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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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闇の体現者(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 ただこれは、ペガサスからすれば、嬉しい誤算だ。


「お前達。何している? 早く奴を殺せ」


「し、しかし!」


「黒猫が悪魔と化したのは紛れもなく脅威だが、それでも生物であることに変わりは無い。殺せば死ぬ。それとも、お前達にはあいつに対する情がまだあるとでも言うのか?」

 そう凄まれて、逆らえなくなった影達は、迷いや恐怖を捨て去り、黒猫に攻撃をしかけた。

 が、どんなに斬られても撃たれても、果てはバズーカまでくらわされても、それら全てが、彼女の体をすり抜けていった。


 目を疑うブラック・ナイトの面々に、ペガサスは彼女の体に起こったことについて解説するが、そのタネもまたデビル化にあった。

 今の黒猫は、魔族の分類の1つである異端種の魔族になっており、その体は100%純粋な闇エネルギーで構成されている。

 そのため、一種のエネルギー生命体となった彼女には、物理攻撃が一切通用しないのだ。


「よくよく考えて見てください。火や水、風や地面を殴ったところで、それらは消失しますか? それと同じですよ」


「バカな」


「本質が現実主義の種族・人間なら、この現実も受け止めてください。同じ闇の力を使う魔族か、光という相反する力を用いる天使ぐらいしか彼女を討てないということを」

 そう論破された黒龍は舌打ちをし、彼の説を否定するように部下達に黒猫を早く仕留めるよう命じた。


 影部隊は言われるがまま、攻撃をしかけるが、何度やっても結果は同じ。

 それどころか、髪を錬成して作った闇の刃・ナイトメアブレードを複数形成した黒猫から、お返しとばかりに片っ端から切り刻まれていき、ブラック・ナイトは黒龍を残して全滅した。


 まさに修羅、いや、夜叉のような奮闘ぶり。エネルギーである以上、硬化や龍鱗による防御は意味を為さないだろうし、デビルアイを持つ黒猫なら、黒龍の動きを読んで先手もとれる。

 いける。そう思った白虎達は、彼女に期待した。


 が、その矢先、彼らは自分達が抱いていたものがただの希望的観測で、淡い夢のようなものだったとすぐに知ることとなる。

 ゆらゆらと黒龍に向かって歩いていた黒猫が、急にフラつき、その場に座り込んだのだ。

 どうやらデビル化しても、傷が癒えるわけではないらしく、満身創痍の状態で暴れ回ったせいもあって、体が限界に達したようだ。

 ならば、今すぐ治療すればいいと思うかもしれないが、ペガサスの見立てでは、回復させようにも、闇そのものの魔族と化した彼女に光の力を元にして行う回復術をしては、かえって逆効果になりかねない。

 つまり、ペガサスや鳳凰の治癒の力では、彼女を治すことができないのだ。


 唯一救いがあるとするなら、肺に刺さっていた骨が抜けて、呼吸ができるようになったことぐらいだが、そんなものはせいぜい気休め程度。今から黒龍と連戦などしようものなら、間違いなく彼女は命を落とすことになるだろう。


 当然、この機を黒龍が逃すはずがない。黒猫めがけて一直線に斬りかかる。

 普通なら大丈夫と思うかもしれないが、シャドメタリウム製の刃である黒龍神腕で斬られたら、いくらデビル化した黒猫でもダメージを負いかねない。そんなことになったら、かなり致命的だ。


「柚ーっ!」

 青龍達は黒猫の名を叫び、助けに行こうと駆け出すが、間に合いそうもない。


 ただ1人、諦めずに手を伸ばしていたある者は、この時奇跡を掴み取っていた。

 魔族はその姿形から大きく分けて5つに分類されます。

 世間一般が思い浮かべる姿であり、最も多く存在する普通種。

 翼はあれど、ほとんど人と同じ姿をした人型種。

 オークやサハギン等といった獣人や獣の姿をした獣人種。

 完全なる獣の姿をした魔獣種。

 そして黒猫のように、どれにも属さない異端種です。


 ちなみに天使や神も4つに分類されます。

 同じく世間一般が思い浮かべる天使の姿をした普通種。

 年老いても姿が変わらない普通種と違い、年相応に外見が老いていく仙人種。

 ペガサスのように獣の姿になれる聖獣種。

 そして、魔族同様、いずれにも属さない異端種です。

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