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娯楽の国とエルフの暇  作者: ヒロミネ
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大変ですわ

「暇ですわね」

「暇ではあるんだがな」


 いつも通りの休日、俺はシュエリアと一緒に過ごしているのだが、今日も今日とて何もなく、暇である。


「だが、なんですの?」

「うーん、終わるんだよな、この作品」

「ん? そうですわね?」

「じゃあなんでいつもと変わらない暇な日常なんだ」

「あら、ラストには刺激を求めるタイプですの?」

「タイプっていうか。このまま緩く終わってしまうのかなと」


 別にそれが悪いとは言わない、言わないが……。


「そうですわねえ、でもまあ、大丈夫ですわよ」

「何が」

「ラストシーンに相応しいイベントは、きっときますわ」

「ほう」


 来る、か。つまり今は待ちの状態なのか?


「お前がそう言うなら、そうなのか」

「ですわ」


 と、そこで俺が納得すると、突如部屋のドアを勢いよく開く者が現れた。

 俺の妹、アイネだ。


「大変です兄さまっ!」

「どうした?」

「わんちゃんに教えてもらったのですがっ、この世界に悪しき魔王が出現したようですっ!」

「これか?」

「違いますわね」


 俺が聞くと、シュエリアはすぐに首を左右に振った。


「魔王くらい別に大した問題じゃないですわ」

「にゃっ?!」

「消しますわね」

「あぁ、そうだな」


 俺が同意するとシュエリアは指をパチンと鳴らす。

 消えたんだろうなぁ。


「で、さっきの話の続きだけれど――」

「大変よ!!」

「……なんですの」


 終わりが来るのを待っている的な話の続きをしようとするシュエリアと、それを妨害する新しい大変な話題。今度はアシェだ。


「魔王が神の域に到達した超級の化け物、魔神が現れたわ!!」

「消しますわね」

「おう、でさっきの話だが」


 俺はシュエリアの言葉に同意すると、アシェの話には全く興味を持たずに次に行こうとする。


「ちょ、なんでそんな塩対応なのよ」

「こっちはこっちで無駄話の途中ですわ」

「無駄ならいいじゃない」

「アシェの報告はもっと無駄ですわ」

「ひどっ」


 シュエリアの辛辣な態度に、アシェがしょぼんとする。


「で、終わりを待ってるんだよな?」

「ですわ、具体的にいうと――」


 そこまで言うとシュエリアはまた入り口から誰か来るのではないかと思ったのか、一応警戒しながら口を開いた。


「ゲ――」

「大変です~!」

「……なんですの」


 今度現れたのは、間延びしつつもいつもよりはハキハキと喋るトモリさんだった。


「日本のあまたいる神々が突如姿を消しました……」

「戻しときますわね」

「おう」


 というわけで理由も考えずにとりあえず神を元あるべき場所に戻すシュエリア。

 うん、すっきりしたな?


「で、話の続きだけれど」

「おう」


 そこまで言って、もうこの流れだと次が来るのは見えていて、だからシュエリアはこういった。


「次が来たら、多分最後になりますわ」

「そうか」


 そして待つこと……一分、やはり、来た。


「大変大変! 来週発売予定だったゲームが今日発売に前倒しだってっ!!」

「あれ、来ましたわね」

「え、これ?」


 義姉さんが持ってきたこれ、新作ゲームの発売情報。これが、終わりの始まり、その一端だというのか。


「さあ、買いに行きますわよ!」

「え、おう」


 これなら、さっきまでの魔王や魔神の出現、神々の消失のほうがまだ、いくらかマシなイベントだったのではないだろうか。


「まあ、いいか」

「はよしてほしいですわ!」

「はいはい」


 こうして、俺とシュエリア達の、終わりの始まり、その第一歩は踏み出された。

 ……本当に終わんのか? これ。


ご読了ありがとうございました!

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次回更新は次回日曜日の21:00までを予定しております。

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