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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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転校生は一角獣(4)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 と、同時に、昼休み終了を知らせる予鈴のチャイムが校内に鳴り響いた。


「もうこんな時間か。じゃ、今日はこのへんで」


「せやな。早よ戻らんと、()()に遅れてまう」

 そう言って皆、教室に帰ろうとしたが、転校したての朋美だけは、『準備』という言葉の意味がいまいちわからずポカンとし、その場を動けずにいた。


「準備? と言いますと?」


「あぁ。そういえば言ってなかったね。今日の授業は午前中までで、午後からは綱手の風フェスタの準備があるんだ」


「綱手の風フェスタ?」

 そう言って疑問符を頭に浮かべる朋美に、龍は綱手の風フェスタについて一から説明した。


 綱手の風フェスタとは、綱手中学校とそれに隣接する綱手小学校を会場とする校区全体の合同文化祭である。

 龍達が小学校5年頃から毎年開催されており、露店や展示、さらにはクラスの演劇や個人の出し物などがあり、毎回盛り上がっている。

 龍達3年生の大半は、午前中に中学校の体育館で修学旅行で学んだ沖縄戦を題材とする劇をすることになっており、生徒達はリハーサルや露店用のテントの設営等、色々と準備をしなくてはならないのだ。


「そんなお忙しい時に……私、お邪魔じゃないでしょうか?」


「気にしすぎだって朋美ちゃん。何も全員が全員参加するわけじゃねぇんだ。龍や未来ちゃんみたいに配役が無くて当日やることが無い連中や、雲雀ちゃんみたいに個人でやることがある奴だっている」


「翔馬君みたいに、普段から欠席しがちなせいで劇の話すらこなかった生徒もいるしね」


「うっせー武文。欠席しがちなのは軍からちょくちょく呼び出しをくらうせいだよ。それに、そもそも俺は沖縄戦をよく思ってねぇから、話があったところでやんねぇよ」

 翔馬はそう言うが、話がこなかったことに対する負け惜しみのようにしか聞こえない。


「まぁ、翔馬君のことは置いといて、重岡さんは手伝いとか気にせず、うんと羽を伸ばしたらいいと思うよ」


「そうそう。むしろ最高のタイミングで転校できたと思って、乙女や千代婆ぁ達と一緒に楽しんでこい。あいつらが好きそうな甘いパンとかお菓子とか野点もあるみたいだし」

 それを聞いてよほど嬉しかったのか、乙女が朋美と入れ替わり、大はしゃぎした。


 その無邪気な姿を見て、龍達は愛らしく思っていたが、1人、未来だけは乙女らの様子が視界に入らないほど思い詰めていた…………

 校区全体というのは、会場である綱手小学校と中学校だけでなく、龍と未来の母校である中四条小学校やグラウンド側にある幼稚園も含まれます。

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