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第17話 トムトムダンジョンの復讐者

(トムトムダンジョンにて)


歩くたびにドスン、ドスンと地鳴りのような音を立てる

この人がやみよだ。


「なんてこった……」


「トムちゃんをミンチにしたのは誰だ!」


非力なダックスフントのトムちゃんに力を与え、

人間を私たちの餌に変える計画を進めていたのに。すべて台無しにしたのは誰だ?


魔物は人間を食べても空腹は満たされるだけで、力は強くならない。

しかし、魔物が魔物を食べると、食べた相手の魔素を吸収し、力が増大する。


防犯カメラを確認する。

「身長165cm、カモシカのような足、あばたで脂ぎった肌」


こいつがトムちゃんを殺したのか。


「許さないわ」――ボリボリッ(魔物に変えられた人間を食べる音)


待ってなさい。私の計画を邪魔する奴は、みんな皆殺しよ。


(ガスリア王国にて)


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」


「一人だ!」


軽やかに、しまさは答えた。


「ご指名はございますか?」


「メアリで」


「メアリさんは一時期ここで働いていましたが、

冒険者になると言って出て行ってから音沙汰がなくて……」


「構わない。メアリを指名する」


「他にも日本語が得意な方がたくさんいらっしゃいますが」


店員の言葉を遮るように、しまさはカモシカのような足取りで席に着いた。

白いズボンには、当然のように茶色いシミが残っていた。


「お飲み物は何にしますか?」


「牛乳ダブルの焼酎割りをロックで」


しまさの脳裏にはメアリとのダンジョンでの思い出がよみがえる。

――お前を幸せにしたかった。ごめんな……。


ブツブツと一人で何か話している中年に

他のキャストや客が驚く中、しまさは気にする様子もない。

これが自分なりのけじめだった。


矢沢永吉を3曲歌い、2時間のセット時間を終える。


「ありがとう。また来る」


そう言って、しまさはフィリピンパブ「Butterfly」を後にした。


ブウウン!!!。エンジンをかけた瞬間、ベントレーが豪快な音を立てる。

周囲の人々が振り向いた。

当然のようにまた、飲酒運転をしていた


――この瞬間がたまらないな。


しまさはにやりと笑った。


「メアリ、ありがとう。俺は先へ進まなければならない。

来世では必ず幸せにする。俺が死んだら地獄行きだろうが、どこかで出会ったら命に代えても守る。愛している」


そう言った瞬間


「しまさ、ありがとう」


心の中でメアリの声がした。


家に帰って鏡を見ると、俺の目は青ではなく、元の黒に戻っていた。

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