒメデリウス? を殴っても……いいかな? ○○○○ー!!
「では、いっただきまーす、ですわ!」
げっ!? マジでヒメが僕に向かって飛び込んできた。
なので反射的に……。
「ぐはっ……」
勢い余って本当に殴ってしまった。というか飛び込んできたんだから突き出した拳に当たった、っていうのが正解なのか。
「ご、ごめん……」
「痛いですわ……よよよ~」
その場で崩れ落ち、手で顔を覆って泣くヒメ。
だが涙も流してないし、ウソ泣きなのはまるわかり。だが、どうしたもんだか。
「あっ……夜夏が姫夏を泣かしてるぞ! 明日は雪でも降るか?」
はっ! となり振り返ると莉乃がいて、その後ろに冬葉と南雲ちゃんがいた。
「こ、これは違うぞ……」
弁解するために三人に説明しようとすると、
「言いわけはだめだよ!」
「男らしくない~」
悪意のかけらさえ、感じない言葉が飛んできた。
だが、冬葉のまっすぐな目と南雲ちゃんの無邪気な瞳が、僕の胸にはグサリと刺さる。
なんで僕が……と大ショック。
少し経って、うつむいていた顔を再び上げると三人はくすくすと笑っていた。
一本取られた気分……。
「あら! やっと来ましたか、ではお茶では飲みましょうか」
すくっと立ちあがり、スカートを払うとなにもなかったかのように自分の席に座るヒメ。
みんなわかってはいたものの、マイペース過ぎるヒメの茶番にはやはりついてはいけない。
「じゃ、座ろうか」
立ってても仕方ないし、とりあえず座る。
「おっ! 菓子あんじゃん、いただくぜ」
座ると同時に莉乃は、テーブルに置いてある駄菓子屋にあるようなお菓子に手を伸ばし食べだした。
「そうでしたわ! 冬葉、ひとつ聞いてもいいかしら」
なにかを思い出したかのようにヒメが、冬葉に尋ねる。
「なに?」
「朝の恋バナのことですけどお相手の名前はなんて言いますの?」
ド直球に質問するヒメに驚いたような表情に変わる冬葉。
……どうやら気づかいとかではなく、ただの聞き忘れだったようです。
「えっ!? え、え~と……その……ひみつ……」
答えられるわけもなく、あやふやにたぶらかすように秘密という名の業を使った。
「うーん、まあいいですわ、秘密主義に踏みこむ気はありませんし」
ヒメがそう言うと、冬葉はホッと安心したような顔をしていた。
「それで、今からみなさんに考えてほしい議題は、ですわね〝友達〟についてですわ!」
それを聞いてみんなは「は~」というふうな反応をする。
「友達か? なんで?」
よくわからん議題に莉乃が聞く。
「詳しく言いますとですわね。友達と親友の違いについて話したいと思いますわ」
「ネットで調べろ」と言ってもダメなんだろう。おそらくは各自の価値観にヒメは、興味があるわけで正解がほしいわけではないのだ、きっと。
「南雲はみんなと友達で~親友でもあるよ~」
ゆっくりと語り出した南雲ちゃん。なんだか落ちつく、なぜだろう。
「わたしもみんなと親友です!」
冬葉も、あたふたしながら言うとヒメが「そうですわね」と返した。
「ならヒメと莉乃の仲はなんていうんだ? よくケンカするし犬猿の仲か?」
僕がそうヒメに質問すると莉乃が立ちあがり、
「ちがうぜ、あたしと姫夏はあながち竜虎の仲ってわけさ!」
「……あら、それはどっちが竜なのかしら……」
するとヒメも立ちあがり、背後から物凄い怒りのオーラを感じさせる。
「そりゃもちろん、あたしが竜さ」
「ならば、私は虎でけっこうですわ!」
「「ふっふっふ」」
不適な笑みをこぼして、二人は睨み合いながら庭の真ん中らへんまで移動していった。
いつものことだが、今回は放置して冬葉と南雲ちゃんと議題らしきものをすすめていこう。
「で、具体的にどう思う? 友達とか」
「わたしはね、やっぱり信頼とか安心感だと思うんだ」
冬葉らしい答えが返ってくる。もっともなことだな。
「南雲はですね~よく言う絆とか情だと思いますね~」
「情?」
南雲ちゃんの質問に聞き返す。
「友情とか~同情とか~愛情とか~新庄とか~」
「いや、最後の人だから、それを言うなら心情でしょ?」
南雲ちゃんに軽くツッコミをいれる。
「お誕生日会とかもいいよね」
「あー僕たちもやってるよな」
それを聞いて南雲ちゃんも新たな案を頭を捻らせて、考えている。
「あとね、お出かけとかに行くとか」
「やっぱり、そういうのが友達なんかな」
「そうだよ、一緒にいて楽しいのが友達だよ、きっと」
「そっか……」
南雲ちゃんはまだ悩んでいた。
状況確認のため庭に目をやるとまだ二人は、言い争っている。暴力に物を言わせない二人だからこそ安心しているのもあるのだが。
ようやく考えがまとまったのか「そうだ~」のひと声のあとの言葉になる答えを待つ。
「朝のラノベ面白かったね~」
「?」
「あっうん、面白かったね」
どうやら二人が朝(莉乃とヒメの争いのあいだ)に読んでいたライトノベルの感想らしい。
突然の話題の切り替わりに「なに言ってんだ? この子」と思ってしまった。
「夜夏くんも読んでみてよ『青春フラグが僕に振り向かない』ていう作品なんだけど」
冬葉が僕になんかススメてくる。
「あっ、それなら金曜にヒメに借りて読んだ」
学校の休み時間がヒマな僕は、いつもヒメに借りてはラノベを読んでいたりする(男友達なら暖だけで充分だし)。
「そうなんだ、どうだった?」
「主人公の行動が裏目にでるところとか、ふぐッ!?」
「まだ全部読んでないから~」
感想を述べてる途中で南雲ちゃんに口をふさがれた。
冬葉が両手を合わせて謝る。
「南雲ちゃんまだ読んでたんだ……ごめんね、てっきり読み終わってると思ってたから……」
「いいの~遅いのが悪いんだから~」
「南雲ちゃんは悪くないよ、そういうのはマイペースでいいから。でも読み終わったら教えてね、そしたら三人で感想言い合おうよ」
冬葉が必死にフォローをいれ、僕も「いつでもいいよ」と南雲ちゃんに気遣う。
南雲ちゃんも「なるべく早く読むね~」と返事をする。
そんなこんなで時間が過ぎていく中、庭の中心から声がする。
「みなさ~ん!」
庭の真ん中で争っていたはずのヒメが、いつの間にやら近くまできていた。
「なに?」
「今からゲームをしましょう」
ヒメの目が無駄に輝いている。美少女アニメみたいに。
なにやら企みらしきものを感じる。
「なにするの?」
「まずは真ん中に集まりましょうか、説明はそこでしますわ」
ヒメの指示通りに真ん中まで四人で歩いていく。
そして、
「では莉乃と決着をつける対戦内容はこれですわ!」
「信用ゲーム?」
知らないうちにホワイトボードが用意されていた。なんかアホらしく思える。
「ではルール説明をしますわ」
1、二対二で行うゲームです。
あれ? ……一人余るぞ。
「一人ゲームに参加できないぞ?」
「なら夜夏は審判と司会をお願いしますわ」
そっけなく言われた……なんかむなしい……。
2、これはガチゲーです
3、途中の抜け出しは厳禁です。
4、負けたほうはくすぐりの刑です。
5、ズルをした場合は特別罰ゲームです。
「これ……なんのゲーム?」
ルールを見てもなんのゲームかさっぱりだ。
「連想ゲームですわよ」
「なら素直にそういえよ!」
「気にしたら負けですわよ、ならはじめましょ」
くじ引きをして冬葉とヒメチーム、南雲ちゃんと莉乃チームとなった。
妥当なチーム分けになってよかった。
なら一回戦。
「えっと、紙などが切れる道具だ」
お題は敵チームが決め、僕の確認のもとOKか確認(知らないようなお題が出ないようにするため)して相手に出す。
一人が出されたお題の特徴を書き、一人がそれに答える。ヒントは三個まで。
「これいいか?」
お題が決まったのか莉乃が僕に確認しにきた。
…………。
「いいよ」
「よっし!」
一分くらいしてヒメも持ってきた。
「これはいいかしら?」
見てみる。…………暫○剣? なぜにル○ン……。
「許可できない。あとマンガのアイテムはダメだ」
却下すると頬を膨らまし、ぶーぶーと豚のマネをしながら戻っていった。
それからまた二分ぐらいして訂正してきたが今後は普通だったので許可し、ようやく一回戦がはじまった。
まずは冬葉と南雲ちゃんがヒントをホワイトボードに書きだす。
一つのボード前後ろでやっているため、両チームの様子が見えるのは僕だけだ。
暇なので後ろを向いて、じっと待つ二人を見ているとなんだか二人からは、悶々と闘志が湧き出している気がする。
制限時間も迫るころ二人から「あと……なにかあったかな!?」「む~ん」と焦っている声とマイペースな唸りが聞こえる。
「じゃ~書き終えたようなんで二人ともホワイトボードのほうに向いてください」
僕がそう指示すると莉乃とヒメはゆっくりとその場で回り、ホワイトボードに目を向ける。
「わかったらホワイトボードに答えを書いてください。では回答をどうぞ」
ちなみにヒメへの問題のヒントは「刃は小さい」「研げる」「刃が楕円形」
莉乃へのヒントは「ギザギザ」「ふにゃふにゃ」「あぶない」
原則として色はなしにしているが実に冬葉はわかりやすく、南雲ちゃんは見た目のヒントでらしさがあるな。
※みんなも考えてみてね。
「ふふふ、わかりましたわ……」
一足はやくヒメは答えを書き出し、そして、
「ふにゃふにゃ? 刃物は全部あぶないだろうよ」
摩訶不思議なヒントに翻弄する莉乃は混乱中のようです。
三分が経ち、「そこまでー」と終了の合図をだす。
「じゃ~ヒメのほうから答えを確認します」
「これで間違いありませんわ!」
ホワイトボードにデカく書いてあった。うん。
「正解」
ピンポンピンポーン、とでも鳴ったような雰囲気でヒメは「やりましたわ」と冬葉と一緒に喜んでいた。
「じゃ~次は莉乃のほうを」
「むむむー……」
チェーンソーか……ペラペラではないよな。
「残念」
ある人みたいに溜めずに、淡々と発表する僕にかまわずに正直に素直に悔しがる莉乃と南雲ちゃんと「ざまぁ~」とでも言いたげな顔をしているヒメ。
ノーコメントで進行を続ける僕。
「次はキャラクターです。アニメや漫画、ゲームや定番なものです。ではどうぞ」
そう伝えると莉乃とヒメはさっきと同じで紙に早々と書き、二人同時に持ってきた。
「私から先ですわね」
……またか変なボケをかまして……。でもこれはこれでいいか。
「いいよ。OKです」
了承する少し驚いた顔をするヒメだがすぐににやけた顔に切り替わり自分の場所に戻った。
後ろで待機していた莉乃の頭にはおそらく「?」が浮かんでいただろう。
「どんな問題にしたんだ、あいつ……」
気になる様子の莉乃から紙を受け取り、確認したが問題はないのでOKを出し二回戦を開始する。
ヒントをだす二人に問題を渡すと南雲ちゃんが紙に書かれている出題を見るなり、さすがの南雲ちゃんも多少動揺していた。
気づかなかったフリをして進行をする。
「じゃ~ヒントを書いてください」
べつに動揺している南雲ちゃんを見たいなどの願望や欲望はなく、あくまでも合法で眺めてみたかったのだ。
冬葉はペンを走らせているが、南雲ちゃんはずっと悩んでいる。
終了の合図を出し、莉乃とヒメが答えを書きだす。
南雲ちゃんは終了目前まで一個も書かず、ずっと悩んでいた。悪いことしたなと後悔。
ヒメへの問題のヒント「長靴」「舌長い」「恐竜」
莉乃へのヒントは「とろい」と一つだけ書かれていた。
あれから答えを導きだせたらすごいな。
二分ほど待っていると二人一声に「書いた!」と主張してきたので確認に入る。
まずはヒメから。
「え~っと…………残念」
いや、なんだよ……「緑色の卵製造機」ってなんだよ!?
「ヒメわかってて書いたな?」
「なんのことかしら?」
とぼけているヒメと渇いた笑いをだす冬葉。
まあいい。
次は莉乃のほうを見ると……!
「正解だ」
「えっ!? マジでか!?」
なんか感動した。
一つのヒントで答えを導きだした莉乃に感動した。
「お前すげえな」
素直に褒めていた。
「まあな、これぐらいは朝飯前だし」
「南雲もびっくりした~莉乃ちゃんすごいね~」
褒められて天狗になっている莉乃には悪いがそろそろ次にいかないとお隣のヒメさんが待っていた。
そういうわけで。
「じゃ~ラストな最後は生き物だ。ただし人間は不可、では初め」
さらさら~と書いて持ってきたのはやはりヒメだった。
「今回はマジメだな。いつもこうならいいのに」
「私はいつも大マジメですわ!」
自慢気にすたすたと去っていった。
数秒後に莉乃も来て、こちらは安定のOKでラストスタート。
今回はまともな出題なだけにヒントを書く二人もラクらしくすぐに書き終わった。
今のところ同点。いずれかが間違えれば負けになる。
両チームに緊張が走った――――
ヒメのヒントは「遅い」「甲羅」「万年」
莉乃のヒント「動かない」「木登り」「ゆっくり」
非常にわかりやすいヒントだからか、二人共々あっけなく正解し、引き分けにて閉幕。
「いい闘いだったわ」
「ああ、あたしもだ、非常に楽しかったぜ」
ヒメと莉乃ががっちり握手をする。
なにこれ? これって少年マンガだったっけ?
「次は決着をつけるよ」
「また会いましょ~」
なんだか冬葉と南雲ちゃんもがっちり握手をしていた。
ノリとはいえ、相手のいない僕は蚊帳の外だった。
夕日がいい具合に味もだしていた。どうやらこれは少年マンガだったようです。
違うけど……。
三分ぐらい経った時にようやく幻想から還ってきたらしく、莉乃が僕に怪しい微笑みで向かってきた。
「な、なに?」
心当たりはもちろんある。おそらくさっきのことだろう。
「とぼけてもムダだぜ」
「な、なんのことかな~ははは……」
「いいぜ、なら辱めした代償を払ってもらうとするか」
そう言うと莉乃が僕を後ろから抱えこみ、グイッと抱え上げ、そのまま、
「ぐはっ……」
ジャーマンスープレックスが炸裂した。
僕よりかなり小柄な体型なのにいとも軽く上がり、度肝を抜かれた気分。
抱え上げられた時に見えた風景は三人が微笑ましいくらいに楽しくしゃべっていた光景だった。そのまま墜落。がくっ……。
「う、う、うん……?」
意識が戻り、片目だけゆっくり開けると辺りは、もう夕日も沈み、月がでていた。
そこに。
「だ、大丈夫?」
冬葉が優しく声をかけてきた。
膝枕フラグではなく、普通に自分の部屋のベッドで寝かされていた。
「うん、頭がまだ痛いけど平気」
「そっか……よかった」
腰を起こし、周りを見渡すと冬葉以外はいなかった。どうやら帰ったらしい。
「他のみんなはもう帰ったのか」
「ううん」
冬葉が顔を横に振る。
「リビングでゲームしてるよ」
「えっ……でももう七時まわってるぞ」
「みんな。夜夏くんが心配だ、って言ってた」
「みんな……優しいな」
「そうかな、当たり前だと思うよ。莉乃ちゃん、夜夏くんが気絶したのがわかったとたんにあたふたしちゃってテンパってたし」
少し楽しそうに話す冬葉。
「いやまあ、僕が悪いんだし、お互いさまなんだよな」
「べつに夜夏くんはなに一つ悪いことはしてないよ、もちろん姫夏ちゃんだって莉乃ちゃんだって」
「それが友達だから~とか言う気……なのか?」
図星なのか冬葉は「うん、そうだよ」と言い、ニコッと笑った。
とてもいい雰囲気の領域にドアが静かに開き、ヒメと莉乃と南雲ちゃんが入ってきた。
「ようやく起きましたわね、もう平気ですの?」
「夜夏くん大丈夫なの~」
ヒメと南雲ちゃんが心配そうな顔していたので一言「平気」と答えた。
そんな中、莉乃に落ちつきがなく、なにか言いたげだった。
「ほら~莉乃ちゃんも~きちんと謝るんだよ~」
南雲ちゃんが莉乃にひと押しする。
それでも莉乃は「えっと~」ともうあと一歩が出ないようなので。
「……いい技だったぜ」
「な、なにが?」
突然の僕の言葉に戸惑った様子の莉乃と一同。
「だからジャーマンスープレックスだよ、さすがいつも男子から南雲ちゃんを守ってるだけあるな」
「え、え…………と、当然だろ! あたしの技は天下一品と学校で有名なんだからな!」
さっきの冬葉の言葉通り、悪いことをした人は今日はいなかったんだ、だからと言って褒めたわけではないのが僕の考えさ。
それを聞いたヒメは「あらあら本当かしら」とさげすんだ笑みを浮かべる。
それに対し、莉乃はさっきの表情もどこかに消え、ヒメに「なら見せてやるついてこい!」と二人で部屋を出て行った。
「では南雲も行きますね〜」
「ちょっと待って!」
二人についていこうとする南雲ちゃんを引き止め、あのことについて聞く。
「南雲ちゃんはあれについて、どう思ってる? 正直に言っていいから」
ドアに前に立っている南雲ちゃんは少し考えて、こう答えた。
「見たときは驚きました~でも、いざ考えたらわかんないものですね~自分のことなのに~だから、すこし勉強にもなりましたよ〜」
本心かどうかなんて誰もわからない。でも少なからず南雲ちゃんの答えは本心だろう。
根拠なんてない、ただこちらをまっすぐ見ていたトロンとした南雲ちゃんの目には、偽りを感じさせなかっただけというバカな理由なのだ。
南雲ちゃんはそう答えてすぐに二人の元に向かっていった。
再び冬葉と二人っきり。
「冬葉は帰らなくていいのか?」
「……そうだね。じゃ~最後に質問していいかな」
「なに?」
「わたしたちはただの友達……なのかな」
一、二秒、間が空く。
「仲間……なんじゃないかな」
スッとなにも考えずに口からでた言葉に、変えた答えだった。
「仲間か……わたしたちは仲間に昇格したんだね」
「そうだな」
にこにこしながらさっさと帰っていった冬葉。
きっと冬葉にはべつの答えがあったのだろう。
だがそれはまだまだ先の話に持ち越しということでよろしくお願いします。
とある五月頃の一日のはなし。
答えヒメ「爪きり」「ヨ○シー」「亀」。
莉乃「のこぎり」「南雲ちゃん」「ナマケモノ」。
感想、誤字、脱字、作品の矛盾などまってます。
友城にい




