第五話 大人の男同士
父の下で働き始めてからのことだった。二〇〇〇年四月~二〇〇二年三月あたりのことだったと思う。自宅二階にいた時、訪れていた父方叔父が、自宅一階の階段付近から声を上げた。
「竜虎!」
私は自宅一階に降りた。そして、台所に入った。
声を掛けてくれたり、一言二言言葉を交わしたことはあったかも知れないが、席に着き、向かい合って二人で話すのは、これが最初だった。
「何したいんや」
「暴力団担当の刑事になりたい」
父の下で働きつつも、この時の私がなりたいと思っていたことだった。そして、父方叔父にも聞いた。
「何しとん」
「土建屋で人を回しとる」
父方叔父の風貌は、明らかに一般人のものではなかった。恐らくはこの時、既に暴力団員だったのだろう。服役も経験していたのではと思っている。
父方叔父が既に暴力団員だったにせよ、暴力団員ではなかったにせよ、この時の私は知らなかった。にも関わらず、暴力団担当の刑事になりたいと思っていたわけだ。
一緒ではないにせよ、似た一面があるということなのだろう。血は争えないということか。
いつだったか、父方祖母に言われたことがある。
「竜虎は正義感が強い」
ただ、私自身そうは思っていない。人間誰しもそうだろうが、悪い一面もある。
暴力団担当の刑事になりたいと思っていたのも、正義感からではない。若かったこともあってか、血の気が多かった。暴れたかっただけなのだ。その対象として、悪い連中を締め上げてやろうと。
良い恰好をする気はない。本心としては、ただそれだけだった。




