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夜鴉の求愛  作者: 神代きい


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19/19

初めて同士の初夜

TL要素を含みます

 自分を包み込む心地良い温もりを感じながら、キラの意識がふわっと緩やかに上昇していく。

 ふわふわとした思考でうっすらと瞼を開けると……、キラを優しく抱き抱えて眠っているディーの首筋が見えた。

 キラを抱き寄せて守るように乗っているディーの腕の重みさえ心地良い……。

 ぼんやりしつつ視線を移すと、とても安らかで幸せそうなディーの寝顔。ここまで無防備なディーはこれまでに見たことがないかもしれない。

「んん……」

 目元がむず痒くてディーの胸元に擦り付けると、ディーの体温と匂いで幸せな思いが満たされていく……。

 そのままディーに顔を擦り寄せ続けていると、ディーがクスクスと笑い始めた。

「寝ぼけていて可愛い……」

 優しく甘い声音に視線を上げると、うっとりと優しく自分を見つめているディーの眼差し。

「おはよう、キラ。良く眠れたか?」

「ん……」

 言葉にならない声で返事をしながら、再度ディーに目元を擦り付ける。

 とても気持ち良くて、心がふわふわする……。

「ディー……」

 無意識に漏れたディーを呼ぶ声は、自分でも驚くほどに甘えの色が滲み出ていた。

 少し恥ずかしくなりつつ、ディーの胸元に顔を埋めて擦り寄せる。

「俺に甘える番が可愛い」

 愛おしくてたまらないという甘い声音を紡いだディーが、キラの行動に応えるようにキラの頭に顔を擦り寄せる。

「……ん……?」

 少し思考が戻ってきたキラは眠る前の記憶を辿る。

 深夜にディーと一緒に出掛けて、そこでディーの求愛に応えて番の(えにし)を結んで、その後は離れがたい衝動にひたすらディーと抱擁を交わして、番の口付けを繰り返して――……。

 その、後は……?

「えっと……」

 不思議に思いつつディーに体を寄せて周囲に視線を向けると……、そこは見慣れたディーの寝室だった。

「ねぇディー……、私達いつ帰ってきたの?」

「ぅん……?」

 先程からキラの頭に頬を擦り寄せ続けているディーに問い掛けると、まるで寝ぼけているかのようなディーの声。ディーは本能的にキラの匂いと温もりを自分に移そうとしているようだ。

 とはいえ、それはキラも同じだ。抗えない番への衝動に、無意識にディーに擦り寄ってしまう。

「あぁ……。あの後あそこで甘えあっていたら、そのうちにキラが寝落ちしたんだよ。俺に甘えながらふにゃふにゃと寝入ったキラは本当に可愛かったなぁ。眠っているキラをいっぱい抱きしめて堪能してから帰ってきたんだ」

「もうっ……!」

 いつもならディーの言葉に抗議して体を離しているところだが、今は軽く抗議の声をあげつつディーの胸元をポカッと力なく叩いただけ。

 まるでディーから体を離すという思考と機能が自分の中から失われたみたいだ。そう思ったところで、以前ディーが話していた言葉を思い出す。

『キラだって俺との番の(えにし)が結ばれた途端に俺から離れられなくなるんだぞ? 強力な磁石のようにピターッとくっついて離れられなくなる。これは抗いようのない番の本能だ』

 この離れがたい衝動が番の本能なのだろう……。常に体のどこかがディーに触れていないと落ち着かない。 

「お互いに徹夜だった上に、番の(えにし)が結ばれるという大きな変化があったんだ。だから眠くなるのも無理はないさ。俺もキラを抱き抱えたままベッドに沈んで、さっきまで深く眠っていた」

「起こしちゃった?」

 眠っているディーに擦り寄った自分を思い出してキラがおずおずと訊ねると、ディーはクスクスと笑いながらキラのこめかみに口付けをした。

「キラが起きる少し前から微睡んでいたんだよ。俺に擦り寄る無防備なキラが可愛かった」

「……ディーだって無防備じゃない……」

「あぁ、そうだな。お互いに無防備の自然体でいられて心地良いよな。なぁ、俺のキラ……」

 そこまで言ったディーが幸せそうにキラを抱き寄せる。

「キラ、俺だけの番……。あぁ、幸せすぎる……」

 自分に抱きついてくるディーがまるで幼子のようだ。キラがディーの頭に手を伸ばしてゆるゆると撫でると、ディーはますますぎゅっと抱き寄せて頬に口付けをしてきた。

「ディー……」

 自分を呼ぶキラの甘え声にディーはふわりと微笑み、キラの唇に口付けをした。

 そしてそのまま優しく唇をチロリと舐めて、キラの口に舌を割り入れていく。

「んん……っ」

 口内の壁を艶かしい動きでくすぐられて、歯列を舌で丁寧になぞられる。

 その感触に呼び覚まされた快感にゾクッと体を震わせて、キラはディーもまたディーの舌に自分の舌を絡ませた。

「ん……」

「っ、はぁ……」

 吐息の合間から聞こえる互いの声に煽られながら、深い口付けに夢中で耽って――……。

「っ! ま、待って……っ!」

 ブラウスの裾を捲り上げて入ってきたディーの指先に素肌を撫でられて、キラは思わず制止の声をあげた。

「嫌か……? キラの肌に触れたくて仕方がないんだ」

 眉尻を下げたディーに首を傾げられて問われ、キラは混乱する頭で言葉を選ぶ。

「いっ……、嫌じゃない、けどっ!」

「……もしかして、俺が怖いのか?」

 どこか悲しげにまっすぐと見つめられてしまい、キラはフルフルと首を横に振る。

 確かに……、ディーの全身から強く自分を求めている気配が感じられる。ディーがこぼす吐息の一つですら明確な欲望が宿っているのだ。

 逞しいディーに迫られて小柄な自分が圧を感じるのは確かだ。だが――。

「怖くない、けど……っ。は、恥ずかしいッ……!」

 真っ赤になりながらディーに誤解されないようにそう答えると、ディーは色気を漂わせた微笑みで優しくキラの首筋に口付けをした。

「なぁ、キラ……。キラも素直になってくれ。番の(えにし)を結んだ直後に発情するのは自然なことなんだ。だから、恥ずかしがらなくていい」

「……っ!」

 発情というストレートな言葉に体がカァッと熱くなる。

 キラの潤んだ瞳を覗き込むように見つめたディーは、その目元に優しく口付けを落とした。

「優しくする。乱暴なことはしない。キラが嫌がる真似は絶対にしない。だから……っ」

「っ……」

 切羽詰まって上擦った声だ。ディーが自分を強く求めているのがわかる。

 本当ならすぐにでもキラの体を暴いてしまいたいのだろう。それでもディーはキラを傷付けるような真似だけはしないと、雄の本能を必死に抑えてくれている。

 ディーは求愛していた時期もずっと我慢してくれていた。夜に大人のふれあいをする時だってキラを気持ち良く満たすだけで、キラの前では己の欲望を発散させるような真似はしなかった。

「……っ」

 自分を覗き込んでいるディーの瞳を見る。

 今この瞬間も自分の中に潜む獣を律し続けているディーは本当に辛そうだ。浅く荒い呼吸を繰り返しながら、己の番を必死に見つめて――……。

「わ……私もっ、私もディーに触れたいッ……!」

「ッ!」

 キラの言葉を聞いた途端、ディーの目に鋭利な光が宿った。 

 軽く上体を起こしたボタンを千切る勢いで荒々しくシャツを脱ぎ捨てると、キラの上に覆い被さった。

 流れるように垂れ下がったディーの長髪がカーテンとなって、キラとディーが互いに熱く見つめ合う空間を作る。

「キラッ……」

 湿度の高い声で名前を呼ばれて、欲望が抑えきれないとばかりに唇を奪われる。

 絡み合う蛇のように舌を淫らに絡ませて、ただただ必死に互いを貪りあった。

「ん……っ!」

 口付けを交わしながらディーにブラウスのボタンを外される。

 そうして上体の肌が密着した途端に、とてつもない多幸感が脳天まで駆け抜けた。

 番同士が放つ体温と匂いに頭がクラクラしてしまう。熱く甘く蕩けるような快感が支配していく。

「あぅっ! んん……っ!」

 ディーに乳輪ごと乳首を捏ねながら胸を揉まれて、喉を噛みつくように荒く吸い付かれる。

 そんなディーの飢えた獣のような気配に恐怖を抱くどころか喜びさえ感じてしまう。

 むしろそこまで彼に強く求められているという事実が、番から向けられた貪欲なまでの独占欲が、キラの快感と欲望を煽り立てていく。

「あ、ぁあ……っ! ディー、そこっ……!」

「ククッ、わかってる。キラは乳首の先端を爪で擦られるのが好きだもんな。いっぱいしよう」

「やぁん……っ」

 これまで毎晩のように重ねてきた大人のふれあいによって、ディーに上半身で弱い部分を知られている。ディーの爪に乳首をカリカリと擦られて、体がビクンと跳ねてしまう。

 そうしている間にディーの手はキラの体を優しく撫でながら下へと移動していく。

 スカートを捲られて、太股の内側を直接さわさわとまさぐられる。

「ひゃんっ……!」

「あぁ、可愛いなぁ……。キラ、もう少し足を開いてくれ」

 ディーの声と手に促されるままキラが足を開くと、それまでキラの体を跨ぐように乗っていたディーが足の間に体を移動させた。

 完全に組み敷かれた状態となった興奮と羞恥心に、そして太股の内側から伝わってくるディーの高い体温に、キラの体もまた熱くなっていく。

「なぁ、キラ。キラの大事な場所を直接触りたい。いいか?」

 ディーは囁きながらキラの太股を優しく撫でている。

 それだけで股の間と下腹部がじわっと熱く疼いて、キラは大きく身じろぎをした。

「……ゃ……やさしく、ね……」

「もちろん。初めてで力加減がわからないから教えてくれ」

「ん……」

 ゆっくりとディーの右手が太股の外側から内側へと移動していく。

 こんなに体が密着した状態だと激しい鼓動がディーにも伝わってしまっているかもしれない……。そう思いながらもディーの背中に回した手にぎゅっと力を入れて身構えると、彼は優しく口付けをしながら空いている左手で頭を撫でてくれた。

 ショーツの中に潜り込んだディーの指先が、キラの大事な部分に辿り着く。

 くちゅっ、と音がした気がした。

「ふふっ、凄く熱いな。それに濡れてる」

「ゃあっ! 恥ずかしいから言わないでっ……」

「俺は嬉しいよ。キラがこんなに俺を求めてくれているんだからな」 

「あんっ……」

 自分の手とは違った男性らしい指が優しくくすぐるように移動して――、ついにはキラの敏感な蕾に触れた。

 途端、ビリッと電気が走ったような強い感覚が背中からつま先へと走る。

「やッ! ちょっと強くて痛い……っ」

「悪い。もっと優しく、だな」

 軽く顔をしかめたキラにディーはすぐさま詫びて、頬にチュッと口付けた。

「本当に敏感で繊細なんだな……。今度はどうだ?」

「……ん……」 

 これまで毎晩のように胸や太股を優しく愛撫されて得てきた感じとは違う直接的な快感。

 ムズムズして、少しビリビリして、もっとと求めてしまう快楽……。

 自然と息が弾んで、ディーの背中に回した手に力が入って、無意識に腰が揺れてしまうっ……。

「あぁ、どんどん濡れてきたな……。キラが俺に感じてくれて嬉しいよ。キラ、気持ちいい? 自分でするのとどっちがいい?」

「っ、ディー……っ」

 キラがすがりつくように答えると、ディーの口元が妖しく歪んだ。

「俺の方がいいのか? ふふっ、本当に可愛い。自分で慰めたことがあるって認めたな? お前の可愛い指でここを慰めたことがあるんだな? いやらしい子だ」

「っ! いじわるっ……、ぁんっ!」

 リズミカルな刺激に快感が高まっていく。

 体がどんどん熱くなって、嬌声と腰が止まらなくなっていく。

 どんどん高まって――。

 ついに、弾ける。

「んぁあッ!」

 背中が弓なりになってビクビクッとうち震えた小柄な体。

 ディーはキラを左手で抱きしめて求愛の口付けをした。

「軽くイったんだな? 可愛い……。あぁ、また蜜が溢れてきた」

「そ、そこはもう、やだぁ……っ!」

「それなら、こっちは?」 

 達したことでより鋭敏になった蕾への刺激を止めた指先が、じゅわっと愛液が溢れ出ている割れ目へと下りていく。

 いやらしい蜜で貼り付いて擦れるショーツの感触とディーの指がくすぐられる感触に恥ずかしくなってしまう。

「んんっ……」

 割れ目をなぞられて感じたのは、こそばゆいような気持ち良さ。

 思わず甘く上擦った声をあげると、ディーが優しくこめかみに口付けをした。

「凄くトロトロだな。気持ち良さそうだ……」

「あぁっ……! ディー……!」

 指先でくちゅくちゅと掻くように浅く擦られて息が弾む。

 堪らずに彼の名を呼ぶと、色気を放つ微笑みを浮かべたディーがチュッチュッと唇に口付けをしてきた。

 ディーの唇と吐息が熱い……。明らかな欲望を帯びたそれらに鼓動が早くなってしまう。

「可愛いよ、キラ。俺を見つめてくる蕩けた目が愛しい。ああ、腰が揺れてるな。気持ちいいか?」

「んっ……」

 落ち着かなくてもぞもぞと身じろぎしていると、ディーが優しく耳たぶを食んできた。

「なぁ、キラ。自慰で指を挿れたことはあるのか?」

「……?! な、ないっ!」

 耳に吹き掛けられた熱い吐息にゾクゾクしながら答えると、ディーが綺麗に目を細めて見つめてきた。

「んん? 自慰の経験はクリだけなのか? 指を挿れたことはないのか? 本当に?」

「ほ、本当にッ!」

 羞恥心と興奮で混乱しながら返事をしたキラの鼓動を堪能するように、ディーが胸にすりすりと頬擦りしてくる。ディーの滑らかな長髪が肌をくすぐる感触が敏感になった感覚を刺激して、気持ちいいっ……。

 その快感に気を取られていると、ディーがキラのショーツの縁に指を掛けて軽く引っ張った。

「キラ、全部脱ごうか」

「っ……! は、恥ずかしいからぁ……っ!」

 体をくねらせてもぞもぞと抵抗した……が、ディーの前では意味のない抵抗だ。むしろ抵抗の動きでキラのショーツとスカートを脱がすディーを手助けする形となってしまった。

 生まれたままの姿となったキラを見下ろしながら、ディーの口元が嬉しそうに歪んでいく。

「ああ、なんて綺麗なんだ……。白い肌を紅潮させて震えてる。あそこもぐちょぐちょにさせて、いやらしいなぁ」

「そんなにジロジロ見ないでっ! 私ばっかり全部脱がせて、狡い……ッ!」

 全裸になったキラに対してディーは上半身だけを脱いだ状態だ。

 不公平さを訴えると、汗で貼りついた髪を掻き上げたディーが企み顔で妖艶に笑う。 

「キラはそんなに見たいのか? 俺の、何を?」

「~~~ッ! 馬鹿ぁッ!」

「いてッ。あはははっ!」

 思わずディーの脇腹を平手でペチッと強く叩いたが、ディーにはほとんど効かなかったようだ。

 ディーはクックッと笑ってキラに覆い被さると、再び耳たぶを優しく食んでチロリと舐めた。

「まぁ待ってくれ。余裕ぶっているが、俺だってギリギリなんだよ。脱いだら本気で理性が吹っとんじまう。だから――……、今はたっぷり前戯を楽しまないと」

「いっ……!」

 割れ目を掻き分けたディーの中指がゆっくりとキラのナカへと差し込まれていく。

 痛みに近い未知の感覚に思わず身構えて力が入って、入り口でディーの指をきゅっと締めつけてしまった。

 その刺激で呼び起こされた快感につま先がピンと伸びる。

「んあぁぁっ……!」

「ふふっ、可愛いなぁ。自分で勝手に俺の指を締めつけて、勝手に感じてる」

「やっ、馬鹿ぁっ! ……ゃんっ……!」

 ディーの中指が優しく前後に動いて、入り口が擦れる感触に嬌声が漏れてしまう。

 ナカではディーの指先がとても優しく探るように動いている。内臓を内側から触られている違和感しかなく、そこに快感と呼べるような物は――……。

「んあぁッ!」

 内壁のザリッとした部分を擦られた瞬間、経験したことのない快感が駆け抜けて体がビクンと跳ねた。

 その反応に、ディーがフッと熱い吐息のような笑いをこぼす。

「――見つけた。キラのいい所は、ここだな」

「ぁ……ッ!」

 キラが反応する場所を捕捉したディーは、執拗にそこを優しく擦り続けていく。

 自分の中から込み上げる快感にキラは目を大きく見開き、全身からブワッと汗が噴き出した。

「ああっ! あんっ……、ダメッ! そこダメぇ……っ!」 

 自分が与えている快楽に翻弄される番を前に、ディーの瞳が苦しげに細められた。

「なんて可愛いんだ。……あぁくそッ、ヤバいな。キラ、俺のキラ……ッ!」

 先ほどまでとは違って余裕を失ったディーの声。

 ディーはキラの中から中指を引き抜くと、指に纏わりついたキラの蜜を丹念に舐め取った。

 情欲に満ちた番の姿にキラはゾクッと身を震わせて、逃げ場のない欲求を抱えたままディーを潤んだ瞳で一心に見つめる。

「あぁ……。蕩けた顔をしているなぁ、キラ。あぁ、ヤバいッ。凄くたまらない。お前を食らいたいッ……!」

「……っ!」

 ディーは噎せ返るような色気で苦しげに微笑むと、噛みつくような勢いでキラの華奢な喉に歯を立てずにかぶりついた。

「ぁ、ぁあ……っ……!」

 行き場を失ってさ迷っていたキラの手は、ディーの大きな手で器用に捕らえてベッドに縫い止めた。

 その間にもディーはキラの喉に大きく吸い付いて、舌が肌を這い回っている。

 完全に自由を奪われて、生物として弱点である喉をじっくりと味わわれて……。飢えた猛獣に捕食されている気分だ。

 ディーが自分に向けている独占欲にゾクゾクしてしまう。

「ッ――……、はぁ……っ!」

 キラの喉から口を離したディーは荒々しく呼吸を整えると、自分が付けた痕を指先でなぞった。

「あぁ、俺のキラ……。俺にされるがままになっていて可愛いなぁ」

「ディー……っ」

「ふふっ、キラも興奮しているじゃないか。潤んだ瞳で見つめられるとたまらない……。

 ――……あぁもうダメだ、これ以上は我慢できないッ。キラ、お前を抱くぞッ!」

 自分を求める直球な言葉に、キラの下半身がズグズグッと重く疼いた。

「ディー、ディーぃ……っ!」

 膝立ちで見下ろしているディーを求めて必死に手を伸ばすと、ディーは一瞬呼吸を忘れて、そして息を大きく吐き出した。

「……ッたく、お前と言う奴は! そんな甘い声で今の俺を無自覚に煽るんじゃないッ!」

 ディーはキラの顔の横に右手をついたまま、焦った様子で左手でズボンのベルトをガチャガチャと外している。情欲を放ちながら余裕を失った番の姿に、キラの下腹部の疼きが止まらない。

 そうしてディーがズボンと下着を乱雑に脱ぎ捨てた途端に、待ちわびたように圧倒的な雄が飛び出した。

 キラはゴクリと息を飲んでその光景を見つめる。――目が、離せない。

 初めて見る男性の全裸だ。無知なりにキラが想像していた以上に凶悪な形状をしたそれはバキバキに屹立していて、先端から先走りをダラダラと流していて……。

「……は、入るのかな……?」

 緊張と欲情の狭間で生まれた素朴な疑問を掠れ声で無意識に呟くと、それを聞いたディーがククッと笑った。

「お前は俺を煽る天才か?」

「えっ?」

 言葉の意図がわからなくてキラがキョトンとディーを見ると、彼は貪欲な欲望を宿した目でキラの瞳を捉えた。

「もちろん挿入(いれ)るさ……と言い切りたいが、俺も初めてだ。初めて同士の初夜なんだ。もちろんキラに嫌な思いはさせたくない。痛すぎたり辛かったりしたら遠慮せず言ってくれ。絶対にそこで止めるから」

「……ディー、止められるの?」

「ッ! だーかーら、可愛く無邪気に煽るんじゃないッ。童貞ががっついて無様な真似を晒さないように必死で冷静を取り繕っているのに、煽られたら台無しになるだろうがッ!」

 しかめ面で舌打ちしながら乱雑に頭をガシガシと掻いているディーに、キラは思わずクスッと笑ってしまった。

 ああ……、やっぱりディーだ。自分だけが知っているディーの姿だ。

 人前では夜鴉公(よがらすこう)として数多の魔族を従えている絶対的な支配者のディーだが、キラの前では別の在り方だ。意地悪なことを言ってからかったりもするけれど本当は繊細で、それでいてちょっと見栄っ張りで、情けない一面もある――……自分だけの、優しい番。

 自分が制している相手にクスクスと笑われたことで、ディーは少しムッとした顔をした。だがすぐに不適な微笑に変えて、キラの足を大きく開いて抱え直す。

「いいさ、生意気なキラを思う存分に啼かせてやる」

「っ! んあぁぁんッ!」

 熱く生々しい雄の先端をドロドロの割れ目に押し付けるように擦り付けられて、油断していたキラは体をビクンとさせてたまらずに嬌声をあげた。

 自分の愛液と彼の先走りでますますぐちょぐちょになったそこから絶え間なくいやらしい音がして、キラは自分の喘ぎ声と行為が立てる淫靡な音でますます高まっていく。

「あぁっ、ヤバいッ。気持ちいいなこれ……ッ!」

 ディーもまた己の行為がもたらす快楽と乱れるキラに興奮しているようだ。荒い呼吸から漏れ出る喘ぎを隠すことなく耽溺に耽っている。

 ディーはキラの体を軽く引き寄せて位置と向きを調整すると、蜜穴に雄を押し当てた。

「キラ、挿入(いれ)るぞ」

「ぃ……っ!」

 狭い穴を無理矢理こじ開けるように雄をグッと押し付けられる……。引き裂くような痛みはまだ耐えられる範疇だが、小柄で軽いキラは突き進もうとするディーの強い圧に押し負けてしまう。

 キラは無意識で痛みと圧から逃れるように体をずり上げようとしたが、そんな番を逃さないとばかりにディーが大きな手でキラの細い腰を押さえた。

 痛みや恐怖からではない生理的な涙が溢れてくる。

「うぅ……っ」

「キラ、キラ、もうちょっとだから」

 ディーはキラの涙を優しく拭ると、キラに雄を押し込めようと力を込めた。

 そうしてようやくキラのナカに先端のくびれまで納めて、ディーがふぅと熱い吐息をこぼす。

「っ、はぁぁ……。キラ、先が全部入った。大丈夫か?」

 ディーがキラの涙を何度も拭って頬に口付けを落としながら訊ねると、キラもまた自分の目元を手背で拭ってから不安げにディーを見上げた。

「ま、まだ先だけなの……?」

「一番太い部分が入ったんだ。続けても、いいか?」

「やめちゃやだ……」

 ボソッとこぼした番の呟きにディーは口元を歪めると、狭隘なそこを押し広げながら熱い杭を突き進めていく。

「くっ、キッツいなぁ……。

 ――……はぁぁ……。キラ、終わった。ちゃんと入ったよ。大丈夫か?」

「ぅ……」

 天井に向けてはぁぁ……と大きく息を吐いたディーがキラを見ると、キラは苦しさをこらえるように瞼を固く閉ざしていた。

 ……愛する番のそんな姿に心を痛める一方で、嗜虐的な快感が心に疼いてしまうのだから厄介だ。

「あぁキラ……、痛いよな」

 ディーが労りの言葉を掛けながらキラの横顔を優しく撫でると、薄目を開けたキラはふぅふぅと浅く息を吐きながら首を横に振った。

「い、痛いけど、それは大丈夫なの……。でも、苦しく、て。圧迫感が、ね、すごくて。無理すると、口から出そう……」

「あっ……。そうか、そりゃそうだよな。ごめん、そっちには気が付かなかった。キラは小柄だから余計に苦しいよな」

 異物を体内に無理矢理押し込められた状態なのだから、それに苦痛を感じるのは当然だ。そんな当たり前のことに考えが及ばないなんて――……あぁまったく、これだから無知な童貞は。初体験の番を思いやれないだなんて情けないっ……。

 ディーが内心で自分をそう罵りながら謝り続けると、キラが可笑しそうにクスクスと笑った。

「ディー、大丈夫だよ。でもね、ちょっとだけ、待っててね……」

「あぁもちろんだ。キラが慣れるまで待つさ。ここで盛るほどケダモノじゃないぞ、俺は」

「さっきは私の喉に噛みついたくせに」

「あれは魔族としての側面がちょっと漏れ出ただけだから、ノーカンだ」

「ふふっ……」

 ディーがキラの微笑みに安堵しながら軽口を叩くと、キラも軽口を叩いてからクスッと笑って目を閉じた。

 ディーはキラに被さるように体を倒して、一つ一つ丁寧に口付けの優しい雨を降らして番を労っていく。

 しばらくそうしていると……、優しい番の温もりと匂いが与える安堵感も手伝ってかキラが段々と落ち着いてきた。

 呼吸が安定したキラは目を開けてディーを見つめる。

「ん……、大丈夫そう。ねぇ、ディー……」

「わかった。ゆっくり動くからな」

「うん……」

 ディーはキラに覆い被さったまま、ゆっくりと淫らに腰を浅く動かし始めた。

 ここで雄の本能に任せて激しく奥を突き上げてはキラを苦しめるだけだ。キラが前戯で感じていた所を擦るように狙って、腰を回すように優しく動かしていく。

「ん……っ」

 キラが健気に快楽を捉えようとキュッと目を瞑っている。その吐息の隙間から甘い声が漏れ始めた。

「はぁ……。可愛いなぁ、キラ……」

 番の頬に残る涙の跡を口付けながら、ディーは優しくキラの胸をまさぐり始めた。

「んぁ……っ。ぁあっ……!」

「あぁ、可愛い……。キラ、可愛いなぁ。愛してる。可愛い……」

「ディー……、気持ちいぃっ!」

 普段は恥ずかしがって素直に言われないキラの言葉を聞いて、ディーはゾクッと体を震わせた。

「あぁ、ヤバいな……ッ。キラが俺に感じていると思うとゾクゾクする」

「っ……!」

 ディーの低い喘ぎ声に、キラもまた背中にゾクッと快感が走った。

 その刺激で中がキュッと締まって、ディーが低い喘ぎを漏らす。

「くっ……。こらっ、そんなに締めつけられるとヤバい。気持ち良すぎる……ッ」

「? ディーも気持ちいいの……?」

 何故か不思議そうなキラの声に、ディーはクスッと苦笑する。

「もちろん気持ちいいよ。キラのナカ、ヤバすぎる。熱くて、とても柔らかくて、俺を包んで――……、ッ! そんなに締められるとマジでヤバいから……ッ!」

「嬉しくて勝手にそうなっちゃうんだもん……っ」

 キラのナカがディーの楔を健気にキュッキュッと締めつけている。

 お互いの反応と息遣いに煽られながら、ディーの動きが少しずつ早く強くなっていく。

「ヤバい気持ち良すぎるッ……。悪いキラ、俺もう我慢できそうにないッ!」

「っ……」

 完全に余裕を失って切羽詰まったディーの声音を聞いて、キラの心に快感が広がった。

 ふにゃっと笑いながらディーの頬を撫でて、その背中にしがみつく。

「ディー……、いいよ。もうディーの好きにしていいよッ。好きにして、気持ち良くなって……っ」

「クッ……、最ッ高の煽りだなァッ!」

 逃がさないようにキラの体を抱きしめたディーが手加減なく獣のように猛然と腰を振り始めた。

 秘められた奥を凄まじい圧迫感の中で激しく突かれる苦しさはある。だがそれ以上に自分を求めるディーに胸がいっぱいになって、あのディーを夢中にさせていることが嬉しくて、たまらなく気持ちいい……っ!

「あっ、ああっ! あぁッ、ディーッ! ディー……ッ!」

 キラが堪えきれずにディーの背中に爪を立てながら強く体にしがみつくと、ディーが息を乱しながら激しく口付けをしてきた。

 口の中まで縦横無尽に犯される快感に、無秩序にうねって収縮するナカで熱い楔が揺さぶる快感に、キラの視界にチカチカと星が散る。

「ぷはッ――……! キラ、出すぞ! ナカに出すぞッ!」

「んふっ……。ディー、ディー……っ!」

 口付けを離したディーがより一層激しくキラのナカを突き上げて――。

「ッ、あッ――…………!」

 キラを隙間なく抱きしめたディーが、キラの最奥で精を放った。

「ぁっ……あぁ……っ」

 ビクビクと震えながらたっぷりと吐き出された熱い体液。自分の内側で感じるその感覚に、キラもまたうち震えながら静かに達した。

 キラのナカが淫らに蠢き、熱い肉槍から最後の一滴まで搾りっていく……。

「ん……っ」

 やがて全てを吐き出したディーは体の力を抜くと、キラと繋がったままキラを押し潰さないようにと横抱きに体勢を変えた。

 お互いの体を抱きしめながら唇を重ねて、深く幸せな口付けを交わす。

「ディー……だいすき……」

「キラ……」

 涙を滲ませながら多幸感と強い疲労感にふわふわと微笑むキラ。そんな愛しい番にディーもまた微笑み、優しくすりっと頬擦りをする。

「俺もだよ。キラ、大好きだ……。俺を受け入れてくれてありがとう。凄く良かった……」

「ん、私も……。……ねぇディー……。なんだかね、今も気持ちいいの……」

 キラは蕩けた表情のまま脱力して今にも寝入りそうだ。行為による疲労に加えて、吐精から取り込んだディーの魔力が休眠を促しているのだろう。

 幼子をあやすようにディーに優しく撫でられて、キラはすぅっと眠りに落ちた。



 ディーは汗で額に張りついたキラの前髪を払いながら、キラの中で巡っている自分の魔力を見つめた。

 大天使であるキラが歪んだ魔族である自分の魔力を取り込んで、どのような反応を示すかが気掛かりだ。キラを傷付けることだけはしないようにと、予め自分の中に巡る魔力量を調整していたのだが……。

「……」

 ――……ああ、問題はなさそうだ。魔力に対して目立った拒絶反応もないし、キラにゆっくりと吸収されつつある。

 この調子なら順調にキラと馴染んで、穏やかな変化でキラを自分と同じ魔族側の存在にしていけることだろう。そうすればやがてキラも自分と一緒の年月を共に生きていけるようになる。

 自分はキラと一緒に、キラと同じ歩調で生きることができる――……。

「……キラ……、俺だけの番……。あぁ、幸せだなぁ……」

 ディーは無防備な番の額にそっと口付けをして、綿雲のような穏やかな気持ちで目を閉じた。

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