殺戮の拳(2)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。
すると、2階に差し掛かったあたりで、女の子の悲鳴が階全体に響き渡った。近くで虐待を受けている子がいる。だとしたら、そこにスタッフもいるはずだ。3人は声がした方を頼りに、風呂場へと急行した。
思った通り、そこには簀巻きにされて熱湯風呂に沈められている少女と、その少女を10人がかりでボコボコにしているスタッフの姿があった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! もう夜更かししません! だから……!」
「黙れ! お前は前もそう言って夜更かししただろ!? そんな奴の言うことを聞くと思ってんのか? おらっ!」
そう言ってスタッフは、持っていた木の棒で少女の脇腹を思いっきり叩き、悲痛な叫びを上げさせる。
少女の体は、既に全身火傷と痣だらけになっており、場所によっては骨折もしている。このまま放置していたら、彼女は間違いなく溺死か撲殺で死ぬことになるだろう。
そうなる前に死獣神きっての殺しの格闘家達は手を打った。
「……白虎」
「了解っす。掌ー!」
そう言って白虎は、3人のスタッフを掌打で吹っ飛ばし、その勢いで開いた壁の穴から彼らを追いかけて追撃しに行った。
突然の襲撃に、残った7人のスタッフ達は面を食らう。
そのスキを2人は見逃さない。
まずはユニコーンが、1人のスタッフの顎と足に自身の足を絡ませ背骨と首をへし折る。
「これぞ弓月。続いて……合わせて。黒猫」
「了解。黒猫流護皇死神拳……臓破掌」
「ブリザードタイフーン」
そう言ってユニコーンは、翔馬が開発した道具を利用してカポエラのような高速回し蹴りを、黒猫は、白虎の掌打を強化し、時間差であらゆる臓器を内部破裂させる掌打をくらわせた。
それによって、風呂場にいたスタッフは全滅。簀巻きにされていた女の子も無事救出され、黒猫の手当てを受けた後、少女は2人に促されてその場を後にした。
すると、追撃のために外に出ていた白虎が入れ違いで戻ってきた。
「先輩達! 3人共ぶっ殺してきましたぁ!」
「ご苦労様」
「けど、今ので奴らに気付かれたみたいっすよ。軽くパニックを起こしたり、こっちに向かってきたりしてます」
「そう。それならそれで好都合ね。じゃあ、白虎はもう1度外に出て逃げたスタッフを追撃。黒猫はこの階に残って。私は1階に降りる」
ユニコーンからの的確な指示に黒猫と白虎は了解し、各自、持ち場へと移動する。
それから間もなく、施設内に鮮血と悲鳴が飛び交った。
ユニコーンの拳法は白虎や黒猫と違い我流ですが、体の柔軟性を駆使した足技の数々は他の2人に引けを取らない殺傷力があります。
そんな彼女の身体能力を見抜き、武器や防具を拵えるあたり、翔馬も流石と言うべきなのかもしれません。




