36話 太陽光なんちゃら調査 中編
太陽光なんちゃら調査 中編
【202X 2月X日 AM09:00】
【仮想:ほこやぎ町 西やぎ区 バス停留所】
『あざっしたー、またご利用くださいませ〜発車しゃーす』
――ん? なんだこの運転手、感じ悪いな……
ほこやぎ町西やぎ区のバス停留所に着いた僕達は、依頼主である藤西さんの自宅であるマンションに向かうことにした。
「杜鷹さ、今回の太陽光なんちゃらの確認調査の依頼主さんなんでうちに来たんだっけ?」
「依頼主の藤西明裡さんは、赤葉さんのフレンチトーストの隠し味の生クリームの製造メーカーの社員さんですよ」
「生クリームの製造メーカー……あっ! 思い出した、光希乳業の社員さんだ! フレンチトーストの味付けは私と同じ生クリーム派の人だよね?」
――僕は牛乳派なんだよな……
「そうですよ。確か最初は……藤西さんの住むマンションの部屋に設置された太陽光? 設備の動作確認記録をマンション管理会社に提出したい旨の調査依頼でしたよね?」
「うーん、太陽光なんちゃらがそこで出た様な……」
「太陽光の設備の動作確認記録調査の話からいつの間にか、フレンチトーストの隠し味に入れるのは牛乳か生クリームか? の議論で熱くなっていたのは誰でした?」
「熱くなってた? あー! 藤西さんが帰られた後、私は今朝の朝ごはん候補のフレンチトーストメモを書いて、ホワイトボードに貼った! それを喜冬は見た! だから喜冬は、私がフレンチトーストを食べたのが解った! そう言うこと?」
「謎は解けたのですか? 赤葉さん」
「ったく、もう! 二人して局長である萬屋赤葉様を試すなんて! ……まあ、でもそのおかげで、今の私はかなり充実した満足な生活が出来てるから、ありがとね」
――この赤葉さんの笑顔、喜冬さんにも見せたい! でも白いスマホで撮影しても事件に関係ない写真は自動消去されちゃうんだよな。
『ふっ、どんな形であれ、あなたは推しである赤葉にこんな形で会えてるのだから、それだけで満足でしょ?』
――小蒼ちゃんさ、僕が頭の中で考えた事を覗くのやめてくれない? 君が作ったシステムとは言え、僕にもプライバシーがあるからさ。
『ふっ、分かった……なるべく! 頭の中を覗くのはやめておくよ、フレンチトーストは牛乳派の森咲杜鷹さん!』
――全く、小蒼ちゃんは油断の隙も無いな。
僕と赤葉さんは、バス停から30分ぐらい歩き続けて、ようやく依頼主である藤西さんが住むマンションに到着した。
【202X 2月X日 AM10:00】
【ほこやぎ町 西やぎ区 ほこ西やぎマンション エントランス】
僕と赤葉さんは、藤西さんが住むほこ西やぎマンションのエントランスにいる。
「あれ見て杜鷹、太陽光なんちゃらのこと、書いてあるよ」
「確かに書いてありますね。えーと、なになに……」
[昨今高騰している光熱費対策、日当たり対応、光に対して特異体質をお持ちになられる方への対応として、当マンションは太陽光貯照遮断設備を設置しております。
管理会社 K.S不動産]
――はぁ、これはまた、なんというか分かりやすいギミックを……そうじゃなくて、僕はこんな設備が出てくるSF作品を見たことないし、知らないぞ! ステージ開幕すらしてないし!
「太陽光チョテラ……んちゃら設備? よく分からない名前だよねー。まっ、藤西さんのご自宅にお邪魔したら分かるでしょ」
「そうですね、とりあえず藤西さんの部屋番号は……」
太陽光なんちゃらの設備の名前を理解した僕は、白いスマホのメモアプリを起動した後、メモに書いてある藤西さんの部屋番号をエントランスインターホンへ入力した。
ピンポーン! ピンポーン!
『はははい、ふふじにししでぇぇす!』
――ん? 部屋番号間違えたかな? なんかバーチャル不思議系生配信者みたいな声だな。
エントランスインターホンのスピーカーから聞こえてきた不思議な声を聞いた後、赤葉さんはエントランスインターホンのマイクに顔を近づけた。
「こんにちは。本日、藤西明裡さんから設備の動作記録のご依頼を受けて参りました、萬屋記録局局長の萬屋赤葉と申します。藤西明裡さんのご自宅でお間違いなかったでしょうか?」
『めめ明裡? ああ姉なら、すすこしお待ちくください! おねぇーちゃん!』
先日依頼を受けた時、藤西明裡さんは妹と一緒に暮らしていて、僕が名前を確認したときも『その漢字の読み方は、私の妹の名前の読み方ですね。私達は双子の姉妹でして、私は明裡という漢字でメイリ、妹は明理という漢字でアカリです』と藤西さんが言っていたな。
もし第3の妄想犯行に藤西さん達が関わると仮定した場合、萬屋赤葉の事件帳の双殺のトリックの流れになるはずだ。
そうなってしまった場合、犯人は藤西さんか妹になる流れになると考えられるが、第3ステージは開幕されてないし、僕の考えすぎにしておこう。
僕達がしばらく待っていると、アカリさんとは違う声色をした女性の声がスピーカーから聞こえてきた。
『萬屋記録局のお二人方、お待たせしてしまい申し訳ございません。今オートロックを開けますので、エレベーターからお越しください』
「はい、かしこまりました! それじゃあ、杜鷹行くわよ!」
「はい、赤葉さん!」
僕と赤葉さんは、エントランスを抜けてエレベーターを使い、藤西さんの部屋まで向かった。
36話 太陽なんちゃら調査 中編 完。
37話へ続く!
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回投稿は4月末週の予定です。




