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悪役令嬢?ですよね?  作者: おいなりさん好き
第1章 転生したようです
10/10

王子は猫かぶりだったようです

放心状態になった私は、とりあえず忘れることにした。

ちょうどテナが消えた瞬間に部屋の扉が開きシャルが入ってきた。


「お待たせして申し訳ありません。」


「シャル、お願い、1時間前の記憶を消してちょうだい。」


「お嬢様、それは無理です。もう一度頭を花壇にぶつけますか?」


「…結構よ。」





結局、私の魔力についてはどうせ学校に通うと分かってしまう(ステータスの展開方法を知るという授業がある)らしいので王子の婚約者リストにはそのままのことが書かれた。私は疲れてその日は早く眠りについた。




まぁ適当に家庭教師にたまに出されるテストには平均点より少し下の点数で返した。


(ここまですれば婚約者になることはないでしょう…)


まさか3年後、お父様が笑顔であんなことを言い放つとは知らずに。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーー3年後


8歳になり、王子の婚約者について噂がたっていた頃、お父様が部屋を訪ねてきた。



「ルーズちゃん!王子の婚約者選定パーティーに行くことになったよ!日時はえーっと!……」



(ん!?いや、リストの意味は!?こんなことお姉ちゃんから聞いてない!しかもパーティー!?1度社交界デビューで出たけれどあんな場所二度と行きたくないよぉぉぉ!!)


「…と、言うことだからドレスとかはこっちで考えとくね!なにか要望みたいなのあるかな?」


「いえ、特にございませんわ…」


「そっか!じゃあお母さんと一緒にお父様も頑張っちゃうぞ!!」



(あんなにウキウキしたお父様に行きたくないとか言えないわよね…)




あれよあれよと準備している間についにパーティーの日だ。




「ルズ。いつものルズも可愛いけれど、今日はより美しいね。まるで天使のようだよ。その真っ白な羽で飛んで行ってしまわないでおくれ?」


「お兄様、色気を撒き散らさないでくださいまし。私は飛びません。」


青空が広がる今日、ついに王宮での婚約者選定パーティーです…全く乗り気でない中お兄様の色気に張り倒されそうです。


「ふふっさぁ行こうか」


扉が開き、お兄様にエスコートされながら会場に入る。


きらびやかな装飾、夫人たちの扇子に隠された微笑み、上質なスーツを纏ったその旦那達は娘と共に王子のもとで挨拶をしている。

私が入って来ても、形式的な挨拶だけだ。が、お兄様は違う。その美貌とこの公爵家という地位は申し分ない優良物件だ。私と同じ年頃の娘ばかりだが、その表情はまさに獲物を見る野獣のようだ。


(これはお兄様、囲まれるな)


私の行動は早かった。変に注目されないタイミングでそそくさと先に着いているお父様の元へ向かった。後ろでお兄様の声が聞こえたが気にしない。


(王子の婚約者選定だと言うのに…)


女性とは強かだ。


肝心の王子、シオン・ジョセフィスは…なんというか、仮面を被っているのではないかと見間違えてしまいそうな笑顔だ。もちろん顔立ちは美しく8歳でありながらその笑みは艶やかで、金髪蒼眼は王子らしい。ただ笑っているだけでも令嬢達の溜息が聞こえてくる。


(まぁ疲れるでしょうね。よく見れば引きつってるなんてすぐわかるわ…)


どうやら令嬢達は王子に少しでも覚えて貰えるようにと1人20分は自慢話をしているようだ。それで地位の高い令嬢全てと挨拶を交わさなくてはならないのだから笑顔も引きつろう。


「もうそろそろ僕らの番も回って来るけど、ルズちゃんはどんなアピールを考えてるの?」


「いえ、私は普通に挨拶するだけで結構ですわ」


「え!?確かに他の令嬢もみんなと違うことをって言ってそれをするけれど印象には残りにくいよ?」


確かに、そもそも自慢話をする理由は王子へのアピールだ。今回はそれが広まって全員がしているだけだ。逆に印象を残すためにやらない令嬢もいる。しかし


「ええ、それで良いのです。私は特に王子の妻になりたい訳ではありませんから。」


「そう」


お父様の表情は複雑だ。安堵のような、残念なような…父である気持ちと公爵という地位がそうさせるのだろう。


「申し訳ありません」


「いいんだよ。ルズが望まないならそれでいいのさ」


ーーーーーー


王子の前に立つ。


(やけに食い入るように見られるな。気まずい……見ないで欲しい。)


「ようこそいらっしゃいました。ソルレッド公爵、ご令嬢。」


「こちらこそお目にかかれて光栄です殿下。ルズ。」


「初めまして、ルナーリズ・ソルレッドと申します。」


よし、仕事終わり。あとはタイミングを見て帰るのみ!


「……」


どうしたのだろう。さっきから黙ってこちらをうかがっている


「……?」


なんだという目を向けると向こうから質問してきた


「…ルナーリズ嬢の得意なものは?」


(なるほど、本当に挨拶だけしたからね。)


「少々歌が。」


「…そうですか。私の婚約者選定パーティーなどと言われておりますが、楽しんでください。」


そんなもの楽しむわけが無い。すぐに帰った。



そして数日後、手紙が来た。王宮からだった。

遅くなってすみません…

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