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-第5-100盤の門番

「で、出発したが言いが……俺はこの本だけだ

 リナリアは何も持たなくていいのか?」


「私ですか? 大体は魔法でなんとかなりますし

 魔力が尽きるということはまずないですね」


リナリアは右肩に乗ってるイミィの頭を撫でながらロイの質問に答える


「……リナリアはどうやって魔力の管理をしてるんだ?」


「ロイ様? そんなの簡単じゃないですか

 イミィと魔力の流れを読み取れば……魔力が尽きません」


「……そんな物か?」


「そんなもんですよ」


リナリアは笑顔でロイの質問に答えるが……実際は簡単な事じゃない

勇者と呼ばれた人間にも冒険者にも魔法を使う者はいる

だが、何度も膨大な魔法を打てば魔力は無くなる

だからこそ、持ち物を多く持ち持久戦に備えている

しかし、このリナリアは……自分自身で魔力の管理ができてしまうせいか

そういう概念はない……はっきり言ってしまえば無限に魔力を持っている

そんな力があるのなら『魔王』の座なんて簡単に取れてしまうと言うのに

リナリアはロイである俺の後ろに何の疑問も持たず……笑顔でついてくる


「しかし……少しは襲われてもいいと思うが……」


「そうですねー、今は安全みたいですね」


ロイ達が90盤に向けてその道を歩いている

その道はただただ広く……家らしき物が立っている

だがその場所は動く者を襲い、有り金を奪おうとする輩が多い


『……昨日の内に吹き飛ばしておいてよかったです』


リナリアは笑顔のままロイの後を付いていく

そしてロイ達が90盤に行くための乗り物『エレベーター』らしき物の前に来る

このエレベーターは魔王城から下に伸び、10盤ごとに許可があれば使う事ができる

ただし、使うためには門番を倒さないといけない、それがルール、取決めである


「で……その門番がミノタウロス……か

 100盤の連中じゃまず……勝ちは薄いか……」


そのエレベーターの前に陣取っているのは牛頭に人間の体

右手には三又の槍を持ち、左手には人間から奪ったのか丸い白い盾を持っている


「……おい、ミノタウロス、俺は90盤に行きたい、そこをどいてくれ」


「ん? ……ああ、いつかの魔王……今はただの魔物、ロイか」


「……通してくれないか?」


「通すわけないだろ、通りたかったら俺を倒しな」


「……しかたない、リナリア頼む」


「はいっ!」


リナリアは両手を構え、ロイの前に立つ

しかし……ミノタウロスは鼻息を付き、ロイを馬鹿にしたように言う


「ただし、条件がある……戦うのはロイ、お前だ

 それ以外で戦う事はできない、もしも、そこの配下を使うのなら……

 お前の負けだ、2度とこれには乗れない」


「……あん?」


「……なんだ、魔王じゃなくなると理解度まで雑魚になるのか?」


「……わかった、俺が相手になる

 リナリア、下がってろ」


「わ、わかりました……」


リナリアはロイから距離を取り、少し離れた位置で見ている

それを確認したミノタウロスは説明を始める


「条件は簡単だ、俺を倒せばいい……それだけだ」


「了解」


ロイはブック・オブ・グリアスを構える……

しかし構えた方向はミノタウロスではなくリナリアの方

それを見たミノタウロスは口を開け笑いだす


「がははは、いきなり配下便りか、笑わせる!

 なら……さっさと終わらせてやる」


ミノタウロスは槍を構え、巨体を走しらせ……ロイを突こうする

しかし、それを簡単避けたロイの右手には杖ではなく、剣がある


『なるほど……リナリアは剣も使えたのか……

 この剣は魔王城にあった『デーモンソード』のレプリカか……』


ロイは右手を払う、その形は三又、ただし真ん中部分だけ長く

左右に尖っている部分は真ん中よりも短い

色は薄い蒼色のオーラー


「ふん、たかが剣か……この魔王様からいただいた槍の前では!」


「御託はいい……行くぞ……エンチャント……ブリザード!」


ロイの言葉と共に氷の魔法が剣の周囲を覆いだす

それを見たリナリアは微笑む


『あれもロイ様の前では使った事ないんですけどね……

 まったくあの本のお蔭で私の中は裸にされたも同然ですね』


ロイは氷の剣でミノタウロスに斬りかかる

しかし、ミノタウロスはロイの剣を槍の持ち手部分で受け止める

だが……槍の持ち手と持っていた手が凍りついていく……


「知っているか? 凍ったのなら叩きわればいい」


ロイはそう言い、剣を持ちあげる

その時……剣の周りに氷はなく、ただの剣

そして……剣が凍ったミノタウロスの持ち手に当たると砕け散る

もちろん……一緒に持っていた手も同じように……


「ぐあ……」


「後は簡単だ、まぁ……牛の丸焼きは美味しくないだろうがな」


それだけ言うとロイの剣の周りに火が回っており

両手を失ったミノタウロスは何もできず只々

無防備に突き刺され……体は火に包まると消えていき

ミノタウロスに刺さったままの剣も塵のように消える


『……どうやら俺が手放すまでは原型はあるようだ

 それも……元の物と同じで鉄か何かか……』


ミノタウロスが倒れた直後、エレベーターが『ガコン』と音を経て

入口の上の数字が100から90へと変わる


「なるほど……これをあと9回繰り返せばいいのか」


「そういう事ですね、頑張りましょう!」


リナリアはロイの隣で両手でガッツポーズを笑顔で取る

そして2人と1匹がエレベーターに乗ると……静かに上に登っていく……

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