10話 出発
迷宮、70階層まで下った。これまでのペースでは有り得ない程の速さ。これには、理由がある。
理由がない事象なんて、この世にあるかなぁ。あ、いや、それはいい。
これは、二、三日前の事をヒントに考えついたことだった。
あの、豚人を投擲、貫通弾でぶっ潰したとき、あの弾は、石は、あいつを貫き、突き抜けて、先の壁に穴を開けて飛んで行ったんだ。
つまり、そういう事。壁に出来たんだ、床にも出来るだろ、と。
少し神経を使ったものの、崩す範囲設定をして、貫通、塵弾で、俺が通れる位の穴を作って、ここまで降りてきたわけだ。
ま、それがバレないか不安で、事前に、前回開けた壁も見てきたが、塞がっていた。すげえなあ。
まあ、これも、今はいい。まずは一稼ぎ、しよう。
俺は、真ッ黒い毛を逆立たせ、緑の瞳で俺を睨む、黄色い牙の犬っころ、真黒犬と戦うことを決意し、これ、帰りどうしよう、もっと気持ち悪いのいるんだろうなあ、などと、不安になりつ、取り敢えずの一歩を、そっと後ろに引いた。
※※※※※
くおおおお。
「っかれたー。帰ってきたー…」
一つの階層に十分もかけずに駆けてきたから、流石に。
だがまあ、マップのお陰で迷わなかったし(迷宮の名の通り、迷路のようになっていたり)、結構魔石も手に入った。んで、まだ正午くらいか。丁度いい。
街へ帰ろう。
迷うことなく適当に、左足から踏み出す。歩き出す。
一歩毎に、足下の砂利が、ざりざりと音を立て、それを気にすることなくぞすぞすと歩く。
俺は今日、この街を発つ。
昨日の夜に考えて出た結論。
それは、こう、いろいろを思ったものだ。
別に、直ぐに出なくても良いんじゃないかとも思っていたのだが、そうなると、ちょっとした弾みでタルグを殺しちまうかも知れない。昨日、取り敢えずは殺さない、と決めたところで、それはな。
まあ、殺してしまっても構わないけど、それはそれで、奴も一国の主だし、どんな騒ぎになるか分からん。その中心に俺ってのは、嫌だから。
そして、さっきはその準備。街を出るに当たっての、今後必要な金を、夜通しで稼ごうという訳だった。
だいぶ魔石も取れて、良かった。
……と、そろそろ街が見えてきた。
進む足のペースを上げた。
※※※※※
ギルド。
今日から当分は…いや、もう二度と来ないかもしれない、ここ。
そんなに愛着も無いんだよなぁ。そう、こんなとこにいるより、早く宿で飯が食いたい。心残りと言えば、それくらいだなぁ…。
なんて考えつつ、かつん、と一歩。
そうして、おっさんに向かい、歩く。
「よう」
話しかける。そうすれば、
「おう。今日は早い帰りだな。いや、今から行くのか?」
こう返ってきた。
「前者だよ。今、帰り」
と、返して、
「買い取り、宜しく」
言って、魔石を取り出し、カウンターに置く。
それをおっさんが受け取り、鑑定する。
一個一個手に取る為、まあまあの時間はかかったが、終わった。
「随分、頑張ったな。ほれ」
おっさんは俺に、金貨2枚と半金貨5枚、あと、細々したのをいくらか渡してきた。
「おお、確かに。俺、だいぶ頑張ってるな」
と、反応し、そろそろかな、と、別れの挨拶をする。
「んじゃあな、おっさん」
「ああ、それじゃあな」
くるりとおっさんに背を向けて、一歩一歩を、中に響かせるようにして、外へ出た。
※※※※※
俺は今、馬車の出発を、席に座して待っている。
あと五、六分で出る。
歩いていっても、すぐに着く場所に行くのだが、どうせなら楽したい。
……そういえば、さっき宿に行ってきた。
持つべき荷は手元にあったんだが、飯が食いたくてね。
あれはど美味いものは、なかなか食えないよ。絶対にもう一度来ると、誓った。……心に。
考える内に、馬車が走り出す。がったんがったんと、ひどい乗り心地であった。
佐藤 進
職業 勇者
HP 8655
MP 11243
体 15776
力 25864
守 16978
速 9521
魔 12
態 9625
スキル
魔法適正0 LvMax
風魔法 Lv1 適正0
水魔法 Lv1 適正0
回復魔法 Lv1 適正0
既知地転移 Lv1 適正0
スキル消去 Lv1 適正0
投擲 LvMax
千里眼 Lv1
暗視 Lv1
解析 Lv1
気配察知 Lv1
股関節軟化 Lv1
アイテムボックス Lv1
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