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妄想犯行計画 未来を掴む推理ゲーム  作者: 魔与音・庵
第3章 萬屋赤葉と匂いのトリック
15/31

#12 匂いのトリック 解決篇Part.2

【妄想犯行計画】は、創作世界の物語です。

 この物語はフィクションです。

 実在の人物、団体、事件、出来事とは一切関係なく、すべて架空の世界の出来事と事件です。

  前回の終盤。

 初老の資産家で、匂いの特異体質を持つ金餅 良緒(かねもち よしお )さんが、自宅邸内の書斎室で――命の灯火が消えた状態で発見された事件。


 今回の事件について、局員である僕――森咲 杜鷹(もりさき もりたか)の推理の疑問点を――ほこやぎ町の【萬屋記録局(よろずやきろくきょく)】で、局長の萬屋 赤葉(よろずや あかは)さん、赤葉さんの姉である警察キャリア組の萬屋 八色(よろずや やいろ)警視、ほこやぎ警察署の刑事、明堂(めいどう)警部たちから質問に答えていた。

 そして明堂さんによって、トリックに使われた【魚の干物】だったことが判明したところで、終わったと思う――

 それでは、仮想の五感探偵による――僕の推理の続きを聞いていただくとしよう――


 【202X 1月X日 PM22:00 】

 【ほこやぎ町 萬屋記録局 】

 【残解決時間 153時間】


 赤葉さんたちによる、僕の推理の疑問点について回答していると――

 明堂さんのスマホの着信音が、萬屋記録局の事務所内に鳴り響いた――


 プルル!プルル!プルル!


「――こちら明堂……なんだって?!……そうか分かった――」

「モリサキ――おまえの読み、当たってるかもだぞ」

「あんな【臭い干物】を――家政婦が焼くなよ……」


「はあ――【臭い干物】?」


 赤葉さん達が驚くのも無理はないだろう――

 日常生活で聞き覚えのある【臭い干物】を利用したトリックは誰も思いつかないトリック――


 普通の人は、おそらくそう思うだろう――


 普通の中の1人だった、僕だからこそ――赤葉さん達の気持ちは痛いほど分かる――

 サラリーマンである本来の僕がいる――現実世界のアニメ【萬屋 赤葉の事件帳】の第一話である【(かぎ)のトリック】見た時、本当に驚きしかなかった――


「そうです……トリックに使われた物は――【臭い干物】だったんです」


 あの強烈な匂いを放つ干物がトリックに使われ、その干物は、実は猫が好物という設定。

 フィクションという枠を最大限に使った設定のトリックは――推理モノとトリックモノを趣味とする僕の心を鷲掴みにするほどのインパクトだったのだ――


「モリタカ、一つ聞いてもいい?」

「【――――】さんは、どうやって【臭い干物】を金餅さんの邸内に持ち込んだの?」

「――赤葉さん、その質問の答えは――明堂さんに情報の情報の中にあります――」

「明堂さん、【――――】さんは宅配便サービスを使っていませんでしたか?」


「その通りだ――モリサキ」

「ホシは――二日前の夕方、ほこやぎ町の宅配便サービスを受付しているコンビニで――」

「金餅邸宛に荷物を一件、日付と時間を指定して発送していたことが――分かった」

「あと、その時間指定だがな――家政婦さんたちが帰ったあと、つまり金餅さんが一人で邸内にいる時間に配送されるようになっていたよ――」

「それと――【一昨日と昨日】なんだが……家政婦さんたちの勤務予定表を見せてもらったんだが……ホシだけは休日だったみたいだ――」


「あーそっか!」

「つまり【――――】さんには――二日分の空白の時間がある」

「昨日の金餅さんからの異臭騒ぎの依頼も全て、【――――】さんの計算だった、そういうこと――モリタカ――?」

「はい、そう言うことになります――赤葉さん」


 そう――発送するタイミングで、配送日が翌日か翌日以降になるか決まる宅配便サービス。

 前日の夕方までに発送すれば、宅配便の回収ドライバーが荷物を回収する――

 コンビニは冷蔵宅配便はサービス外だから受付してくれないが、常温なら多少匂いがしても受け取るはず――

 そして【次の日】、送られてきた荷物を金餅さんが少しでも開封した瞬間、【臭い干物】の匂いが金餅さんを襲う……

 金餅さんが――どこで荷物を開封したのかは、僕にはわからないが――萬屋記録局に異臭騒ぎの調査と記録を直接依頼してきた点から考えると、安全な場所で開封した可能性が高くなる――


 【――――】さんの【計画的な計算】……

 これは赤葉の第一話の【偶然】を装ったトリックをさらに【計画的な計算】で改変させたトリック――


 妄想犯行計画の【暴かれる側】が組み込んだトリックの可能性が高い――!


 『ふっ――ようやく気づいたの――杜鷹?』

小蒼(こそう)ちゃん……もしかして知ってたのか?』

 『ふっ――【暴かれる側】は、現実世界で【妄想犯行計画】内の各事件のトリックを組む……』

 『各事件のトリックが完成したら、ステージとして解放される』

 『つまり――小蒼ちゃんが言っていた、僕のハッピーエンドの未来を握っているのが、暴かれる側』

 『――そう言うことだろ?』

 『ふっ――まずはこの事件を解決すること――それだけを考えなよ――』

 『分かってるさ――ただ現実の五感と僕の【1秒】と赤葉さんたちの【1秒】が再現されすぎて、頭の中がパニックになってるけど……」

 『ふっ――ならいいけど』

 『かつて【刻想器】だった私とした、未来を変える【覚悟の契約】、あなたの側で見てるからね――杜鷹……』


 つまり――妄想犯行計画の【暴かれる側】は、トリックを遊びではなく――僕以上の本気で、トリックを仕掛けてきている――

 現実世界の【フィクション】で――再現不可能に近いトリックでも、五感再現された仮想空間なら可能にできるトリックを組める――

 ゲームオーバーに現時点でなっていないと言うことは、現時点での僕の推理は、間違っていない――

 ――そう判断してもいいだろう……


「――モリタカ……大丈夫?」

「どうした――モリサキ?」

「モリタカ君――どうしたの?」


 今――僕が体験しているこの仮想空間の出来事は、もう一つの非現実の現実。

 暴かれる側のトリックを暴く――今の僕にできる未来を掴む選択はそれだけだ――!


「――すみません……大丈夫です」

「【臭い干物】が入った荷物を【――――】さんが、時間指定で発送した事――」

「異臭騒ぎを金餅さんが、萬屋記録局に調査と記録を依頼した事――」

「今日の朝、【――――】さんが――オープンキッチンで干物を焼いた事――」

「――全て、偶然を装った計算されたトリックです」


「――なるほどね、モリタカ君」

「でも――まだ説明してないことがあるでしょ?」

「【K.N 202X:01:0X:20:30】の意味――」

「説明してくれる?モリタカ君」

K.S換気(こくそうかんき)システムの網膜スキャンログについてですね?――八色さん」

「そう――普通に考えれば、北宮さんのイニシャルになると思うのだけど――【計算されたトリック】なら、話は別になってくるわよね?」

「はい、あれは英語圏のイニシャルでした――」

「僕が撮影した――これが、その根拠です」


 僕は白いスマホで撮影したある写真を3人に見せた――


 K.S換気システムに僕が管理者権限でログインした際、僕の網膜は網膜自動登録をされてしまった――

 そして、【M.M 202X:01:0X 17:30】という記録が――網膜登録ログとして残されていのだ。


 登録されてしまった網膜登録ログを見た僕は、【ログ詳細情報】をクリックしたところ――

【Moritka Morisaki 202X:01:0X:17:30】という英語圏のイニシャルで、僕の名前が網膜登録されていることを確認した――

 だから僕は――ログ画面を白いスマホで、すかさず撮影したのだった――


 そして昨日の日付で、網膜登録ログに記載されていた【K.N 202X:01:0X:20:30】の【ログ詳細情報】をクリックした僕が見た名前は――【Karin Nishizaka 202X:01:0X:20:30】――【西坂 花鈴(にしざか かりん)】さんの名前だった――


【ログ詳細情報】を閉じた僕が、次に見たモノは、K.S換気システムの【管理者兼所有者】のみが設定できる【セキュリティ設定】――

 システム所有者として網膜登録されていた金餅さんは、万が一自分以外の人間が、【K.S換気システム】に管理者権限でログインした場合の対抗策を用意していたことが、【セキュリティ設定】の画面のから分かった――


 その対抗策とは、金餅さん以外の人間が【K.S換気システム】に管理者ログインした場合。

 【セキリュティモード】によって、自動的に網膜登録をされてしまうという現実世界では、再現不可能な仕様であった――

 ――金餅さんの命綱……でも口癖を管理者IDとパスワードするのは、危険だよ……


「――なるほどね……セキリュティモードによる自動網膜登録……」

「――西坂さんのアリバイは?明堂くん」

「はい、萬屋警視――ホシが話したアリバイは――」

「その時間は自宅にいたそうです……隣人の証言もありました――」

「モリサキ、おまえ――これをどう考える?」

 

 これも恐らく西坂さんの計算――

 明堂さんに僕はある質問を問いかけた――


「明堂さん――西坂さんの隣人の証言を教えていただけますか?」

「隣人の証言か……分かった――」

「それはだな――同じことを繰り返しているようで、繰り返してないないような声だったみたいだ――」

「通報しようか迷ったらしいが……隣人トラブルになるのも嫌だから――やめたらしい……」

「それです!明堂さん――」

「西坂さんが住んでるアパート付近のゴミ捨て場は――調べましたか?」

「――もちろん、調べさせたよ」

「なにもデータが入っていないスマホが他のゴミと一緒に入っていたという報告があった」

「ただ、復元には時間がかかる――ん?」


 プルル!プルル!


「――こちら、明堂……そうか、分かった」

「モリサキ――解析班からの報告だ」

「スマホのデータの中に【ホシと男が言い争い】をしている録音データが入っていたそうだ」

「つまりなんだ、お前の読み……怖いほど当たってる――」

「モリサキ、お前――何者なんだ?」


「僕は――森咲 杜鷹は、ただの一般人です」

 そう僕は――ほこやぎ町に住む萬屋記録局の一般人……そして仮想の五感探偵――


 森咲 杜鷹――だ!


 #12 匂いのトリック 解決篇 Part.2 完

 #13 匂いのトリック 解決篇 Part.3につづく。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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