第52話「息子として、兄として、そして夫として」
共に歩む決意を固めた二人。次なる一歩は、どこへ?
今回は、温かな家族の空気と、兄弟の絆、そして 結衣と涼也の新たな一面が描かれます。
涼也の実家のリビング。結衣、涼也、翔平、そして母がテーブルを囲み、穏やかに談笑している。
ふと、母が優しい笑みを浮かべて口を開く。
「翔平、あんた結婚してるんだから、何かアドバイスしてあげなさいよ」
翔平が少し照れたように苦笑しながら答える。
「え〜、俺がアドバイスなんておこがましいけど……」
結衣が目を丸くして声をあげる。
「えっ、翔平くんってそんなに若いのに、もう結婚してるの?すごい。一途で責任感あって素敵だね」
翔平が頬をかきながら照れくさそうに言う。
「いやいや、そんな…俺なんか全然。っていうか、結婚できたのも涼兄のおかげだし。学生の頃、学費まで出してもらって、口うるさくも面倒見てもらってさ。今思えば、ありがたい兄貴だったよ」
涼也が照れくさそうに視線をそらしながら口を開く。
「……言うなって、そういうのは」
まっすぐ兄を見つめ、翔平は少し真剣な表情で言う。
「でも、事実だし。涼兄がいなかったら、俺、今こんなふうになれてなかったと思う」
結衣が涼也の横顔を見つめながら、心からの声で言う。
「……ほんと、涼ちゃんってすごい。尊敬するよ」
涼也は、はにかんだ笑顔を浮かべて、優しく言葉を返す。
「ありがとう。でも、俺は結衣ちゃんがいてくれる方が、よっぽどすごいと思ってる」
母が楽しげに声を上げる。
「うわ〜、もう!二人とも仲良すぎて見てるこっちが照れちゃうわねぇ」
翔平も笑いながら茶化す。
「なにその会話、ドラマみたいじゃん。ほんとお似合い」
部屋の中には、笑い声が広がり、あたたかく穏やかな空気が満ちていく。
やがて、母がふと落ち着いた声で結衣に向かって言う。
「結衣ちゃん、本当にありがとうね。涼也、こんなに柔らかい表情するようになったの、あなたのおかげだと思うわ」
結衣は少し頬を染めながら、丁寧に頭を下げる。
「いえ、こちらこそ……優しい家族の中に迎えてもらえて、嬉しいです」
涼也がそっと結衣の手を取る。
「これからも、よろしくお願いします」
結衣が微笑みながら答える。
「うん。こちらこそ、よろしくお願いします」
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