恋の出来ない漫画家
「先生!ダメですよ〜
色恋あって、ちょっぴり恐いのが先生の売りなんですから!だいたい漫画に恋が無くてどうするんですか?」担当が当たり前って顔でネームを突き返してきた。
蘭子はこのネームだって頭から血が出そうになりながら
寝ないで仕上げてきたのだ。
ネームとは漫画のラフ(下書き)のようなもので、ノートなどに大まかなコマ割り、セリフ、人物のラフを鉛筆でサラサラ描いたものだ。
担当が帰ったファミレスで襲ってきた睡魔と戦いながら赤丸付けられた修正点を見返す。
OLさん向けの漫画雑誌なので、仕事で疲れてすり減ったOLさんが寝る前に気持ちよく寝れるようなお話を担当さんは期待してる。
がしかし、実際描いてるのは恋なんて10年無縁の36才なのだ。コツコツと働きながら投稿を続け、たまたま偶然コンテスト受かってしまったのだ。
そこからは、このチャンスを逃すものかと色んなロマンスや恋のABCを手を変え品を変え描いてきた。
働いてる時には彼氏が居たが、漫画描いてるかネーム考えてるかばかりの蘭子に愛想を尽かせて新卒の子を捕まえて結婚してしまった。
が、あまりに必死で漫画描いてたので記憶がない。
仕事で大穴空ける前に漫画家なりたいからと会社を辞めた方が記憶に残ってる。
しかし、4年の社会人経験と学生時代の彼氏と合わせて2人だけの恋愛経験で漫画描くのは…
すでにアウトプットのみでやってきてスカスカなのだ。
「ダメだ!無理!心ときめく恋なんて描けない…」どう頭の中をほじくり出しても出てこない!天を仰ぐ。
そのままうつらうつらとしていると、横の学生グループが何か深刻そうだ。
「でさ、ラフティングクラブに入ったんたけどさ!
やたら身体を触ってくるのよ!しつこくて!やめてください!って何度も言ってやっとよ〜」女子大生が怒っている。
「やっぱさ、社会人サークルは大人ばっかりだし危ないよ。大学のサークルでガマンしなよ。」他の子が勧める。「なんで大学サークルにはアウトドアスポーツ部無いの?」女子大生が文句を言う。
「山岳部になっちゃうんだよ。山登りになっちゃうんだよ。」と皆でガックリしてる。
「あの…そのサークル、教えて貰って良い?」ネタに詰まった瀬戸際36才漫画家が女子大生におずおずと声を掛けた。
久々、こんな田舎の駅に来たのは久しぶりだ。
駅に降りたのは蘭子ともう1人だけだ。駅前の商店街はシャッターが閉まり、建物にすでに人気がない…駅員さんもいるのか分からない。駅の待ち合い室に2人だけで向かい合って座っている。
多分、自分と同じ目的だと思うが彼の目は遊びに行く人とは思えない淀んだ暗い瞳をしてる。
もう36のおばちゃん魂で割と厚かましく誰にでも声掛けれる蘭子でも躊躇するほどだ。
たたずまいの悲愴感で威圧されて声は掛けれないが、年は20代後半だろうか?
頭から黒パーカーをかぶり目しか見えない。口元は黒マスクだ。ハッキリ言って駅の待ち合い室で2人っきりなのすら恐い!身体を前屈みで丸めてるが、ガタイもいい感じがする。
結局1言も話さないまま、迎えのワゴン車が来てサークルの主催者に促されて乗り込んだ。
すみません。黒蜥蜴の2次創作は挫折しました。
全く明智が動かせない!私の中に1mmも探偵の素養は無い!黒蜥蜴も魅力的に書けない!
ので止めました。
やっぱりやった経験あることしか書けない!
作家には図書型と体験型が居るそうで(編集さんの受け売り)江戸川乱歩は完全な図書型で家が書庫みたいになってたそうで。
実は本屋に拾われてデビュー作を編集さんとネームやったり( 特に漫画家目指してなかったのですが、成り行きで)
その未完のデビュー作を書こうかと思ったけどダーク過ぎるのでヤメ!
妊婦が旦那さん食べて赤ちゃん産む話…
あまりに悲惨な話だから、止めました。
それを商業誌に書こうとしてたのが恐い!
編集さん、止めて!
なんで今回は、本当に参加したラフティングサークルを舞台に何か書こう!(子育て終わって、何か血迷って参加した。ママ友が社会人のバスケサークル入った話し聞いたから)
後エキストラでテレビ局出入りしたり〜漫画家のアシスタントしたり〜アパレルでバイヤーやったり〜学生時代は映画作ったり〜同人誌作ったり〜
まだまだネタはありそうですね。




