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ドラゴンマスクより「律」  作者: 美憂


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4/10

リアル「サカつく」は厳しい!

今、俺はリアル「サカつく」をやっている。

モニター画面にいた有能かつ美しい秘書はいない。

俺が計画を立てて、俺が計算して、俺が運営する。

やばいよなー。

それは自分が一番わかってる。

まぁ、下手すれば大きな借金だけを返す人生になる。

今、挑むべきなのか。

ってか、俺か?俺なのか?できんのか、俺?

自分だけじゃなくて、仲間の人生も振り回すことになるんだぞ。


でも、決めたんだ。


俺は、プロ選手にはなれなかったけど、プロの世界に挑むことを。


サッカーで生きていきたい。そう決めた時から、目標の先には「監督」は明確にあった。親父の持ってた土地をサッカーピッチにしてサッカー教室を開いたのもそのためだった。とにかく指導者の経験を積みたい。何の実績もない俺には、自分で土台を作るしかなかったんだ。いや、俺の力だけじゃないな。

軽やかに自分の夢を叶えながら、その途中で天に逝っちゃった親友を見て、その夢の続きはできないけど、俺の夢も「今」動かなかったら何も始まらない気がした。あの土地をピッチにしたいと親父に泣きながら土下座した時、親父は「どうせ、お前のモンだから好きにしな」と笑った。「泣いて一生のお願いの土下座は、プロポーズとかに取っとけよ」って、俺はプロポーズに土下座しなきゃ結婚できないのか?と思いつつも、さすが、俺の親父、バカだ。こんな俺の無謀な頼みに笑って冗談を言いながら財産を差し出した。

元々、親父の作ったゴルフの練習場だった土地だが、親父は人事とか運営とかが面倒で閉鎖してしまった。それ以来、俺の広―いサッカー練習場ではあった。人工芝だったり、高いネットが張られていたり、照明がついてたりと使える部分が多かったとはいえ、何もない俺にプラモデルをくれるみたいにピッチを作ってくれた親父には感謝しかない。


サッカー教室の運営は、思った以上に順調だった。

サッカーはチームスポーツだから、「やりたいけど、きっかけが・・・」って大人は多い。日本は、チームを離れたらサッカーができない国なのだ。ボールさえあればどこでも始まるわけではない。だから、場所と人を求めてるサッカー難民は多い。俺には、場所がある。「やりたい人、集合!教えるよ!」すると、予想を超えた人気となった。ウイルス感染拡大の時は、さすがに参ったけど、実家暮らしのピッチ持ちとしては、1対1のレッスンやレンタルピッチで何とか凌ぐことはできた。親父には、

「大丈夫かーサッカー教室?」とか聞かれ

「親父のおかげで生きてまーす」とかふざけてたけど、その言葉通りだった。


「親父さーなんで俺に全額ベットできんのよ?」


「だって、面白そうじゃん。バカなお前が何かしようってんだからさ。全額ベットしてみたくなるでしょ」って、器デカすぎ。


親父、こっから先、もっと面白いもん見せてやるからな。

長生きしろよ。


さて、現実。


世の中、金だ。

金で全てが動く。


WEリーグに参戦するには、新規参戦募集される機を狙って「手を挙げる」準備をする必要があるわけで。

まず、プロ契約選手を最低年俸を保証した上で契約しなくちゃなんないわけですよ。必要なスタッフも含めて、給与を支払い、経営を安定させる必要があるって条件があったりもして。

もーサカつくの機能がほしーーーーー。

今、サッカー教室で働くスタッフはサッカーを仕事にしたくてうちにいるから、そのまま登録となるだろうけど、選手の年俸を維持するにはスポンサーが必要なんだよね。お金が必要。今、俺は「土下座するなら今」と思って頭を下げて回っている。地元にJリーグWEリーグチームがあるけど、大きな会社のスポンサーがついている。俺が頭を下げるのは、中小企業。「そんな余分な金はないよ」と言われることも多いが、安くても数を増やすことが、地元の応援を増やすことだと俺は思っている。


問題は、指導者だ。

ジュニアユース、ユースは俺も含め、サッカー教室のメンバーでカバーできる。

教室の運営を整理すれば、可能だ。

でも、俺の経歴では、JFAのS級ライセンスを取るのは時間がかかる。

じゃ、監督はどうするか。

外から監督を呼ぶには年俸を提示しなければならない。うちとしては、なるべく安くていい監督。そんな、牛丼屋のキャッチフレーズみたいな都合のいい監督は、なかなかいない。一人だけ心当たりがあるのだが、今の職を辞めさせるなら、高額な年俸を提示しなくちゃならない。サッカーへの熱でねじ伏せるしかないのだが、どんなもんかな。会って話すしかないだろう。


観客が入るスタジアムも必要だ。

今俺の持ってるピッチは、観客席という点で問題がある。もちろんメディアにも対応できない。整っているスタジアムに交渉するしかないなー。

あーこれもお金の交渉だなー。

世の中動かすのは、金だわ。


俺の得意分野はWEリーグの重視している「地域密着」

学校の大会にピッチを貸したり、試合があれば商店街の弁当販売を入れたり、してきたから「律が言うなら」的に動いてくれるくらいの関係はできている。これをちゃんとすればいいんだよな。「計画的」とか「見える化」とかね。


そんなわけで始めたのがYouTube「WEリーグへの道」・・・「ださっ」と選手には評判が悪い。わかりやすい方がいいんだよ。こーゆーのは!

俺がやってることを全て記録して、YouTubeに流すことにしたんだ。これが結構、登録数を増やしてる。


「クラファンすれば?」とか「監督だれ?気になる!」とか前向きのコメントも入るが「そんな簡単なモンじゃないだろ」と現実的なコメントもいただく。


大事なのは、今、女子サッカーが抱えている問題を知ってもらうこと。日本の女子サッカーはW杯優勝してて、バロンドール出してるんだからね。なのに、露出度の少ない女子サッカーにはスポンサーがつきにくい。こんな姿を見てもらって、そう、この国は、女子はサッカーボールを抱えて生まれてこない国だって現実、そうなんだよ「簡単なモンじゃない」ことを知って貰えばいい。


それを俺が覆してやる。


ってのは、カッコつけすぎかw


ゲームなら、

リセットボタンがある。

現実にはない。

だから面白い。

よし。

続き、やるか。

13 律

オフザボールの動き。

ピッチの中で学んだことは、サッカーだけじゃない。

今、俺がやってることはボールを持っていない時の準備だ。


スポンサーから断りの電話。

「今回は……」

ガチャ。

切れる。

……

またか。

机には

契約書。

銀行残高。

スタジアム使用料。

YouTube登録者だけ増えるw

ため息。


オフザボールの動き。

チームが動き出す前に俺にできること。

選手がゴールを目指すための、力を引き出す動きだし。

運営ってホント、お金がかかる。

選手のスカウト含め、今は何もかもが暗礁に乗り上げている。

でも、下を向いてたら失点する。

気持ちを止めちゃダメだ。


俺のサッカーはいつも走り回っていた。

とにかくパスが欲しかったんだ。

子どもの頃は、そうやってつながることを「楽しい」と思ってた。

なーんも考えてなかったけど、楽しかったんだ。

サッカー偏差値の低さは、セレクションを受けるようになって気がついた。

「楽しい」には技術が必要、「楽しい」を作り出す頭脳が必要。

俺にはどっちもイマイチ足りなかった。


でもさ。

高校の昼休みサッカーで、走り回る俺をあいつは見つけてくれた。

俺の走り込むスペースにパスを出してくれたんだ。

ワンタッチで返すと

「バカ律!自分でゴールしろよw」

そう言いながらゴールを決める。

あいつは必ず得点してくれるんだ。

だからパスを出す。

パスって「信用」なんだと思う。

それを得るために俺はオフザボールの動きをする。

走って戻って裏をとって動き直して。


電話が鳴った。

また、お断りかな・・・

スポンサーからだ。

!!!!!!!

一社決まった!

YouTubeかぁ!

登録者10万人突破が効いた。

鈴からも連絡が来た。

「一人見つけた。契約できそう!リトル瑠w」

ってLINE。

「マジかぁ・・・」

ここで

パスが来たぁ!


走り回っていたら

俺を信用して、パスを出してくれる人がいる。

そのために俺は走り回る。

ボールが来なくたっていい。

パスコースを作るんだ。

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