帰ってきましたの?
「暇ですわねえ」
「暇だな」
いつも通り過ぎる暇な時間。
何をしようか考えながらダラダラと過ぎていく昼下がり。
そんなときに、俺たちの無駄な時間を突如、打ち破る出来事が発生した。
「ただいま、母様、父様」
「なんと」
「あらまあ」
なんと、シュキが突如部屋の中に現れたのだ。
魔法だろうとは思うのだが。一体どうして、こんな急に。
「何かあったんですの?」
「話が早くて助かります」
どうやら何かあったようだ。
さて、何があった?
「実は二つ、問題が発生しました」
「あら、二つも」
シュキとシキがいて、二つも解決に困る問題が出るとは。
一体何があった?
「一つは四天王にすらてこずるくらい勇者が弱いです」
「あー、まあ、そうですわね、弱っちい感じはしましたわね」
「マジか」
でもそれくらいなら、シュキとシキだけでもなんとかなるのでは?
「結果的に私とシキで対応していて、勇者が役に立たなくて困ってます」
「なるほど」
まあ、確かに、困るかもな。
「で、もう一個は?」
「はい、こっちが本題です」
「ほう」
本題か、ということは重大な問題ということだ。
「勇者一行の親も一部付いてきているのですが、その親達からなぜ私とシキの親は来ないのかとか、私とシキが勝手に動くからパーティの質が下がるなどの苦情が発生しています」
「は?」
なんだそれは。
「ユウキ、ステイですわ」
「ん、おぅ」
いかん、一瞬イラっとしてしまった。
それに気づいたシュエリアに落ち着くよう諭されてしまった……。
「わたくし達は付いて行かないですわ。それはもう決まったことですわよ」
「まあ、そうなのですが」
でもそんなことでシュキとシキにクレームが入るくらいなら、やはり付いて行った方がいいのではないだろうか。
「そして、シュキとシキが勝手にって言うのは、まあよくある話ですわね。力ないモノには、わたくし達の動きとかは勝手に映るもんですわ」
「そうですか……」
まあ、シュキとシキの力に対しての理解がないと、そうなるのか。
「というわけで、帰ってきていいですわよ?」
「え、流石にそれは……」
シュエリアの発言に戸惑うシュキ、まあ、そりゃなあ。
「邪魔者扱いされるくらいなら、帰ってきた方がいいぞ」
「でもそうしたら、きっとあのパーティは……」
「全滅ですわねえ」
「そんな」
シュエリアの言葉にショックを受けるシュキ。
シュエリアって結構容赦ないからなぁ。こういう対応みるとショックは受けるかも。
「それか、わたくしが魔王をぶっ潰すかですわねえ」
「遠隔魔法でか?」
「ですわね、わざわざ行くの面倒だし」
「えぇ……」
シュエリアのとんでもない発言にこれまた戸惑うシュキ。
まあ、魔王をそんなあっさり倒せるの、びっくりだよな。
「だからまあ、帰ってきたらいいですわ」
「そうそう、勇者たちは気にすんな」
「は、はい」
というわけで。
いつも通りの昼下がり、突如現れたシュキは、この後シキを連れて転移してきた。
これにて結城家全員集合。
久々の再開に、その日はみんな賑わったのであった。
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