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プロローグ 今日はいい日でした

「ブレンドコーヒーひとつ、頼んだよ」


オーダーが入り、わたしは笑顔で答える。


「まかせて、とびきり美味しいの淹れるから!」


カウンターには朝の光が落ちる。リストくんがピカピカに磨いたせいで、光が反射してわたしの目に飛び込んできた。

眩しいけれど、きっと前世のわたしから見た今の生活の方がずっと眩しいだろう。

月宮店長の作ったサンドイッチを運ぶリストくんの後ろ姿を眺めながら、今日も熱々のコーヒーを淹れる。

コーヒーの雫が一滴ずつ落ちるたびに、空気があたたかく、柔らかくなる。

光が花粉を照らして、店の中が少しだけ金色に見えた。

窓の外には、通りを行く人たちの足音。パン屋さんの香ばしい匂いと、朝露の冷たさ。

どれも、前の世界では感じられなかった"朝の光景"。

リストくんが「ここに指紋が」と言いながらグラスを磨き、月宮店長が「早く運んでくれ」とフライパンを揺らしながら苦言を呈す。

お客さんは、みんなそれぞれの時間をゆったりと過ごしている。

完璧ではない。けれど、ちゃんと"今日"を生きている。

だから、今日もきっと大丈夫。

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