命を賭して(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
その後、黒龍派の影の追撃を受けた朔馬と茅は、未来と柚の機転で未来の家に避難。
影達は早朝とはいえ、住宅街で戦闘をしたら近隣住民に通報されるかもしれないという危険性から追撃を断念し、撤退していった。
が、安全と任務成功を得た代償は大きく、朔馬は茅を守りながら逃げていた際に、影達の銃撃に遭い負傷。その状態で抵抗したことで、大量出血もしており、現在、生死の境を彷徨っている。
茅から語られた衝撃的な内容の数々に、死獣神メンバーは全員、言葉を失った。
忠義の男である黒蛇が黒龍に歯向かったことや、朔馬と茅が追われる立場になったこともそうだが、1番信じ難かったのはやはり、黒龍が生きていた件である。
7年前、アビスキリングで塵すら残らず殺されたはずの相手が、奇跡的に生還していたとはとても考えにくい。事実、茅の証言によれば、アビスキリング前に切断した腕も、元通りくっついていたらしい。
では、いったい何故か。その答えについて、龍と未来と翔馬には思い当たる節があった。
そう。以前ペガサスが2人に説明していたリヴァイヴの副作用である。未来を復活させたことで、同時期に死んでいた黒龍も蘇ってしまったのだ。
そのことを説明された雲雀や愛花らは怒りを覚えたが、今更未来がいなくてよかったとは思えないし、ここで論じていても仕方ない。今、自分達がすべきことは、言霊としか言いようのないこの現実にいかにして対処するかである。
となれば、真っ先に議題に挙がるのは、やはり、彼女についてだ。
「……で、どないすんねん。柚。相手はあんたにとって憧れの人であるボスドラゴンやろ? やりづらいんとちゃう?」
雲雀の指摘はもっともだ。柚にとって黒龍は、紛れもなく憧れの人。それは今も昔も変わらない。そんな男と刃を交えるのは、流石に酷だろう。
雲雀も人志と戦ったからこそ、そこら辺は痛いほどよくわかる。だから、彼女としては、無理してまで柚に戦ってほしくないのだ。
憧憬をとるか、大切な仲間の想いをとるか。柚は激しく葛藤する。
最悪の想定こそ現実になり得る。
黒龍の復活は龍と未来にとって、悪夢としか言いようがありませんし、柚にとっては苦悩の種といっても過言ではないでしょう。




