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再生回数7回のラブストーリー  作者: 市善 彩華
第4章 勿忘草 ── 伝えたい想い
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第24話「“聴き専”だった私の、一歩目」

一つの歌声が心の扉を開けた。

その一歩が、結衣の恋の始まりを静かに照らしていきます。

初詣から帰宅した夜。

お風呂から上がって、なんとなくスマホを手に取る。

ふと、ずっと“聴き専”だったポケカラに、登録してみようかなと思った。


──あの歌を聴いたのが、全ての始まりだった。


たった一つのリンク。たった一曲の歌声。

何気なく見ていたXのプロフィールに貼られていた、ポケカラの「あーー」さん。

数百曲も公開されている中で、偶然聴いた、たった一曲。

あれがなければ、私は今も“好き”という気持ちに気づけなかったかもしれない。


「……登録、してみようかな」

小さくつぶやいたけれど、指は なかなか動かなかった。

“聴くだけ”だった世界に、自分が何かを残すことになるなんて、思ってもみなかったから。


「……うん」


結衣は、そっとスマホを操作してログイン。

本当は少し緊張しているけれど、それでもどうしても、伝えたい気持ちがあった。


あの曲──ずっと繰り返し聴いていた、あの一曲にコメントを残そう。

そう思って探したが、ページを開こうとしても、もう存在しなかった。


「……そっか。消しちゃったんだ……」


仕方なく、別の投稿のコメント欄を開く。

少し迷って、それでも心を込めて打ち込んだ。


文章を打っては消し、また打ち直す。

この一言だけで、本当に伝わるのか不安になった。

でも、それでも──たとえ届かなくても──

この気持ちは、きっと本物だから。


「おかげで付き合うことになりました❣️」


もちろん、返信はない。

プロフィールには「コメント不要」「返信しません」と明記されていたから。


でも、それでいい。

ただ、伝えたかっただけ。

──この恋の、始まりの場所へ。


画面を閉じた後も、胸の奥は ほんのりあたたかかった。

お忙しい中、読んでいただきありがとうございました!

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