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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
6.楽園での休日
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3.対G(ゴキ……)じゃなくて

 上層街の地下、大滝の裏には、DM2やFC1などが格納されているエリックさんの工房や、アレクシアさんのスタイル維持用の温水プール施設などもありますが、魔術学院で受講する講義が無くなったころから、僕用の研究施設も作ってもらいました。


 今日はその一室に、ユイとイリスさん、ユーリアちゃんやエマ&ジェシーを加えた、冒険者PTアレキサンドライトが久しぶりにフルパーティーで集まっています。

 僕を含めた6人の目の前には、試作機『アレキサンドライト VF-1 Valkyrie 』が鎮座しています。VF-1 Valkyrieといっても、変形して人型ロボットにはなりませんので、あしからず。


 『アレキサンドライト VF-1 Valkyrie 』は、かつて僕がネットでみた「Cobalt CO50 Valkyrie」という5人乗りの小型ジェット機を、魔力推進を使用して再現したもので、見た目はほぼそのままです。

 一番大きな違いは、離着陸は魔力を使う事による垂直離着陸ができること、滑走路が不要な事です。

 そして推力は普通のジェット機と同じで、空気取り入れ口から取り入れた空気を、後方の排気口から噴射する事で得るのは変わりませんが、燃料を燃焼するのではなく、加速魔法陣の多段運用することで推力を調整していることですね。

 これによって、廃棄熱を出しませんので、熱線追尾はできない事が大きな違いです。


「ちょっと、クロエ。これってプロペラとか付いてないけど、本当に飛ぶの?」


 イリスさんが恐るおそる言います。


「今回は試験飛行も兼ねていますので、皆さんは無理して乗らないでもいいですよ?」


 僕がそういうと、イリスさんは言葉につまってますね。機首から風防が上開きに開きますので僕は操縦席に乗り込みます。二列目席は2席で前後の銃座を兼ねてます。三列目以後は対面式にもなる二列席と単座席で、4列6人の搭乗が可能です。

 二列目はエマとジェシーが座り、砲座の調整等を行っています。イリスさんと、ユイは覚悟を決めて3列目の座席に納まったようですね。ユーリアちゃんは4列目の単座席に座ります。


「ちょっと狭いのは勘弁してね。あと、ベルトはきちんと締めてね」


 僕は後ろを向いて確認しますが、イリスさんは余裕よって顔でこちらを見ています。僕はちゃんと言いましたからね?


「キャノピーロックOK、加速魔法陣1~10番作動開始……安定。揚力確保速度到達まで、3秒」


 発進口から流れる滝水に向かって、物理障壁が展開され、機体の通過部分だけ水がなくなります。


「じゃあ、行きますよ。ロック解除、発進!!」


 発射口から白い機体が一気に射出され、機体通過と共に物理障壁が解除されます。ロック解除後0.5秒で機体は時速300km近くまで加速されます。本来であれば、パイロットは耐G訓練を受けた後に、耐Gスーツを着用して搭乗するのですが、魔法による耐G障壁を展開していますので、特殊な訓練はいりません。

 とはいえ、車を運転した事がある方は分かると思いますが、他人の運転は荒く感じるようで......


 アネル・デュプロまでは3000kmとして、毎時300kmでは10時間かかりますからね。さらに加速魔法陣を発動させないと……そう考えていた時でした。


「クロエ様、イリス様たちが……」


「へっ?」


 VF-1 Valkyrieは速度と機動性を優先しているので、操縦席でとれる行動は大きくありません。ミラーで後方を確認してみると……イリスさん達が白目をむいてました。だから言ったのに~


「ジェシー、なんとかできる?」


 僕の言葉に、ジェシーは申し訳なさそうに首を振ります。飛行中にのんびりできる機体じゃありませんからね~。まあ、問題はないでしょうから、今のうち距離を詰めるためにもさらに加速してしまいましょう。


「加速魔法陣11番~30番順次展開。空気取り入れファン、フルフェザーに移行」


「クロエ、衝撃波が発生します。高度を上げてください」


「わかったよ、機首上げ5度。目標高度1000m」


 一気に機体の速度が上がり、機体周辺に円錐状のベイパーコーンと呼ばれる雲が発生しますが、あっという間に消え去ります。どうやら、音速付近を越えたようですね。


「クロエ、加速魔法陣1番から3番がそろそろ限界です」


「ん、速度固定。進路修正西に5度」


 あとは目標地点に着くまでおとなしくしてみますか


*****


「クロエ、目標視認しました。10時方向、距離1500m」


 わぁ、もっと早めに行ってくれないと


「エマ、せめて5分前に言ってよ」


 アネル・デュプロを通過してしまい、大きく弧を描きながら速度と高度を落とします。エマが僕に申し訳なさそうに言います。


「申し訳ありません。5分前ですと、250km以上手前での報告となり、さすがに感知外です」


 ありゃ、さすがにそれは無理でしたね。僕はエマに謝りながら徐々に高度と速度を落とします。加速魔法陣も次々と機能を止めていきます。


「ギア・ダウン。ん~手頃な平地はと……あ、あったあった」


 礁湖(ラグーン)の内側、西側の山のふもとに5m四方の平坦地を見つけました。んと、人の反応は在りませんね。波打ち際までも100m程ですから、ちょうどよいでしょう。

 機体をゆっくり降下させて、着地。加速魔法陣を停止させると、機体後方への排気もなくなりました。


「はい、到着到着と」


 キャノピーを開けると潮の香と潮騒が聞こえます。ベルトを外して、浜辺にシートを引くと、イリスさんがバタリと倒れ伏します。ユイもペタンと音を立てて座り込んでいますね。

 ユーリアちゃんは、もう復活していて周囲を興味深く見回しています。エマ&ジェシーは機体周辺に獣避けや虫除けの設置をしていましたが、どうやら終わったようですね。


「「酷い目に(あった)」あいました」


 イリスさんとユイがつぶやきますが、こればかりは仕方ありません。


「だから、無理に乗らないでいいって言ったんですよ。これは速度優先で、乗り心地は考慮してないんですから」


 僕がそう言うと、二人に「限度ってものがあるでしょう」と言われます。仕方ないですね、加速スタートをする場合は、もう少し強力な耐Gフィールドを生成しておきましょう。


「エマ、ジェシー桟橋の建設候補地はどの辺?」


 僕の問いに、図面と照合してマーカーをつけるので待っててくれと言われます。では、こちらはこちらで軍用施設の建設予定地と、保養地用の施設建設予定地を平(たいら)にしておきましょう。

 と言っても、僕が何かをするわけではありません。僕は収納空間から、エリックさんから預かっていた建設用魔道具を二つ取り出すと、起動スイッチを押します。

 2台の魔道具は、内蔵された図面に従って、軍用地と保養地の区画を平(たい)にするため、土魔法を展開し、1時間程度で区画の整地を終了させます。

 このころになると桟橋のマーカーの設置が終わったエマ&ジェシーが戻ってきましたので、同じように桟橋構築用の魔道具を起動し、10分ほどで『Q(クイーン)A(アレキサンドリア)』用の桟橋と、軍船用の桟橋を設置し、建物が設置されます。内装は、簡易なものですが、軍が使用するならこんな物でしょう。

 保養地は平坦化しただけで、あとは転移用のゲートを設置すれば完了です。ゲートの起動は帰りにすればよいですね。あとは、軍の施設とこの保養地に軍旗と関係者以外立ち入りできないように魔法陣を複数個所に展開して終了です。


 イリスさんとユイ、ユーリアちゃんはエマ&ジェシーが待っている場所に戻り声をかけます。


「さて、設置は終了しましたので後は帰るだけなんですが……」


 僕がそういうと、エマ&ジェシー以外は『折角来たのに~』的な表情を浮かべてこちらを見ています。ちょっと……仲間に入れてほしいモンスじゃないんですから、そういう目で見るのは止めてください。


「……わかりましたよ。今はお昼ですから昼食をとって、少しゆっくりしましょう」


 そういうと、三人ともニコニコ顔ですが、冬のアレキサンドリアから常夏の島に来た所為で、着るものが気温と合わずに暑いです。上着を脱いでブラウスだけになって、持参したお昼を食べてのんびりしましょう。


 昼食後、椰子(やし)の木陰にハンモックをつるし、のんびりしているとイリスさんがこちらをみて言いました。


「ねぇ、折角来たんだから泳がない?」


「……良い考えではありますが、そもそもそんな事予定してませんでしたから、水着なんてないですよ?」


「いいじゃないですかぁ、いっそ下着で泳いじゃっても。帰る前には乾きますよぉ」


 いや、12歳のユーリアちゃんはまだしも、イリスさんやユイはまずいでしょ。ユイなんて話を聞いただけで真っ赤な顔をしていますよ?


「……ねぇ、クロエ。今この島には誰もいないのよね?」


 イリスさんが何を考えてるのかわかりませんが、とりあえず周囲をサーチしてみますが、10km以内には人族も人魚さんも、船の存在もありませんね。

 そう伝えた途端、イリスさんはさっさとスカートやブラウスを脱ぎ、下着姿になってしまいます。


「ちょっ、何をするつもりなんですか!」


 そのまま波打ち際に走っていったイリスさんは、水の中に飛び込みます。あ~、もうこの辺の海は完全に安全ではないんですからね?

 ユーリアちゃんも飛び込むのをみて、僕は離れた場所に複数のアンモニア水の水球を生成して、水面に触れるか触れないかの位置で浮かべます。

 すると、水球の中に徐々に小さな魚がどんどん入ってきます。うわぁ、危なすぎる。アンモニア水の水球に集まった小魚は、シー・カンディルですね。獰猛(どうもう)な肉食魚で、以前海賊さんを討伐してもらいましたが、保養地には不要な存在です。

 被害が出る前に駆逐しておきましょう。駆除用の罠も作っておいた方がよさそうですね。保養地の沖か、礁湖(ラグーン)に設置して、島の中の水路には入らせないようにしないとですね。


 そうしてみているうちに、ユイもついに参戦したようですね。僕はおとなしくハンモックで転がっていることにします。目のやり場に困るんですよ、精神的に……


 その日は夕方までみんなで楽しみましたが、3人とも日焼けしてヒリヒリになったお肌を、イリスさんの治癒魔法で治療するはめになりましたとさ。僕はちゃんと日焼け予防をしていましたので平気です。


 翌日には日焼けの痛みがなくなった3人でしたが、日焼けした肌自体は誤魔化しようもなく、皆さんに追及を受ける事となりました。

 あっ、アレキサンドリアへの帰りは、転移門を使用したので、3人とも気を失うことはありませんでしたし、VF-1 Valkyrieは忘れずに収納にいれて持ち帰ったのでご安心くださいね。



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