-第3-ロイとリナリア
「ん……」
ロイが目を覚ました時、リナリアは横にいず建物の中にも気配はない
だが妖精魔道具であるイミィだけがテーブルの上に座り、女の子座りをしている
そしてロイが起きたのに気付いたのか飛び上がりロイの目の前に行き言う
「やっと起きたか元魔王、ご主人は下見に行ったぞ」
「下見?」
「ここから90盤に行くためのルートを見てくるってことだ
何かあったらご主人と魔法で話せるから問題ない」
「……じゃあもう一眠りするか」
ロイはイミィの話を聴き、もう一度ベットに横になろうとした時
イミィがロイに怒鳴る
「寝るんじゃなくてご主人の手伝いでもやれ」
「手伝い……?」
「そこにある本の解読だ」
イミィが指差した先にはリナリアのベットがある
そこには山とまでは行かないが本が積まれている
「解読って……あれはリナリアが持ってる本じゃねぇかよ」
「そう、だけどご主人にも解読できない部分があるわけだ
毎回毎回自分で調べているが……たまには手伝ってやれ」
「……めんどくせぇな……まぁ、暇潰しにはなるか」
ロイは本の山の一番上を取り、付箋らしき物が貼ってある場所を開く
するとそこの文字の一部が薄い蒼色に浮き上がり『後ほど解読』と出ている
「なるほど……」
「……ご主人が時間かかるのもわかるだろ?」
「……次」
「は? 解けないからって次行くのはやめろ……」
イミィがロイの持っていた一番始めの本を開くとリナリアの魔法文字の上に
付箋で解読した文章が貼ってある
もちろん、ロイは魔法を使えないのだが……
リナリアは解読用に貼ってあった付箋を使い解読したのだ
『こいつ……』
イミィが本を閉じ、ロイの方へ向くと既に本の山は半分になっていた
そしてロイがまた本を閉じ……イミィに話しかける
「……おい、妖精魔道具」
「イミィリアだ、元魔王」
「……おい、イミィ、俺の事はロイで良い
今、ご主人……リナリアと話せるか?」
「話せるけど……」
「なら言っておけ、次からは俺が解読をしてやる
その方が時間の無駄にならないからな」
「……伝えておくよ、ロイ」
「ああ……」
ロイはそれだけ言うとまた本を開き解読を始める
それを見ながらイミィはリナリアに話かける
その魔法は魔力がないロイが感知する事はない
『ご主人様』
『イミィ? どうしたの?』
『元魔王……ロイがご主人様の本の解読したよ』
『え?! ロイ様が?!』
『あいつ……解読の達人か何かなの? 明らかにスピードが……』
『あ、ロイ様は物理的な事より魔法関連のほうが数倍凄いのよ
だから、ロイ様の魔法関連には私はかなわないわ』
『魔力ないのに?』
『……そうね、でもブック・オブ・グリアスを使った時
明らかに元魔王以上の力を私は感じたわ』
『……ご主人様はロイに甘いよね』
『そんな事ないわよ、私はロイ様が好きなだけ』
『……はいはい、とりあえずロイからの伝言ね』
『え?』
『俺が解読をしてやる、その方が時間の無駄にならない、だって』
『それ本当?!』
『う、うん』
明らかに嬉しそうな声がイミィの耳元に響く
まるでどこかで踊ってるじゃないかと思うぐらいの声のトーンである
『そう……じゃあ、今から全力で帰るわ』
『わかった』
そこでイミィはリナリアとの話をやめ、ロイの方を向くと
ロイはリナリアのベットの上で欠伸をしながら横になっている横には
解読が終わったのか最初と別の位置に本が山になっていた
その頃……リナリアは100盤の街の中央で踊っていた
踊っていると言うより10体を超える魔物を相手にしながら笑顔を浮かべている
「ふふふ、ロイ様があんな事を……」
「ナンダ? こいつ……笑っているぞ……」
あまりの事にリナリアを囲んでいた魔物は少し動揺していた
その直後、リナリアはぴたりと脚を止めた
それに合わせ、魔物達はリナリアに襲いかかる
だが……リナリアは笑顔を浮かべながら両手を地面に向け言う
「はいはい、おバカさん……」
リナリアが踊っていたのは足で地面に魔法陣を書いていたのだ
その魔法陣はリナリアが使える魔法の中でも下級なのだが……
「……塵なさい、サンダーストーム!」
リナリアの頭上から無数の雷がピンポイントに魔物達の頭に落ちていく
もちろん……それを見て逃げ出す魔物も逃がさず……消していく
そして魔法が打ち終わった後はリナリア以外何者もその場にいない
「ふぅ……雑魚ばかりですね……」
それだけ言うとリナリアは足元置いといた食べ物の袋を拾うと飛び上がる
「さて……ロイ様にお礼をしないと!」
リナリアは嬉しそうに自分の家であるロイの城に向けて飛んでいく




