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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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ペガサスの模倣犯(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 龍と武文と朋美以外から容赦なくボコボコにされた翔馬は、顔面が2回り大きくなるほど腫れ上がった状態で、あの時の自爆はライブの最後を飾る演出であり、ただの演技だったことを明かした。

 これには、全員が大なり小なり殺意を抱いたのは、言うまでもない。


「……あんた、ほんまにいっぺん死んどくか?」


「ははは、そいつは勘弁」


「笑い事じゃないよ。翔馬君。ちゃんと反省して」

 柚の殺気がこもった鋭い眼光に、翔馬は身の危険を感じたのか、素直に頭を下げた。


「ともかく、こういうのはもうナシだよ。僕らもそうだけど、早乙女さんも悲しむだろうから」


「そこんとこは、痛いほどわかってるよ。一昨日あいつに同じことを説明して、泣きながらボコボコにされたから」


「やっぱりか。ま、それぐらいあいつも女やったっちゅーわけやな。普段はガサツでズボラで短気で女らしさの欠片も無い遅刻の姫のあいつでも、な」

 雲雀がそう言った直後、大牙や乙女は一瞬同調しかけたが、やがて笑みは消え失せ、龍達と共に顔を強張らせた。

 その訳を雲雀はすぐに気付かなかったが、怒気がこもった声が背後から聞こえたことで、その意味を否が応でも知ることとなる。


「……わーるかったわねぇ。ガサツでズボラで短気で女らしさの欠片も無い遅刻の姫で」

 その言葉でサーッと血の気が引いた雲雀が振り向くと、そこには怒りを露わにして指をポキポキと鳴らす瞳が立っていた。


「げっ! 瞳! あんた、なんでここにおんねん!?」


「翔馬に用があって、恋に居場所を聞いたらここにいるって」


「そ、そっか……」

 そう言う龍はまだ安心できなかった。死獣神の集会に特殊警察官である彼女が乱入したことで、何かの拍子に素性がバレるのではと危惧しているからである。


 しかし、最早手遅れだった。龍の不安を感じ取った瞳は、以前、翔馬を脅して死獣神について口を割らせたことを正直に語った。無論、男共は危機感を、残りのメンバーは恋と零に続き、警官である彼女にまでしゃべった翔馬の口の軽さに対する怒りを感じた。


「まぁ、気持ちはわかるよ。けど安心して。こっちは捕まえる気なんてさらさらないから」


「へ?」


「確かに私は特殊警察官だけど、代々警察官の家系のお父さん達みたいに、是が非でも検挙しようっていう警察官特有の上昇志向やプライドみたいなもんは私には無いの。それがあんた達みたいな色んなもんを抱えてる奴らなら特にね」


「いいの?」

 龍がそう聞くと、瞳は真っ直ぐな目で肯定した。その目だけでも十分信用できる。サイトを管理する武文や聞いた本人である龍だけでなく、人一倍警戒心が強い柚や雲雀を含めたメンバー全員はそう判断した。

 瞳には、遅刻が多いからという理由からついた『遅刻の姫』という不名誉な名と、カポエイラ以外の格闘技全ての実力が有段者レベルに高いことから『格闘技のプリンセス』という異名が付いてます。

 後者はともかく、前者は本人が忌み嫌っているため、口にした瞬間ほとんどの確率で鉄拳が飛んできます。

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