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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
13/110

綱手の風フェスタ(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 終演後。龍達は澪らと合流し、労いと賞賛の言葉をかけた。

 中でも特に評価が高かったのは、やはり名演技を見せた柚。瞳や雲雀から『いっそ女優になっちゃえば?』という話になるほど天賦の才能を発揮した彼女だったが、どうやら本人にその気は無いらしく、学校でのキャラでその可能性を否定した。


 そんなちやほやされている彼女を羨ましそうに見つめる者がいた。未来である。


「ほんと、すごいね。柚さんって……」


「未来さんも十分すごいだろ? 父親の後を継いだとはいえ、デミ・ミュータントの研究なんて誰でもできることじゃないよ」


「そう、かな……」

 龍に誉められてそう返した彼女だったが、好きな人に言われた割には、照れや嬉しさなどといったものがない。むしろ、素直に喜べないといった様子だ。


 その変化にいち早く反応したのは、龍に恋する女性陣だった。彼女達は互いに考えていることが同じかどうか確認してから、龍と未来の元に行き、


「あの、龍さん。今いいですか?」


「あ、うん。どうしたの? 澪さん」


「この後のことなんですけど、未来さんと2人で回ってきてはいかがですか?」

 と、この綱手の風フェスタの間だけでも、2人っきりでデートしてくるよう勧めた。


 いつもは龍を取り合っている独占欲の塊のような3人からの思わぬ提案。これには龍のみならず、彼らの恋愛模様を知る同級生達は驚きを隠せなかった。


「え? 3人は?」


「うちはこれから子供会の焼きそばの出店を手伝わなアカンからパス」


「私も~。宙君と美夜さんに誘われてるからぁ」


「私も一緒に行きたい気持ちは山々ですが、自分のことで忙しい翔馬さんの代わりに、朋美さんを案内したいので」

 そう言って柚達は理由をつけて断り、名前を出した3人にアイコンタクトをして同意を求めた。

 もうおわかりだと思うが、雲雀はともかく、他の2人にそんな予定など元々ない。にもかかわらずそう言ったのは、彼女らの未来に対する最大限の気遣いである。


 そうとは知らない鈍感主人公・龍は、澪らの話を鵜呑みにして了解するが、同じ女の気持ちがわからない未来ではない。


「それなら、みんなで一緒に回った方が……」


「せやったら、うちだけのけ者やないか」


「あ……」


「それに、龍君と再会してからずっと、未来さんは私達に遠慮して、恋から一歩引いていたでしょう? だったら、今日ぐらい独り占めしてもいいと思うよ」


「ですね。でないと不公平です」

 そう説得された未来は、押し切られる形で彼女らの言葉に甘え、龍と昼からの綱手の風フェスタを見て回ることにした。


 龍なら彼女の心を救える。そう確信している雲雀達は彼に望みを託した…………

 遅ればせながら、今回は殺人は一切ナシです。

 ここからの2人きりの時間をお楽しみください。

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