「神」のいないチーム
あの赤の25番、やってくれるな。。。
今、鈴に「おばさん」って言ったよね?
初日からバチバチしちゃうじゃん。
俺は、鈴の運動量を考えた時、あの子との組み合わせがぜーったいいいと思ったわけよ。鈴も最初に見つけたのがあの子だったし、強気でスカウトかけてたし。
まぁ、高校1年なんてこんなもんか。
あの子から見たら、安藤だって菅澤だって「おばさん」なんだもんな。
あ、俺もおじさんかw
ピッチに11人揃ったところで、どんなチームにするか。ここからが俺のセカンドステージな訳だよな。本来やりたい監督の仕事だ。
蒼は瑠の代わりに取ったFWだけど、代理じゃない。
蒼を中心とした攻撃は必ず、このチームの強みになる。
ただ。。。
タイプが違うだけに鈴のプレイスタイルも変えなきゃならない。
鈴は自分でも分かってるだろうな。
誰よりもサッカー見てきてるから、選手が入れ替わった時「切り替えるチーム」と「引きずるチーム」の違いはわかってるはずだ。
Jリーグでも主軸が海外に移籍すると戦略がガラッと変わったりする。でも、それができるチームは強い。「昨年の成績やプレイスタイルにこだわったチーム」は、勝てない。スペインみたいに下部組織が同じレベルで同じプレイができる子を育てて、誰かがいなくなっても変わらないチームならいいけど、アルゼンチンのように「神」がいるチームは、「神」がいなくなった時、「神」の位置に「神」の幻を求めてたら勝てない。次の「神」に合わせてチームを作るから強い。
うちの新しい「神」は、間違いなく蒼だ。
だから、戦術について来れなかったら…
鈴だって切る。
システムは
4−3−3 基本からの
4−2−5 で、攻撃かな。
蒼はメッシでもヤマルでもない、ペドリ。
鈴はロドリ。
鈴の守備の位置取り、攻撃の組み立て、テンポ調整、2人の試合全体のリズムがあってきたら…ワクワクじゃね?
おっと、
……「鈴はロドリ」は言いすぎた…
でも、蒼のペドリはイメージとしては近い。
頭の中では、もうeFootballが始まっている。
蒼は得点王タイプというより、周りを生かして、自分も決められるクレバーなFW。
前から追って、奪われたらすぐ奪い返す。
あの高校の監督が、何を大事に育ててきたのか、一目で分かる選手だった。
危機とチャンスを嗅ぎ分ける。
お金を払っても欲しい選手だ。
まぁ、パパの会社がスポンサーになってくれるという嬉しいおまけ付きだったけどwまぁ、うちの中心選手になることは間違いない。
そんな選手に、鈴がどう応えるのか。
このチームは、去年の続きをやるチームじゃない。
新しい11人で、新しいサッカーを作るチームだ。
「よし。」
気付けば、ホワイトボードにマグネットを並べていた。
蒼を一歩下げる。
鈴を五メートル左へ。
「違うな。」
また動かす。
「これだ。」
いや、これじゃ右が薄い。
ヤマルが欲しいw
……楽しすぎる。
さて――。
俺の頭の中で勝ってる試合を、今度はピッチの上で勝たせようか。




