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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
7.女王の奏でるラプソディ
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21.竜とのお話①

『お主の装備には、アースドラゴンの素材が使われているであろう? 我は、お主が我を倒して素材を得るためにこの島にきたのかと思ったのだが……』


 ……確かにエリックさんが言ってましたね。肘当てと膝当てにはアースドラゴンの皮革が使われていると。ですが、多少なりと僕も成長していますので、何度か装備は更新されています。未だにアースドラゴンの素材を使っているとは思ってもいませんでしたし、使っていてもコアの部分というか、重要な部分だけ転用していると思っていましたよ。


「……素材を得るために、危険を冒すつもりはありませんよ。いきなり襲われれば話は別ですが、意思の疎通ができる相手なら、戦わずに済めばそれにこしたことはありません」


 僕の答えに納得がいかないのか、その後も蒼いドラゴン(マー・アズーロと呼ばれているようですね)さんと幾つかやり取りをして、わかった事がありました。


 ファンタジーによくある話ですが千年以上前までは、人と竜、精霊・神などはもっと身近だったそうです。ですが、千年程前に魔物が異常に強力になり、急速に繁殖した時代があったとのことです。

 魔物は多くの人や精霊、下級神を襲い、多くの被害がでたそうです。最も多くの被害をだした人族は、竜や精霊・神々と協力し、より強力な武器・魔法を使う事によって、魔物の被害と増加を抑え込みました。

 しかし、多くの土地は魔物との争いで土地は疲弊し、飢饉(ききん)などによる飢餓(きが)が発生します。人族の国々は、魔物との戦いによって人や神、精霊も疲弊しており、そのままでは冬を越せそうもありません。

 特に北方の国々では、国庫は底を尽き国民全てを生かしたまま冬を越せず、かといって他国でも自国の食料を確保するのがやっとの状況です。そこで、ある国の王は、自国の国民を救う為に、隣国へと侵攻を開始してしまいます。魔物を倒すための武器として作ったはずの強力な武器や魔法を、人族同士の争いに使用して……

 争いは瞬く間に大陸中に広がり、多くの人族が死んでいきました。そして、争いの結果は人族以外にも波及していきます。戦いによる人々の死によって地域ごとに根ざした弱い神が、糧となる信仰を得られずに消滅し、精霊もまた元となる大地や木々などの消失で力を失います。竜族などの力ある聖獣たちも、人がより強力な武器や防具を欲することで、素材として狩られる対象となり、聖獣と人族の国家との争いにより国が滅び、竜族などの聖獣たちの数も減じて行ったそうです。


 魔物の増殖がきっかけで始まった争いは、最終的に人族や精霊・神を含めた大きな滅びを含む災厄となり、神は地上での直接的な干渉をやめ、地上をさりました。

 多くの精霊たちも、存在の元となる土地等が穢されたり失われたことで、大きく力を減じ、消えてしまう存在もでたそうです。

 竜族などの聖獣・魔獣と呼ばれた存在も、経験の浅い若い存在が多く失われたことで、やはり数を減じて、人族とのかかわりを断ち、人里離れた場所へと移ってしまいました。しかし一部の竜は過去の盟約に基づいて、国や個人との付き合いも続けていましたが、今から十数年前に北の国の一族に手を貸していた竜が国を去り、竜と人との協力関係は終焉を迎えたのです。


 今でも一部の人々は、より強力な武器や防具の素材を欲して、竜を探しては狩る事を諦めず、捜索と殺戮(さつりく)(人族は討伐と言っているらしいのですが)を繰り返しているそうです。

 幸いにして、僕の防具の素材に使われているアースドラゴンさんは、人に狩られた訳では無いようですが、現在も一部の集団につけ狙われているとのこと。


 マー・アズーロさんも、自分の隠れ家にQ(クイーン)A(アレキサンドリア)がやってきて、それまで人間には立ち入る事の出来なかったテーブルマウンテン上で、人間が何かをしていることで、遂に自分の居場所を知られて狩られるのかと焦っていたそうです。

 そんな中で、上陸班の中に竜族に所縁(ゆかり)のあるクラリスさんを見かけ、人が何しにやってきたのかを知る為に、呼び出したんだそうです。

 そういう理由であれば、まずは誤解をとかなければいけませんね。僕は、マー・アズーロさんに向かい合って離します。


「僕たちは、貴方の住処を侵すつもりも、素材目当てであなたを狙うつもりもありません。強いて言えば、この地に気象観測用の機器を設置させていただきたいくらいですね。あと、珍しい草花や鉱石をサンプルとして採取させていただけると助かります」


 僕の提案に、マー・アズーロさんはしばらく考えていましたが、この島の環境を破壊しない事と、他の人間に自分の話をしない事を条件に、提案を受け入れてくれました。それだけでなく、マー・アズーロさんの魔力を込めた石を、僕とコリーヌさん、クラリスさんの三人にくれたのです。


『その石を使えば、我を呼び出すことが出来よう。我に話がある場合は、その石を持ってこの穴に臨むが良い。さすれば、話は聞こう。此度のように、願いを受け入れるかは別だがな……』


 マー・アズーロさんはそう言って、先ほどの約束を守る為でしょうか? この穴の底に転がっている複数の鉱石を僕の収納空間に放り込みます。


「人の収納空間に勝手にものを放り込まないでくださいよ……」


 さすがに竜族の魔法では、そんな器用な事もできるのかと、僕は感心しました。しかし、よく見ると無節操に放り込むので、そこにいた虫やクモなどまで入ってるじゃありませんか……

 げんなりしながら、僕は滅菌・殺菌・殺虫などを駆使して異物を除去し、鉱石以外は全部消し炭してこの穴に戻します。得体のしれないムカデなんかが収納に入ってるとか、勘弁してください。

 竜族の皆さんは、割と大雑把な性格なのでしょうか? まあ、人間に比べれば虫やクモなんて視界にすら入っていないでしょうから、当然と言えば当然かもしてかせん。


 ここで、コリーヌさんが目覚めたので、クラリスさんと竜族の縁(えにし)とやらを尋ねてみます。クラリスさんは言いあぐねて居ましたが、やがてぽつりぽつりと話してくれました。

 クラリスさんは、幼い時に実家近く(近くと言っても数キロは離れているらしいのですが)で薬草や食材を採取していた時に、大きな岩に隠れるようにして倒れている竜を見つけたそうです。

 クラリスさんは持っていた薬草で傷口の応急手当をしたりと、数日その竜のいた場所と自宅を往復していたのですが、森に入るのに治療道具を持って入っていることなどで怪しまれてしまったそうです。

 ついには彼女の兄に後をつけられ、竜の存在を確認した兄は、その情報を冒険者に売ってしまいます。冒険者がたどり着く前に、なんとか竜の傷を治そうと必死に祈っていたクラリスさんは、それが切欠となって癒しの力に目覚めたのだそうです。それがきっかけとなり、クラリスさんは竜族の加護を得る事になりましたが、竜を取り逃がしたことで家族との関係が悪化してしまったそうです。

 家族が彼女を生かしておいたのは、癒しの力がありそれが小さな村ではお金になったからだそうです。その後クラリスさんは、当時のアレックス(現在のロンタノ辺境伯)の部下によって奴隷扱いで購入され、開放都市(チッタ・アペルタ)で自由民として暮らすことになったそうです。

 僕は、クラリスさんが案外苦労人なのと、アレックスが奴隷扱いで家族からクラリスさんを買いながらも、自由民として生活させていたことに関心してしまいました。心の中で評価を少し上げてあげましょう。


 そして、コリーヌさんも竜族と縁があったようです。クラリスさんが助けた竜は、コリーヌさんの実家、ブランシェ家と盟約を結んでいた竜だったそうです。彼の竜の都合で、一度契約を終了し住処(すみか)に戻ったのですが、再度盟約を果たそうとミッテルベルヌ王国に向かって飛んでいる際に、竜狩りの人族に遭遇してしまったようですね。

 怪我をしてしまった竜は、ブランシェ家にこのまま赴くと、彼を追う竜狩りの人々との騒乱に、巻き込んでしまう事を懸念して、帰参を断念したという事を、マー・アズーロさんが話してくれたそうです。

 コリーヌさんは、自分が女性として生まれてしまった為に、契約の竜が住処に帰ってしまったと思っていたらしく、彼女の力を測ったマー・アズーロさんに、現在のコリーヌさんの力であれば、人族に狙われていなければ、彼の竜も十分に力を貸してくれただろうという事を知らされて、満足そうでした。


 そうそう、ブランシェ家に絡んでいたアルべニア貴族がいましたよね。彼らもその竜素材を狙う人たちの一派だったそうです。

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