第31話「予定外の予報」
旅行の前日。
天気が不安定な中、結衣と涼也は丁寧に気持ちを重ねながら、少しずつ「お泊まり」の可能性に近づいていく──。
不安もあるけど、心強さの方が大きくて。
旅行の前日。
荷物を詰め終えた結衣は、涼也にメッセージを送った。
「……涼ちゃん、明日楽しみだね」
「うん、すっごく楽しみ!結衣ちゃん、ドキドキしてない?」
「ちょっとだけ(笑)」
「大丈夫、絶対楽しいから!でも、台風のこと気になるけど、大丈夫かな?」
「ううん、最初は心配だったけど、天気予報を見ると、大丈夫みたい。
でも、もし急に天気が悪くなったら、日帰りにしようって思ってるんだ」
「そっか、変更するのもアリだね。楽しみすぎて、逆に不安もあるけど(笑)」
「うん、でも、せっかくだし、天気が良ければ泊まってもいいかなって思ってる。
宿も変更できるから、少しだけ悩んでるけど」
「なるほど、気を遣わせたくないけど、無理しないで楽しんでね」
──涼ちゃんとの初めての旅行。
日帰りのつもりだったけど、数日前から「天気が不安定」という予報が出ていた。
「ごめんね。天気、やっぱり崩れそうで……日帰りだと帰りが大変かも。
念のため宿、押さえてあるんだ」
「……え?」
「もちろん、無理には言わないよ。
でも、電車止まったりするのも不安だし、ちゃんとした宿で休めた方が安心かなって」
その声には、心配と少しの覚悟が混じっていた。
結衣は、ふと笑ってうなずく。
「ううん、ありがとう。涼ちゃんが考えてくれたことなら、私は嬉しいよ」
行き先は、結衣が気になっていた海沿いの町。
涼也が“気になるリスト”を見て選んでくれた、小さな漁港のある場所。
「生ウニが美味しいって書いてたよね?」
その一言に、思わず嬉しさがこみ上げた。
穏やかな海、しっとり濡れる石畳、人気のない静かな路地──。
予定にはなかった「お泊まり」という特別な時間。
だけど、二人の距離がぐっと近づくには、十分すぎるくらいだった。
*
【変わりやすい空模様のように、恋のカタチも思い通りにはいかない。
でも──この空を、二人で晴らしていけるのなら、それだけでいい。】
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