第30話「その日が、待ちきれない」
旅行の計画が、二人にとって特別な時間に。
まだ決めることがいっぱいだけど、二人で話すその瞬間が、幸せそのもの。
初めての旅、その先に待っているものは――。
「温泉でもいいし、食べ歩きとかも楽しそうだよね」
旅行の計画は、まだ途中。
行き先も、宿も、交通手段も──全部これから。
でも、二人で話して決めていくことが、もう既に楽しくてたまらない。
「結衣ちゃんが気になるって言ってた生ウニのお店、見つけたよ」
「えっ……ほんとに? あれ、ずっと気になってたんだよね……」
「ふふ、知ってるよ。結衣ちゃん、気になるリストに入れてたでしょ」
「……え、見てたの?」
「うん。ああいうの、参考にしてる」
涼ちゃんのスマホを覗き込んで、二人でお店の写真を眺めた。
画面の中の美味しそうな料理よりも、隣にいる涼ちゃんとの距離が、なんだか嬉しかった。
気づけば、どんどん涼ちゃんの存在が心の中で大きくなってる。
「日帰りでもいいけど、できれば……泊まりがいいなって」
少し勇気を出してそう言うと、涼ちゃんは ゆっくりうなずいた。
「うん、大事にしたいからこそ、無理のない計画にしようね。結衣ちゃんが安心して楽しめるように」
優しい声と、真っ直ぐなまなざし。
その言葉が、何より嬉しかった。
旅行まで、あと少し。
その日が来るのを、今は ただ楽しみに待っている。
──二人で過ごす、初めての旅。
その景色が、きっと一生の思い出になる気がしていた。
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