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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: マヨネ・アン
IF話 (特別三人称)
53/53

IF話 

昼夜逆転。

それは言葉の通り、昼と夜が逆転することである……。

これはとある町において、突如発生した昼夜逆転現象の話。

【20IF年 IF月IF日(虚日)AM11:00】

【ほこやぎ町 某所】



 その男は、ラーメン昼独(ちゅうどく)という名の人気ラーメン店の行列に並んでいた。



《ガヤガヤ(今日も行列……やっぱり人気ラーメン店だけあるよなー)ガヤガヤ》



 ――確かにSNS、TooTuber、テレビや雑誌で何回も紹介される人気店だからな……というよりも何かざわざわしてるな。




 かなりの長い行列で、突如として発生したざわつき。

 列の後方部にいるその男には当然ではあるが、ざわつく理由が分かるはずもない。




 ――どうしたんだ? 何かあったのか?




 その男はざわつきの行列の中、帰ろうとする人の様子を見ていたが、またも信じられない現象が発生した。

 それは行列を諦め帰ろうとする人が、見えないナニカの力で、並んでいた列の位置に強制的に戻されるのだ。




 ――なんだ?! なにが起きてる!



 その男が困惑していると、ようやく前から伝言ゲームが回って来た。



「前の人からやっと情報を聞くことができました」


 前の人が森咲杜鷹に話し始めた。


「で、昼独ラーメンでなにが起きたんですか?」



 その男の麺の好みはストレート麺だった……いいやその男は、前の人に情報をストレートに聞いてみたのだ。



「えーと、昼独ラーメンの営業時間が突然AM12:00に変わったみたいです、しかも昼独ラーメンだけではなくて、全ての時間が昼夜逆転したみたいなんです! しかも行列に並んでいた人は、あと10時間以上行列を待たないと解放されないとのことです」




 ――んな、バカな! あり得ないだろそんな話!



「……情報、ありがとうございます」


「いえいえ、お互い頑張りましょう」




 摩訶不思議なこの現象。

 当然なことではあるが、その男が信じられるはずがなかった。



 ――ログアウトしたい……喜冬さん! あれ、ログアウトができない?



 その男は"なぜか!"ログアウトできなかった。

 その男がログアウトできるのは、妄想犯行計画の暴く側サポートプレイヤーであり、探偵ヘルプである雪護喜冬がログアウトコマンドを押した時のみ。

 しかも、その男がログアウトという言葉を頭の中で、ハッキリ考えないと、ログアウトコマンドを押せないのだ!

 だが、その男の視界に表示されたUIは、いつものUIメッセージでは無かった。



【妄想犯行計画システム設計者:小蒼のオペレーション"ログアウト断固拒否"が発令中の為、探偵はログアウトできません! 残待時間10時間以上】




 ――妄想犯行計画システム設計者:小蒼によるオペレーション"ログアウト断固拒否"が発令中? 

 なぜ妄想犯行計画内にあるラーメン屋の行列を10時間以上も待たないといけないんだ!



《『ふっ、頑張ってね。森咲杜鷹さん!』》


「小蒼ちゃん……、が……頑張ってね、じゃないよ! なんてことしてくれるんだ!」



 その男の名前は、森咲杜鷹。

 彼は今、仮想現実空間ほこやぎ町でラーメンを食べようとしていた。




 ――クソ! やっぱり小蒼ちゃんの仕業か! 小蒼ちゃん、おい小蒼ちゃん!




《ふっ、ワタシは刻想器だったモノだから、あのくだらしょも短編集に登場する事はできない……残念でした〜、森咲杜鷹さん!》




 ――はぁ?

 頭の中をまた覗いてきて、『ふっ、ワタシはあのくだらしょも短編集に登場できないから残念でした〜』じゃないよ!

 "味噌ラーメン"が好きな小蒼ちゃんは、本当にそういうことするのが好きだよな!




《ふっ、ワタシの食べるホコヤギ味噌ラーメンを美味しそうだねって、言った杜鷹が全て悪い!》


「なんだよその理由は! はぁでも……」


 ――行列客が戻されるぐらいからおかしい、そう考えていたんだ……仕方がない、10時間待つか……。



 こうして森咲杜鷹は、10時間以上かけてほこやぎ町のラーメン昼独を醤油豚骨ラーメンを食べることができた。




 ――お腹が空いた状態で食べた醤油豚骨ラーメン、やっぱり美味しかったな! じゃなくて五感再現された仮想空間……なんでラーメンの味も再現できるんだよ!



 終。

[登場人物&用語]

 森咲杜鷹→もりさきもりたか

 妄想犯行計画の主人公。

 現実世界のまほらぎ市に住む20代半ばの普通のサラリーマン。

 仮想空間のほこやぎ町に滞在時は、萬屋記録局の局員。


 趣味は推理作品とトリック作品の鑑賞と考察。

 小蒼ちゃんと刻想契約を結び、昼間はサラリーマン、夜は仮想空間で暴く側プレイヤーの探偵として、二重生活を送っている。



 小蒼ちゃん→コソウちゃん。かつて想いを叶える存在であった刻想器。森咲杜鷹と刻想の契り(刻想契約)を結ぶ。

 現在は森咲杜鷹の自宅ハイツまほらぎにゲーミングノート"KokuSouS(コクソウズ)"の中にある3Dデスクトップ空間にいる。



 喜冬→雪護喜冬 ゆきもりきふゆ 妄想犯行計画のヒロイン。


 森咲杜鷹と同じ趣味を持ち、同僚趣味友以上恋人未満の関係。大学時代は犯人側の思考を議論し合うサークル"トリック研究会"に所属。

 現在は、小蒼と刻想契約を結び森咲杜鷹を現実世界とほこやぎ町でサポートしている。

 彼女が持つ妄想犯行計画は、探偵ヘルプ版。



 妄想犯行計画システム→森咲杜鷹が小蒼と契約した事で、小蒼が森咲杜鷹が好きな推理作品"萬屋赤葉の事件帳"の世界ほこなぎ町を再構築した仮想現実世界:ほこやぎ町に入る為の五感転送システム。

 森咲杜鷹は暴く側の探偵となり、暴かれる側のプレイヤーの妄想犯行計画を暴いている。




 妄想犯行計画のゲームルール:3の一部分。

 妄想犯行計画にログイン中は、現実世界の時刻は進まない――逆の場合も同じ。



[あとがき]

 昼間は全てのお店が閉まっていて、真夜中に全てのお店が開店していたら、そこから昼間は睡眠、夜は労働みたいな世界に変わったら、それも昼夜逆転だよな……なんて考えながら書いてみました。

(本編ストーリーとは別のIFのストーリー、妄想犯行計画の世界観です)

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