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別れ

 すべてが終わった。

 秋の訪れとともに木曽福島に平穏が訪れた。

 エノーとフランソワが母国に帰る時が来た。彼女たちは木曽福島駅から特急に乗って、名古屋から中部国際空港まで行くそうだ。

 改札前で浅川と戸川が別れを惜しんでいる。

 この二人のおかげで我々は救われたのだ。

 戸川が握手を交わし、浅川が二人と握手を交わす。フランソワが握手するが、エノーは握手した後に浅川を抱きしめる。その感触は戦士だったエノーのものでは無い。やさしい天使の抱擁だった。

 浅川の目から涙がこぼれる。

 エノーは笑顔だ。

 浅川が言う。

「本当にありがとうございました」エノーがいえいえと手を振る。「おかげで救われました」

 エノーがフランソワに何か話す。フランソワが通訳する。

「浅川さん、あなたにはシャーマンの素質があります。だから悪魔には気を付けてください」

 浅川は少し不安そうな顔になる。

「私の中に悪魔が入り込むということですか?」

 フランソワが通訳して話す。

「心を平和に保つことデス。エノーが言うには誰でも心に悪魔になり得るものを持ってイマス。新三郎も戦争に行かなければ、悪魔に魅入られることは無かったかもシレマセン。悪魔はどこにでもいるのデス。気を付けて」

 浅川は強くうなずいた。

 電車が来たようだ。

 二人は手を振りながら去って行った。

 浅川は今言われた言葉を繰り返す。

 戸川が話す。

「私にも悪魔がいるのかな」

「戸川さんは大丈夫だよ。あなたは天使」

 戸川がこれ以上ない笑顔を見せる。

 誰もが悪魔を心に持っている。必要なことは心を平和に保つことだ。


                               了

これでこの物語は終わりです。当初はホラーものによくある悪霊は残っていたにしようと思っていました。ただ、このところの現実での陰惨な事件を見るに物語の中だけでもハッピーエンドにしたかったです。ですからホラーとしてはいまいちかもしれませんね。

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