始動
メンバーは揃った。
って言ってもギリギリだけどね。交代できないし、けがしてもベンチで休むわけいかない。
俺、以前に鈴が怪我した時にベンチで「やめてベンチに戻れ」って手で×を出したら「やめるな」の×だと勘違いさせて、怪我したままプレイ続行したとこがあって。それ以来、俺の怪我への対応が酷いという評判になり(主に鈴が言ってるわけだけど)今度、俺がプレイヤーとして怪我した時は、酷い仕打ちを受けるんじゃないかと怯えている。。。
正直、あの時は(行けるかな?)とは思ってた。でも、振り返った鈴の顔を見たら(そーとーやばい!)と思った。
その後、鈴の息子のドラゴンマスクにえらい怒られた。
「あとで殴る」は現実になる前にドイツに行ってくれたんで助かった。
現在、Jリーグのルールでも「頭の怪我」については、無理しないように丁寧な対応がルールに示されている。俺がやったことは、勘違いとはいえ何かあったら大変な対応だった。本当に反省してる。
さてさて反省した上でFC1999の練習計画。
まずは「個」強さと課題を活かした攻守を自覚するための練習。
例えば、RFW瑛はパントキックの練習を課題にしたんだ。
瑛って空手をやってたから、蹴りが鞭のようでボールに力が伝わるんだよね。どんな浮き玉でもゴールに向かって蹴る姿勢ができれば、彼女の良さが出るからね。彼女の最優先はゴール。
RSBの幹は初心者なので、ステップを徹底的にやってもらった。バックステップ、サイドステップ、クロスステップ。プルアウェイの動きも含め、ボールを見ながらのステップ練習という、つまんないメニューを幹は楽しそうに繰り返してくれた。幹は、陸上をやっていたので、ドリルをやってる時は音楽が聞こえるそうだ。そうやって部活を楽しんでたんだと。競技が違うと違う楽しみ方があるんだね。
東高コンビには、ロングキックからのトラップを磨いてもらった。圭にはロングキックをヘディングで返すプレイの強化。
「律―!こんなにヘディングしたらバカになるってー!」
「大丈夫!俺たち後はボケるだけだから!ヘディングでバカになれたら、サッカーバカとしては本望でしょw」
そう。俺らの歳は無理が効く最終ライン。首にくるよねー。
でも、FC1999は実は守りからなんだよ。
GK蒼パパとCB梅さん、圭の三角形は要。パーツ練習では、ビルドアップの中心になる「ズレ」これに幹が絡んでステップ練習が活きる・・・予定。
左サイドのパーツは俺と航の攻撃のワンツー。航が追い越して深い一からのクロスダイレクトパスで繋いでゴールを狙う。
CFWの山さんはめっちゃ綺麗なインサイドキックを持ってる。ガタイもいいのでガッツリポストやってもらう。梶への落としからのシュート。相手CBが軽かったら反転からのシュートの練習。
鈴はもちろんロングキックの練習。脚ができてきたのでインパクトで蹴れるようにはなってきた。パーツ練習には全て参加。360°に意識を張り巡らせて、どっからでもパスが来る環境に置いた。もちろん、周囲もボールが2個鈴に集まらないように「見てパス」の練習でもあるわけで。
そして、チーム練習。練習試合。
こうやって、俺は作っていくわけよ。
1番楽しいのは「個」の練習やパーツ練習がチームで活かされた時なんだよね。ガッチリ決まったって言うより、
テトリスみたいに、いろんな形のパーツが様々な組み方をして攻撃につながる。
これが好きなんだよねー。
気持ちいい。
今までは、それを外から見てた。
誰をどこに置くか。
誰と誰をつなぐか。
どこにスペースを作るか。
俺が考えて、みんながピッチで形にしてくれる。
それが楽しかった。
でも、今回は違う。
俺も、そのテトリスのひとつだ。
航が後ろから上がってきたら、俺が中に入る。
梶が前を向いたら、俺が走る。
鈴が顔を上げたら、欲しいところに動く。
瑛がゴールに向かったら、空いた場所を埋める。
俺が動けば、誰かが動く。
誰かが動けば、また次の形ができる。
ああ。
やっぱ、サッカーって面白い。
作るのも好き。
考えるのも好き。
人のプレイを見るのも好き。
でもさ。
やっぱり俺も、ボール蹴りたいんだよ。
さぁ、FC1999。
俺様チームの完成だ。
……って、まだ何にも完成してないけどねw
だから面白いんだよ。
さて。
俺も走るか。




