-第43-実験室の男悪魔
「……誰だ?」
「誰だとは……貴様はここの住人ではないな」
眼鏡を拭き終えた終えた男性は眼鏡をかけるとロイを睨む
その言葉、ロイ以外の物を見ると微笑む
「いやいや、しかし……その体、ぜひ調べさせてほしい」
そう言いながらリナリアとリーナを見ている視線はどこかいやらしく
まるで上から下まで眺める感じの様子が2人に感じ取れる
それに嫌な顔をしながら2人は男性に答える
「お断りよ」
「同じく」
「それは残念だ、では……殺してからゆっくりと……と言いたいが」
その言葉にロイ達は臨戦態勢に入るが
男性はまた眼鏡を取ると眼を細めながら言う
「だが、しかし……上では魔王が勇者と戦っているからな
ここは自重して……いや、待て……こいつらは仲間じゃなかったな」
独り言のように発する言葉にロイ達は驚く
もちろん、『魔王と勇者』の部分だけなのだが……
しかし、男性は1人で悩み、部屋の中をうろうろと歩いている
『めんどくさいわね、アイス・ストライク』
リーナは無言で指をかざし、男性に向けて氷の魔法を放つ
しかし、考え事をしている男性は片手を出すとその魔法を防ぐ
『……やるわね』
「しかし……ここで……実験台もいるし……
魔王と実験台どちらが大事か……それはもちろん……」
そこまで独り言を喋った男はリナリアとリーナを見て微笑む
「やっぱり、そこの2人、私の物になれ」
「嫌よ」
「リーナに同じく」
「ふむ……ではどうしたら私の物になってくれる?」
「ならないわよ」
「……なるほど、それならばやっぱり殺すしかないか」
そう言って男は指を鳴らすと男とリーナとリナリアだけが姿を消す
その場に残されたロイ達が周囲を見回すがどこにもいない
その変わり、地面には大きな魔法陣が刻まれている
『これは……さっき歩いた時に? いや違うな……元々あったのか……』
ロイはその魔法陣に手を触れる見るがなんの反応もせず
ミミリアを呼び触らせても同じく反応はしない
「たぶんだけど、あの変態……自分が気に入った人だけどこかに連れてったね」
「イミィ……お前はリナリアの肩にいたよな?」
「うん、だけど……飛ばされる時、私だけ魔法陣の力に巻き込まれなかった」
イミィも女の子座りをしながら魔法陣をぺたぺたと触っているが
まったく反応せず、ただそこにいるしかできない
『……リナリア、リーナ……無事戻って来いよ』
その頃、飛ばされた2人は紫色の空間の中にいた
その中はまるで別の部屋のように広く周囲には何もない
「私達をここに連れて来てどうするの?」
「それはもちろん、体を調べさせてもらうためだ」
「変態」
「ふむ……私に好まれるのは嫌かい?」
「嫌」
「嫌です」
「ははは、それは良い……嫌われるているのなら好かれないとね」
「ここから出してくれたら好きになってあげる」
「それは良い言葉だが……残念ながらお断りだ」
そう言うと男性は眼鏡を片手で上げる
すると、何もない場所から右手に黒い杖が現れる
「しかし、逃げられても嫌だから拘束させてもらうよ」
「だ、そうよ……」
「……ロイ様に言って貰いたいです」
2人はお互いの顔を見ながらため息交じりに話合う
そして男を無視して話を続けていると……男は大声をあげる
「私を無視するな! ……無視したお礼に拘束したら楽しませて貰う」
「やっぱり変態ね」
「生理的にお断りです」
リーナが拳を構えるとその周囲に小さな丸い球が周囲に浮かび
その後ろでリナリアが両手を開き、詠唱の構えに入ると
そんな2人を見ながら男は微笑む
「なるほど……1人は精霊物理、もう1人は魔法専門と言った所か
まぁいい……私は私でこれを使わせて貰う、来い、我が実験体」
そう言うと男性の周りにモンスターが現れる
だが、どれも通常のモンスターではなく、どこか変な感じする
それを感じ取ったリナリアは詠唱を始める




