視線の中で
金曜日、投稿を忘れてました…。すみません。
大分遅れましたが、本日分です。
シラグリの建物の中は広かった。洸希にとってはその広さや雰囲気、また酒場の男臭い環境などどれもが新鮮なもので、その場の雰囲気に呑まれ暫く呆然と突っ立っていた。
「ほらほら、こっち」
相変わらずカナは洸希を引っ張り、”新規登録”と書いてある看板のカウンターへと洸希を連れてきた。
その様子に周囲の男達は酔っぱらったままカナを驚愕の目で見つめる。
するとカナは溜息を一つ吐き、受付嬢に向かって先の様子とは全く違った淡々とした口調で用件を述べた。
「すみません、この男の新規登録をお願いします。それからパーティの新規登録もお願いするわ」
洸希はカナの変わりように驚きの表情を見せたが、カナはそれを完全にスルーする。そしてカナは受付嬢に言われるがままにギルドカードを提示した。受付嬢は「少々お待ち下さい」と言ってカナの身分を確認し始めた。
余談だが、洸希が美人の受付嬢をまじまじと眺め、呆けていると隣から軽蔑の視線と、また殺気のようなものが突き刺さったが、きっと気のせいだろう…。
「ふぅー、お疲れお疲れ。さて、これからパーティメンバーとしてよろしくね♪」
洸希はカナおその言葉を左から右へと聞き流しながら、つい先程の出来事を回想していた。
カナに連れてかれて着いたのはカナの所属しているこの国最大のギルド、愛称シラグリの本部。
その大きな建物は洸希にとってとても新鮮なものだった。何も分からないまま新規登録させられ、また謎のパーティに加入させられた…。カナから何も説明されなくよく分からなかったが、受付嬢からの丁寧な説明で状況が大体把握できた。そう、洸希はカナに無理矢理シラグリ所属の冒険者になったのだ。最初はギルドレベルⅠから始まるというとこは理解でき、今カナはⅥという素晴らしいレベルということが分かった。
そしてもう一つ。即興でカナが創ったパーティに流れで無理矢理加入させられたのだ。
帰路でカナは名前を考えていたらしく、即興にしてはセンスのある”黄輝の結晶”というパーティだ。
パーティというのは、2~8人の冒険者の纏まりのことで、報酬や評価などが一括される。
それらの手続きを男達の視線を浴びながらやったのは一生忘れないだろう…。
「なあなあ、何で俺をパーティに入れたんだ…?」
「うっ、それは…」
言葉に困ったカナの前に、救いなのか分からないが一人の人物が現れた。
「あら、カナ。お久しぶりね」
勝手ながら次回の投稿はお休みさせて頂きます。