9.妖精
多少トカゲの液で汚れたが、気にならない程度だった。
俺の現在の格好は、上から下まで全て漆黒のインナー・ジャケット・ズボンだ。
格好良さとかじゃなく、機能性を追及した結果なんだが?
その後イッパツ屋ことラプターを5匹、毒オークを2匹、オークを何匹か倒したところで、昼食を食べ、昼休憩を挟み。
それから、それどころの話じゃない。ついに宝箱と遭遇したのだ。残念系の見た目ではあるが、こういうのが意外と中身が良かったりする。
ちなみに迷宮では珍しいアイテムが手に入ることが時々あるらしい。
アイテムの価値は、
コモン<アンコモン<ミニマムレア<ライトレア<レア<ヘヴィーレア<スーパーレア<グレートレア<ウルトラレア<スペシャルレア<EXレア<レジェンドレア<ミスティックレア<アルティメットレア<ポストレア<インセイン
の16段階になっている。
まぁ一般人にはミニマムレアでさえ手に入らないんだが。
さてと罠の気配も無さそうなので、さっそく御対面と行きますか。
鋼の靴
等級:ミニマムレア
鋼鉄製のくつ。誰が何の目的で作ったのか謎。もちろん重くて装備できない。
一瞬なにか判らず鑑定を使ったのだが、それでも判らない。何処に金属製の靴が罷り通る世界があるのか。見ないし役に立たないという理由でミニマムレアなのか?
まぁ回収はするけどね。
あっという間に10階層。イッパツ屋の抜け作たちともこの階でお別れだ。
途中オークとの出会い頭に、一息で背後へ回りこみ、そのまま頚椎を頂いた。
何も考えなければ体が勝手に敵の殺気に反応するかの様に、打ち、潜り、投げた。
11階への下り階段である。
少しみんなに疲れが出てきたか? 俺はまだ余裕があるんだけど、俺たちは仲間だから俺は仲間の体を思いやる。まあ面倒見が良過ぎるのも厄介事を背負い込む原因かもな。たまにみんなを俺の我儘に付き合わせて悪いと思ってるし、そんな俺を支えてくれて感謝してる。全力のアリガトウ。
「ん、休憩」
「ご主人様、そろそろ夜営の準備をしませんか?」
「ん、そうせい」
「では少し道を戻って、小部屋の一つを押さえましょう」
「ん」
戦闘力は無いけれど、こういう方面はやっぱみんな優秀だ。俺は外敵を倒したりはできるが家事はさっぱりだ。一人暮らしの時も幼馴染に頼りきっていた。
小部屋の出入り口で御飯のできるのを待つ。武器の手入れも無いし、何かしようとすると座って何もしなくて良いと叱られてしまう。服の毛玉でも取るか、暇だ。
夕食を摂り早めに就寝する。見張りは二人一組で四組プラス俺で五交代。俺は最後の明け方の番なので先に休ませてもらう。
「ご主人様、交代の時間です」
「ん」
よく寝た。さあこれから約二時間どうしようかな。
油断すると居眠りする恐れがある、けっこう屋上とかで居眠りするのは得意だが。
――――――side ヒスイ――――――
よくある話、山賊に嬲られて両親も村の人も死んだ。
奴隷商に売られ、
私は堕ちた。
コレガ・・・ボク・・・ノ・・・セカイ?
何も見えない、見たくなかった。
現実という名の糸引く爛れた絶望の褐色の硬い鎖に雁の字搦めに縛られた飽く事無き黒き非現実の白蟻の群を。赤い翼の千切れた醜い堕天使という名の私まるで鏡の中の傷の化膿した自閉少女が絶望の禍々しき鍋の渦を過ぎ行きて気も朧に遠くなる程に彷徨っていた熱い砂漠の町も夜は存外冷え込む精神錯乱状態の月に見下ろされた時、クラヤミ・ニンギョウを崩壊へ導く甘美的で夜に咲く華的な絹糸の一筋ほども差し込んだ偶然の光・・・・・・アンチ・カオス・フィールド・・・・・・の正体が紛れも無く「ご主人様」だったという僥倖。黒き蛇の腐焔を爽快のバニラ風に払われた僥倖。独りで抱え込んでいた「セカイ」への「ニクシミ」も仮初めの絶望も終わりの始まりも全てご主人様が悠然と受け止める僥倖、裂き開き喰らい這い侵し埋め満たし包み残った感情は尊敬と恋慕と感謝と愛情と慶賀と責任と憧憬に変わっていた。
一生・・・御側にいさせて下さい・・・ご主人様。
――――――side エルザ――――――
御主人様、素敵です
――――――side エリー――――――
ごしゅじん、子ども、ほしい
――――――side リリアナ――――――
いつも優しい、ご主人さま
――――――side シャル――――――
スキです。御しゅじん様
――――――side ルルザ――――――
癒されます、ご主君
――――――side エルザルザ――――――
カッコいいよお、主様ぁ
――――――side ミリア――――――
おにい様・・・好きです
――――――side リリーザ――――――
お許し下さい、マイロード
――――――side エリゼ――――――
ああ・・・御主人様
――――――side メリーゼ――――――
愛しいのじゃご主人
――――――side ルイズ――――――
あるじさま好き
――――――side イリーゼ――――――
可愛いのじゃ、御主人
――――――side マリア――――――
愛を誓います、旦那様
――――――side エリーズ――――――
パパ大好き
――――――side ルイザ――――――
愛してる、御主
――――――side イルーザ――――――
憧れの主君さま
――――――side リゼカ――――――
御主人様は、良い匂いなのよ
――――――side ルイーゼ――――――
・・・・・・主・・・好き・・・
――――――side シェルザベル――――――
しゅじん様、カッコいい




