↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
6.楽園での休日
224/285

12.意外な展開

「……そういえば、僕は昨日お風呂で寝ちゃったんですよね? 僕が寝てるのに誰が気が付いたんですか? それにお風呂場は鍵がかかってましたよね。どうやって開けたんです?」


 コテージをでて、僕たちは浜辺近くに設営されていたオープンテラスで朝食を摂っています。イリスさんは僕を横目で見ると、ユイに目線で発言を促します。ユイはにっこり微笑んで答えました。


「バスルームとシャワーブースは同じ水回りだから繋がっているんですよ。水音がしなくなったことに気が付いたので、のぞいてみたら、クロエさんがぐっすり眠ってらしたんですよ」


 ……まあ、本来はどちらも同じ場所にあるのが普通ですし、コテージに泊まる人数が家族とかならそういう造りの方が良いのでしょうけど…… そこまで考えた僕はある事に気づきます。


「……当然僕は裸でしたよね? じゃあ、誰がここまで運んで寝かせてくれたんです?」


 そんな僕の様子をみて、イリスさんがニヤニヤ笑っています。ユイやユーリアちゃんも楽しそうな笑顔を見せていますね。


「聞きたいの?!」


「……イエ、エンリョシテオキマス……」


 知ってしまった方が精神衛生的に悪そうですからね。その後の事も効かない方が身のための様です……


 コホン、気分を変えてコーヒーカップを手に取り、ゆっくりと頂きます。今朝の朝食はこんがり焼けた食パンに、カリカリに焼いたベーコンとスクランブルエッグ、トマトとレタスの野菜サラダに、コーヒーか紅茶のセットメニューが用意されています。

 食パンの焼き具合は選ぶことができて、ふわふわの食パンや他のパンも選ぶことができます。アレキサンドリア共和国では、酵母を利用した発酵パンが主流ですが、他国ではライ麦や小麦粉で作った粉を、水で練って丸めたものを焼くという丸パンが主流です。

 発酵パンは開放都市(チッタ・アペルタ)でも安く提供していますが、銅貨十枚で一個買える丸パンに比べて、銅貨五十枚の価格となっている為にあまり一般的ではありません。帝政エリクシアでもアルべニア王国でも同じですので、この機会に皆さんに味わっていただいて、少し広めてもらいたいという意味合いも含めて、今回の食事に組み込んでいます。


「今日の予定はどうなってるの? チャンバラとビーチバレー?の決勝をやってから帰るってことでいいのかしら?」


 イリスさんの言葉に、僕は考えます。保養施設の箱モノは全て設置してありますので、あとは『四季』や『思い出』以外の出店者を選ぶだけですし、保養地は黒家と白家の共同運営がされるので、アレクシアさんとリリーさんが考えるでしょう。

 となれば、イリスさんの思い出作りがきっかけで始まった今回のイベントですので、この趣旨にそって動けばよいのでしょう。


「……そうですね、僕たちはそれでよいと思いますよ。アレクシアさんやリリーさんは他になにか考えているのかもしれませんが……」


 僕たちは遊び目的で良いかもしれませんが、大人はそれだけではいけないでしょうからね。あの二人が女性だけとはいえエリクシア貴族のエリーゼさんや、アルべニア貴族のサンドラさん、ミッテルベルヌ王国のコリーヌさんの招待を許容するとは思えませんからね。

 そこまで考えて僕は首を振りました。


「まあ、僕たちはそれで良いでしょう。何かあるのであれば、きっとアレクシアさんやリリーさんから何か言ってくるでしょう」


 イリスさんやユイもうなづきますが、ユーリアちゃんはもくもくと食事を続けていますね……、幸せそうな笑みを浮かべているから良いことにしましょう。


*****


 四方を観客席に囲まれた決勝戦を行う会場は、周囲をヤシの木などに囲まれた涼し気な場所ですが、そこで行われている決勝戦は熱気が凄い事になっています。


 決勝は、『四季 本店』チーム対『開放都市(チッタ・アペルタ)有志連合』です。イリスさんたちのチームを破った有志連合は、リカさんやニトラさんなどの講師と冒険者ギルドの受付嬢パトリシアさんを含めた混成チームです。


「チームワークでは圧倒的に有利なのに……」


 ユイが思わずつぶやきますが、僕も同感ですね。『四季 本店』チームは圧倒的なチームワークでボールを繋げまくり、相手のミスを誘って勝利するスタイルです。実際、ほとんどのチームは疲労によるミスをつけ入れられ敗退しています。

 それに対して、有志連合はニトラさんとリカさんが守備の要で、四季の攻撃を拾いまくっていますが、恐ろしいのはパトリシアさんですね。にっこり微笑んで普通にボールを打つだけなのに、目線とボールの行き先が全くあっていません。


「……すごい、インパクトの瞬間に回転をかけているし、フェイントを織り交ぜて同じモーションから、全く違う軌道でボールが飛んでいくよ……」


 ボールは魔法を使用すると破裂しますから、パトリシアさんは全く魔力を使わずにボールをコントロールしていることになります。技術だけっていうか、ボール遊びなんてしたことないはずなの……

 そうやって見ているうちに、パトリシアさんがツーアタックでネットぎわにちょいっと落としたボールに、四季の店員さんが飛びついたところでボールが破裂します。


「あちゃぁ、つい魔法がでてしまったよぉ」


 そう、たまに組み込まれるトリッキーな動きに、アレキサンドリアの人達はついつい魔法を使ってしまい、ボールを破裂させてしまうのです。


「そこまで! 勝負は有志連合ですぅ」


 ユーリアちゃんの声が響き、喝采の拍手が鳴り響く中、ニトラさんとリカさんがハイタッチしていますね。パトリシアさんは、ただ微笑むだけです。これは予想外の展開でしたね。

 審判をしていたユーリアちゃんに聞いてみます。


「今の試合というか、パトリシアさんの動きによくついていけたね~。昨日もこんな感じだったの?」


 昨日の試合でも、今のパトリシアさんの動きを予測するのはかなりの難易度ではないかと思います。それを楽しかったとか、遊びと言えるユーリアちゃんは凄いと思ってしまいましたが……


「いえいえ、ぎりぎりですし追いきれない事がありましたよぉ。昨日は普通の動きだったのに、今日のパトリシアさんは昨日とは別人ですぅ」


 えっ、昨日は普通だったんだ。これは完全に計画的ですね。


『引き続き、休憩をはさんでチャンバラの上位4名による決勝を行います。尚、飛び入り参加も可能ですので、審判にお申し付けください』


 ユイの声が会場に響きますが、飛び入り参加は甘い期待できそうにありません。人魚族の二人が、むちゃくちゃ強いのです。もともと長命な種族ですし、勝ち残った二人は人魚族の中でも戦闘種族です。実戦経験も豊富ですので、人間は勝てないのではないでしょうか?


 エリーゼさんすら、良いとこまでいって倒されてしまっています。辛うじてエリーゼさんの師匠であるヘルガさんと、コリーネさんが四強に残っていますが、実質人魚族さんの勝利は動かないだろうといわれています。

 とはいえ、実力者揃いの試合ですからね。ヘルガさんはエリーゼさんの師でもあるだけに、一般的な貴族らしい優雅な剣捌きを見せますし、コリーヌさんは武器を選ばない安定した強さを放ちます。最初は相手と同じ武器を使っていたのですが、刀を使う人魚さんに惜敗してからは、相手の武器に対して有利になる武器を使っています。

 それでも人魚族の方には勝てませんでしたが、心なしかコリーヌさんの表情が楽しそうに見えましたよ。そう考えながらボーっと、僕は決勝トーナメント出場者の4名を見ていた時でした。


「さぁ、それでは飛び入り参加しますよ」


 へっ、いきなり右手を掴まれた僕は、焦って腕をつかんだ本人を見上げると、そこには満面の笑みを浮かべたパトリシアさんの姿がありました。


「え、僕は魔法無しではからっきし弱いですから駄目ですよ!」


 そういう僕の言い分を一切聞かずに、ぐいぐいと引っ張られてユイの元へと引っ張ってこられてます。


「みなさん、飛び入り参加二名お願いしますね。私もギルドの代表として、素の皆さんの実力を把握しておくように、ギルマスから言われてますので」


「では、保護者代表ということで、私も参加させて頂こうか。なに、私も体術だけにするから心配するな」


 うげっ、イェンさんまで参加ですか。とてつもなく嫌な予感がひしひしと感じられる僕なのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。