-第23-リーナのカードゲーム-
その後、リナリアは似たようなゲームを何度も挑戦し
連勝を繰り返す、その結果……コインの枚数は3.000近く集まっていた
『まったく……この子はさっきの怒りにまかせて
たしかに勝っているけど……これは……』
リーナの予測通り、連勝を繰り返したリナリアに
カジノ側は警戒し、『リナリア』と言う人物と対戦しない事を宣言した
『ほら、やっぱり……』
それにより、リナリア自身がこれ以上コインを稼げない事になる
それを知ってかリーナはリナリアの肩に手を置き、笑顔で言う
「リナリア、後はまかせておきなさい」
「……32枚しかないのに?」
リーナの笑顔で真顔で突っ込みを入れるリナリアに苦笑をし
リーナはリナリアの前を歩き……先程のカードゲームの所に行く
すると、男性のディーラーはリナリアを見るとそそくさとカードを片付ける
そんなディーラーに近づくとリーナは笑顔で話かける
「あの子じゃなくて、私がやりたいんだけど」
「……いいですよ」
そう『リナリア』でなければカジノ側は断る事ができない
それを利用してリーナはディーラーに対戦を申し込む
そんなリーナにリナリアは慌てた様子で話かける
「大丈夫なの?」
「問題ないわよ、まぁ……見てなさい」
そう言いリーナが席に付くと先程と同じ21枚のカードが手元にくる
そしてその中からカードを選び……テーブルに置く
それを確認したディーラーが『準備はいいですか?』と笑顔で聴いてくる
それにリーナは『いいわよ』と答えるとテーブルは光り
先程と同じ平地が現れる
だが……そこでリナリアは驚く
相手のディーラーは『戦士』4枚 『魔法使い』5枚 『弓使い』6枚
一方、リーナの方は『戦士』10枚 『魔法使い』5枚 『弓使い』0枚
明らかに戦略ミスなのかただの馬鹿なのか……
リーナの場に戦士の人形が10体いる
それを見た相手のディーラーは笑い出す
「ははは、面白い、あなたは戦士が好きなんですね」
「ええ、好きよ」
その笑いにリーナは微笑み返す
そして戦場が動き出す
相手に罠はなく、リーナを舐めたような戦い方で相手が有利になるはずだった
しかし、実際の光景は違っていた
戦士10体が相手の戦士全てを吹き飛ばし、魔法使い、弓使いに切りかかっている
敵の魔法使いも戦士に魔法を放つが、リーナ側の魔法使いがそれを相殺する
「チッ……」
相手のディーラーの舌打ちを余所にリーナは嬉しそうに両手を胸元で組むと言う
「よかった、ディーラーさんが手加減してくれて」
それからしばらくしてリーナの勝ちでその勝負は決着が付き
リーナのコインは2倍に膨れ上がる
「……もう一回いかがですか?」
「え? いいの?」
「はい、次は少し頑張らさせていただきます」
ディーラーは負けるのが悔しかったのか、もう一度リーナに勝負を挑む
だが……次にリーナがテーブルに展開した人形は、また計算外だった
相手のディーラーは『戦士』6枚 『魔法使い』4枚 『弓使い』5枚
リナリアの場は『戦士』2枚 『魔法使い』3枚 『弓使い』10枚
「今度は弓使いだらけですか……」
「ええ、さっきあなたの見て使ってみたくなったの」
「それはそれは……」
ディーラーは下を向き、微笑む
それは『勝った』と言う心の叫び
だが、リーナはそんなディーラーの顔を見ながら微笑む
そして戦争が開始されると……またリーナの優先になる
相手の魔法使いは早々に全滅し
残った相手の戦士は数の少ない魔法使いに遊ばれ
弓使いはその数において、圧勝される
「やった、また勝っちゃった」
リナリアは子供のように両手を前でガッツポーズをする
それを見る事なく両目を閉じ……ディーラーは何やら考えている
それにリーナの後ろで黙って見ていたリナリアは思う
『……私でも考えるわ、明らかに初心者みたいな編成
だけど、結果はリーナの圧勝、運が良いだけじゃない
でも……イカサマを使ったって様子もない』
多分、相手のディーラーも同じように考えていると思い
リナリアがリーナに話かけようとした時……
「もう1回いかがですか?」
「もちろん、次は何にしようかなー」
相手のディーラーはリーナに再戦を申し込んだ
それは『リーナのイカサマ』を暴く目的なのだろうが……
結果的にそのイカサマを暴けず、7戦がたっており
リーナのコインは4.096枚、リナリアの枚数を超していた
「そろそろ疲れちゃった、休憩してきていい?」
「あ……はい、お付き合いありがとうございました」
リーナがそう言い残し立ち上がると相手のディーラーは肩を落としながら
下を向いたまま言う……それは最後までリーナのイカサマを暴けなかった
心の現れなのか……それとも……イカサマではなく実力で負けたのか
それが理解できないと言った表情をしている
そしてそこからある程度離れ、人通りが少なくなった所で
リナリアはリーナに聴く
「ねぇ……何をしたの?」
「何をしたって……わからなかったの?」
「……どういう事?」
リーナは壁に寄りかかり、腕を組むと
手に入れたコインの袋を右手で空中にあげながら話をしているが
それに何も言わず、リナリアはリーナに質問する
「だから、私もイカサマを使ったのよ、あんた達と同じね」
「それなら……相手にばれるはずよ」
「ようは、ばれなきゃいいのよ」
「……は?」
「リナリアのそんな顔初めて見たから、説明してあげる」
リーナはリナリアの唖然とした顔に微笑むと説明を始める




