表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/18

第18話 しまさ、恋の冒険に出る

国王から莫大な褒美をもらったはずのしまさだったが、

その金は「しまさのベトコンラーメン」の倒産、フィリピンパブでの散財、

さらに冷蔵庫に眠らせた高級食材のストックによって、ついに底を尽きてしまった。


ドラゴンの角、音夢羊の肝、天然魚の鱗…スーパーで手に入れた数々の希少食材はあった。

しかし、しまさが冷蔵庫の奥へ追いやって放置するものだから、腐らせてしまったのである。


その一方で、老人病とも言える「牛乳の買い置き」だけは欠かさなかった。

毎日牛乳ばかりを飲む食生活のせいで、顔色まで牛乳色になっていた。

いや、もしかするとそれは朝シャワーの効果かもしれないが。


そんなある日、しまさはぽつりとつぶやいた。


「そろそろ、結婚相手を見つけたいな!」


思い立ったが吉日、彼は結婚相談所「ゼク〇」へと向かった。

しかし、履いていた白いズボンには、いつの間にか茶色いシミがついていた。


「ご来店ありがとうございます」


応対してくれたのは、清楚な雰囲気を漂わせる30代の女性だった。

5分ほど天気や休日の過ごし方など他愛のない話を交わした後、彼女は本題を切り出す。


「どのような女性をお探しでしょうか?」


「そうだなー、若くて綺麗な女性がいいな!」


「なるほど。ですが、しまささんは50代でいらっしゃいますよね。

冒険者という不安定なお仕事に加え、趣味はアニメと車。

正直に申し上げると、20代の女性でしまささんのご希望に合う方は、

なかなかいらっしゃらないかと思いますが…」


女性の言葉は、刃のように鋭かった。

結婚相談所にとって、相手は“お客様”ではない。変な男性を紹介すれば、

女性会員が去ってしまう。だからこそ、時には容赦のない現実を突きつける必要があるのだ。


「俺は……間違っていたのかもしれない」


しまさは突然立ち上がった。


「自然にその人を好きになるのが本当の恋。お見合いなんて、俺には向いてなかったんだ!」


そして、捨て台詞を残して店を飛び出した。


「二度と来るか!」


夜の店でモテていると錯覚していたしまさに、現実の冷たい風が容赦なく吹きつけた。

彼は愕然としながらも、心の奥底でこう思っていた。


――俺の冒険は、まだ終わらない。


しまさの冒険は、まだ幕を開けたばかりだった。

彼がこの数ヶ月のうちに、死すら覚悟せねばならぬほどの試練に直面することを、

その時のしまさは夢にも思っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ