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四つの基本的な力の魔法使い ー 物理学者から魔法使いへ、状態変化を経て  作者: Adriano_P


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36/45

「新しい命」

二週間。


深淵樹が成長を始めてから二週間。


グレンマールが生まれ変わってから二週間。


ヘリオは坑道を歩いていた——両手を背中で組み、落ち着いた足取りで。


ほとんどリラックスして。


ほとんど。


周りには、生活が流れていた。


子供たちが笑いながら駆け回っていた——緑色に輝く通路で追いかけっこをしながら。


老人たちは即席のベンチに座り——壁でゆっくりと脈打つ燐光を眺めながらおしゃべりしていた。


ある女性は自分の「根の部屋」に古い色とりどりの布を張り巡らせていた。


別の女性はリサイクルしたガラスのランプを吊るしていた——この自然光があれば実際には必要ないのだが。


家。


ここを家に変えたんだ。


エリーゼが隣を歩いていた——ここ数日で見た中で一番リラックスしている。


髪を下ろして。軽い鎧。小さいけれど確かな笑み。


「まだ信じられない」と彼女は言った。


「何が?」


「これ全部」坑道を示した。「二週間前、この場所は死んでいた。文字通り死んでいた」


「今は?」


「今は……生きている以上よ。喜びに満ちて、希望に満ちて。あの死んだ絶望的な土地とはまるで別物」


壁に炭で絵を描いている子供たちの横を通り過ぎた——抽象的な形、おかしな怪物、笑顔の太陽。


そのうちの一人——六歳くらい——がヘリオに駆け寄ってきた。


「男爵様! 男爵様!」


ヘリオはしゃがんだ。


「なんだい?」


「昨日、雨を降らせたって本当?」


「……まあ、だいたいは」


「魔法の木を育てたって本当?」


「えーと、技術的には——」


「水の中の悪いクラゲをやっつけたって本当?」


「ああ、それは確かに」


子供は大きな目で彼を見上げていた。


「あなたは……神様に遣わされたの?」




——やめてくれ。言うな。——




「いや、僕はただ——」




「やっぱり! そうだと思った!」




子供は叫びながら走り去った。「男爵様は神様に遣わされたんだ!」


他の子供たちが興奮して叫び始めた。


ヘリオはため息をついた。


エリーゼは笑っていた。


「神に遣わされた、ね?」


「僕のせいじゃない」


「もちろん違うわね」


「本当だって!」


彼女は彼の肩を軽く押した。


「リラックスして。可愛いじゃない」


可愛い。


子供たちに崇拝されている。


文字通り……ね。


リキ、どう思う?


——正直? 『粒子がどうとか言う変な魔術師』よりマシだろ。——


確かに。




ヴィヴィアンが追いついてきた——羊皮紙を手に、集中した表情で。


「ヘリオ。食料貯蔵用のスペースがもっと必要よ。今の備蓄じゃ——」


「南東の坑道。根が大きな空間を作った。温度が安定している。倉庫に最適だ」


ヴィヴィアンが目をしばたたいた。


「もう……全部考えてあるの?」


「成長中に特定のスペースを作るよう、深淵樹に頼んだんだ」


「木に頼んだ」


「技術的には電気刺激で根を誘導したんだけど、まあ——」


「聞きたくない」ヴィヴィアンは羊皮紙に何か書き込んだ。「南東の坑道ね。完璧。ありがとう」


彼女は去っていった——すでに次のリストの項目に集中している。


エリーゼがくすくす笑った。


「あの人、将軍みたい」


「分かる。すごいよな」ヘリオは周りの壁を指さした——白いチョークの印が見える。「主要な枝と副次的な枝に番号と文字を書いて印をつけてる。それを羊皮紙に写してるんだ」


「地図ね」


「そう。そうしないと迷子になる」


「賢い」


「とても」


「最近、感心しやすくなったわね」


「そんなことない——」


「ヘリオ、昨日二十分も緑の光が水たまりに反射するのを眺めてたじゃない」


「屈折の観点から興味深かったんだ——」


「オタクよね」


「それはもう知ってたでしょ」


彼女は微笑んだ。


これ。


この瞬間。


平和。


日常。


少し前のように。


一世紀前……のような気がする。




【坑道の点検——午前】


村長がヘリオの横を歩いていた——A7坑道の構造を、老兵の批評的な目で点検しながら。


安定性を確認。高さ。幅。安全性。


壁に手を這わせた——滑らかで、磨かれたようで、少し湿っている。


指にべっとりとした物質が残った——かすかに光る緑色の油性物質。


「どうやって光っているんですか?」燐光が壁を覆っているのを見ながら訊いた。


鮮やかな緑。脈打っている。まるで生きているかのように。


ヘリオは立ち止まり——自分も表面を触った。


「葉緑素だ」と言った。「根が結晶化する時に残したものだ」


村長が困惑した顔で彼を見た。


「ようりょく……何ですか?」


「葉緑素。植物を緑色にする物質だ。油性で、この場合は……燐光を発する」


村長が指をこすり合わせた——質感を確かめながら。


「油のようですな?」


「そう。複雑な植物性油だ。この坑道を掘った太い根——それが結晶化し、粉になって深部に消えていったが、壁に葉緑素の痕跡を残した」


「それが……光っていると」


「ああ。自然の燐光だ。坑道を照らすには十分な明るさだ」


村長は目の前に伸びる通路を見つめた——鮮やかな緑が遠くまで続いている。


「これは永久ですか?」


ヘリオは躊躇した。


「いや」


「……いや?」


「葉緑素は乾燥する。数ヶ月後——三ヶ月、たぶん四ヶ月後には。劣化するにつれて徐々に光が弱くなる」


村長が眉をひそめた。


「その後は? 暗闇で暮らすのですか?」


「いや。その頃には地上にちゃんとした家がある。この坑道は本来の目的になる——下水道、倉庫、緊急避難所。永久に照明が必要なわけじゃない」


「確かですか、男爵様?」


ヘリオは頷いた。


「信じてくれ。計画はある。三、四ヶ月後にはまともな住居を地上に建てる。人々は太陽の下で眠る、地下じゃなくて。もしここに明かりが必要なら……いつでも松明がある。古代のダンジョンと同じだ」


村長は長い間彼を見つめた。


それから微笑んだ——小さいが本物の笑みを。


「あなたが来た時、私は狂人だと思っていましたよ。呪われた領地で死なせるために送られてきた若い貴族だと」


間。


「でも……信じられない力と、すべてに対する計画をお持ちだ。私が考えもしなかったことにまで」


「先を考えるようにしているんだ」


「明らかに」


二人は歩き続けた——緑の壁が魔法の通路のように周りで輝いていた。


だが一時的だ。


すべては一時的だ。


光が消える前に……家を完成させないと。


——プレッシャーはないな、——とリキが皮肉っぽくコメントした。


——サポートありがとう。——




【中央広場】


かつては崩れた廃墟だった広場——今やグレンマールの鼓動する心臓部。


深淵樹の一部がまだ外に出ていた、今やほぼ完全に結晶化している。


最初の強制的な成長が、その寿命も加速させていた。


そうでなければ数ヶ月、たぶん数年かかっただろう。


ヘリオは空を見上げた。


曇り。灰色だが脅威的ではない。


完璧だ。


「今日は」と声に出して言った。「雨を降らせる」


新しい石造りの貯水槽の配置を監督していた村長が振り向いた。


「大丈夫ですか? 前回は——」


「前回はやりすぎた。今日は制御する」


「有名な最後の言葉ね」とエリーゼがつぶやいた。


ヘリオは無視した。


集中した。


よし。


雨。


技術的には:不均質核生成による大気中の水蒸気の凝結。


実際には:空気を冷やし、気圧勾配を作り、水滴を下へ導く。


視覚化した。


温度。気圧。気流。


マナが応えた——いつものように。


完璧。精密。


「制御された凝結」とつぶやいた。「臨界温度:八度。気圧:1010ミリバール。強度:弱」


マナが動くのを感じた。


頭上の空気が冷えた。


雲が濃くなった。


そして——


水滴。


小さく。軽く。安定して。


優しい雨。


人々が坑道から出てきた——驚きの目で空を見上げながら。


笑う子供たち。


両手を空に伸ばす老人たち。


雨。


本物の雨。


以前降っていたような毒性の酸性雨ではない。


ヘリオは微笑んだ。


完璧だ。


制御されている。


今回は大洪水じゃない。


貯水槽が満たされ始めた——先週ヘリオが彫らせた石の水路を通って清水が流れていく。


すべてがうまくいっている。


すべてが——


雷鳴。


大きい。


突然。


何——


風が爆発した。


雲が暗くなった。


雨——一秒前は優しかったのに——土砂降りになった。


「しまった——」


「ヘリオ!」


「何やったの?!」


人々が坑道に走り込んだ——叫びながら、笑いながら、まだ驚いている者もいた。


ヘリオは豪雨の中に立ち尽くしていた——三秒でずぶ濡れ。


エリーゼが駆け寄ってきた——髪が顔に張り付いている。


「制御するって言ったじゃない!」


「『弱い』って言ったんだ! 何が起きたか分からない!」


「何かスイッチ切り忘れた?!」


「そういう仕組みじゃない!」


また雷鳴。


稲妻——遠いが見える。


——リキ? リキ?!——


——おい、対流セルを過負荷にしたな。温度勾配が強すぎた。嵐を作っちまった。——


——どうやって?!——


——不安定な大気+余分なエネルギー=嵐。基本的な物理だ。——


——『基本的な物理』じゃねえよ! どうやって止める?!——


——……止められない。自然に放電するのを待つしかない。——


ああ。


しまった。


ヘリオはエリーゼを見た——完全にずぶ濡れ、鎧から水が滴っている。


「えーと。ちょっと問題が」


「ちょっと?!」


「止められないんだ。……自然に収まるのを待つしかない」


沈黙。


そしてエリーゼが笑い出した。


大きく。心から。ヒステリックに。


「あなた——」笑いの間に。「あなたが作った——」また笑い。「嵐を——」息ができない。「偶然!」


ヘリオは笑うべきか泣くべきか分からなかった。


笑うことにした。


馬鹿げていたから。


自分が偶然作った豪雨の中に立っていた。


びしょ濡れで。


馬鹿みたいに笑っていた。


ヴィヴィアンが坑道から出てきた——即席の屋根の下で完璧に乾いたまま。


二人を見た。


「あなたたち、大丈夫?」


「最高!」エリーゼが笑いながら叫んだ。


「全部コントロール下にある!」ヘリオが付け加えた。


ヴィヴィアンは首を振った。


「馬鹿ね。二人とも」


でも微笑んでいた。




嵐は一時間続いた。


ようやく収まった時、貯水槽は溢れんばかりだった。


水が溢れ出している。


多すぎて入りきらない。


村長は半分呆れ、半分感心した表情で貯水槽を眺めていた。


「まあ」と言った。「少なくとも一ヶ月は水の心配はないな」


ヘリオは——まだ濡れたまま、髪が額に張り付いて——神経質に笑った。


「すまない?」


「坊主、たった今あらゆる容器を満杯にしたぞ。おまけに廃墟の中に一時的な川を作った」


「……おっと?」


「『おっと』じゃ済まんな」


だが村長は彼の肩を叩いた。


「でもまあ。少なくとも貯水槽は満杯だ」


楽観主義。


これぞ純粋な楽観主義だ。


エリーゼが——ようやく乾いて着替えてきて——タオルを持って戻ってきた。


彼の顔に投げつけた。


「拭きなさい。溺れたネズミみたい」


「詩的なイメージをありがとう」


「どういたしまして」


ヘリオは髪を拭きながら——広場を見た。


全部濡れている。びしょびしょ。水だらけ。


でも人々は笑っていた。


誰かが水たまりで踊り始めていた。


子供たちが跳ねていた——あちこちに水を飛ばしながら。


幸せ。


この混乱にもかかわらず。


いや——むしろこの混乱だからこそ。


——なあリキ、——と考えた。——これは成功だと思う? それとも失敗?——


——両方だ。間違いなく両方。——




【午後——雨水収集システム】


体を乾かして(着替えて、ヴィヴィアンのからかいを受け入れてから)、ヘリオは仕事に戻った。


貯水槽はまだ溢れていた。


もっと良い排水システムが必要だ。


石の水路を調整していた——流れを最大化するための精密な角度——足音が近づいてくるのを聞いた。


キラ。


何日かぶりに、自分から近づいてきた。


腕を組んで。真剣な表情。


でも敵意はない。


「少し時間ある?」と訊いた。


「もちろん」


彼女は深淵樹の残骸を見つめた——土砂降りでまだ少し濡れている。


幹が輝いていた——暗い樹皮の上を水が流れている。


「最初の日」とキラはゆっくり言った。「あなたが汚染された水を浄化するのを見た」


ヘリオは作業の手を止めた。


彼女を見た。


「あのクラゲ」と続けた。「何週間も脳を食い荒らしていた。十七人を失った」


重い沈黙。


「あなたは全部殺した。雷みたいなもので。五分で」


ヘリオはゆっくり頷いた。


「それから」とキラは言った。「何百匹もの魚を獲った。十分で全部浮かんできた。私たちが一日かけて一匹も獲れなかったのに。まるで命令に従うかのように網に誘導した」


「正確には命令じゃ——」


「そして今」キラは深淵樹を示した。「絶滅した木を育てた。地下都市を作った。住める。機能する。二週間で」


沈黙。


「それに雨を降らせた。二回」


「まあ、あれはちょっとやりすぎ——」


「やりすぎ?」


キラは笑った——苦いが本物の笑い。


「男爵様、私は……」


「ヘリオでいい」


「分かった、ヘリオ。私は多くの魔法を見てきた。Sランクの魔術師。大魔導師。二十人で二時間かかる儀式も見た」


もっと近づいてきた。


目を彼の目に据えて。


「こんなものは見たことがない。一度も」


重い沈黙。


「一体何の魔法なの?」


ヘリオは躊躇した。


『複雑なんだ』と言うこともできる。


『秘密なんだ』と言うこともできる。


でも……


キラを見た——おそらく不信感を抱く理由がある女性。


それでもここにいる、彼と、皆と一緒に。


自分の民を治療している。


正直に訊いている。


「魔法じゃない」と静かに言った。


キラが眉をひそめた。


「『魔法じゃない』って? 私は見たのよ——」


「物理学だ」


沈黙。


「……何?」


「物理学。宇宙の自然法則。電磁気学。熱力学。基本的な力」


キラは異星人の言語を聞いているかのような顔で彼を見つめた。


「私……何?」


ヘリオはため息をついた。


ほら。いつもこうだ。


「火がどう機能するか知ってる?」と訊いた。


「もちろん。火のマナ。火の属性。親和性——」


「違う。火は急速な酸化だ。燃焼。酸素分子が燃料と反応して、熱と光の形でエネルギーを放出する」


キラはまだ見つめていた。


「……分子?」


「すべての物質を構成する微小な粒子だ」


「……粒子?」


ヘリオは目をこすった。


リキ、助けてくれ。


——おい、詰んでるぞ。原子が何か知らない相手に量子物理学は説明できねえよ。——


サポートありがとう。


「いいか」とヘリオは言った。「君たちが『魔法』と呼んでいるもの……魔法じゃない。科学だ。世界が本当はどう機能しているかの知識だ」


「そしてあなたは……これを知っていると?」


「ああ」


「どうやって?」


しまった。


『死んでCERNの理論物理学者の記憶を持って転生した』とは言えない。


「勉強した。たくさん。そして……教えてくれた経験があった」


曖昧だ。でも正直だ。


キラは長い間彼を見つめた。


それから、ゆっくりと、苦い笑みが顔に浮かんだ。


「今まで会った中で一番変な貴族ね」


「僕は——」


「分かってる。技術的には男爵。でも同じこと」


彼女は首を振った。


「貴族は奪う。いつも。土地を奪う。食料を奪う。人を奪う」


坑道を見た。


人々を。


命を。


緑の燐光で輝く壁を。


「あなたは与えた。水を。食料を。家を。未来を」


再びヘリオに向き直った。


「そして見返りを求めない」


「まあ、技術的にはここは僕の領地だから——」


「アルダスから全部聞いた。ここは死刑宣告だった。あなたを消すためにここに送られた」


間。


「なのに……皆を救っている」


ヘリオは何を言えばいいか分からなかった。


キラは一歩下がった。


「あなたが言う『物理学』が何なのか分からないし、まだ完全には信じられない。あなたを分類できない。でも見て見ぬふりはできない。あなたがしている善いことを否定できない」


ヘリオが答える前に、彼女は去っていった。


彼はそこに立ち尽くしていた——驚いて、困惑して、そして不思議と……感動して。


——なあ、リキ。俺たち、丸くなったと思うか?——


——かもな。でも……たまには悪くない。——




【日没】


王室の伝令が到着したのは、太陽が沈む頃だった。


疲れた馬。埃まみれの制服。胸には王の紋章。


廃墟の入り口で立ち止まった——石の貯水槽、水路、中央の深淵樹を見つめながら。


だがそれ以上は。


坑道の中には入らなかった。


「ヴァロリン男爵を探している」と伝令は言った。


ヘリオが名乗り出た——水路の作業で膝にまだ泥がついたまま。


伝令は懐疑的に彼を見た。


「あなたが……男爵ですか?」


「技術的には」


一ヶ月も待たなかったな……と考えた。


伝令は羊皮紙を広げた——王室の紋章が目立つ。


「陛下はグレンマールの状況について公式報告を求めておられます。進捗。問題。必要なもの。三日以内に」


ああ。


確認だ。


僕がまだ生きているか知りたいんだ。


あるいはやっと僕のことを忘れられるか。


「分かった。準備する」


伝令は頷いた。


ヘリオが少し離れて作業に戻るのを待った。


キラに近づいた。


短く話した。


伝令は彼女に羊皮紙を渡した——小さく、暗い赤色の封印。


通常の王室の紋章ではない。


何か違う。


もっと私的な。


キラはそれを受け取った。


素早く読んだ。


顔が強張った。


ほんの一瞬。


目の周りの緊張。


噛みしめた顎。


そして無表情に戻った——完璧な仮面。


伝令に頷いた。


彼は去っていった。


キラは動かなかった——羊皮紙を手に。


それをマントの内ポケットに入れた。


子供の治療を、何事もなかったかのように再開した。


穏やかな笑み。優しい手。


彼女は振り向かなかった。


仕事を続けていた——プロフェッショナルに、集中して。


いつも通り。


でも羊皮紙はまだポケットにあった。


隠されて。


何が書いてあった?


なぜ私的な命令?


なぜ彼女に?


答えのない疑問。


少なくとも今は。




【その夜——遅く】


アルダスは眠れなかった。


最近よくあることだ。


年のせい。心配事。決して消えない兵士の本能。


起き上がり——葉緑素の燐光で照らされた坑道を歩いた。


壁で輝く鮮やかな緑。


触ると少し油っぽい。


すべて静か。


人々が眠っている。


親の傍らで丸くなっている子供たち。


ゆっくりとした呼吸。穏やかな。


ついに平和だ。


でも何かが気になっていた。


感覚。


老兵の本能が言っている:「何かがおかしい」


医療区画へ歩いた——キラが薬草、包帯、道具を保管している場所。


そして見た。


彼女のエリアを仕切っている布のテントの隙間から。


小さな即席の机に座っている。


蝋燭が灯っている——炎がわずかに揺れている。


目の前に羊皮紙。


手にペン。


書いている。


ゆっくりと。


躊躇している。


何かを消す。


書き直す。


アルダスは静かに近づいた——長年の軍事経験が、その気になれば彼を見えなくする。


テントのすぐ外で立ち止まった。


場面を見るには十分近い。


読むには十分近くない。


キラは全神経を集中させて書いていた。


顔は緊張している。


唇はきつく結ばれている。


時々手を止め——虚空を見つめ——考える。


そして続ける。


何を書いている?


誰に?


そしてなぜ隠れて?


十分後、彼女は終えた。


素早く読み返し——小さな細部を直す。


それから羊皮紙を丁寧に折った。


封蝋を取り出し——小さな緑の魔法の炎で温めた。


閉じ目に垂らした。


印章を押した——どれか見えなかった。


羊皮紙は閉じられた。


封印された。


私的に。


キラはそれをしばらく手に持っていた。


読めない表情。


それからマントの内ポケットに隠した。


深く。安全に。


誰にも見えないところに。


立ち上がった。


蝋燭を消した——暗闘の中に小さな煙が立ち上る。


壁の緑の光だけが残った。


アルダスは彼女が出てくる前に影に退いた。


彼女が去っていくのを見た——燐光の坑道の薄明かりの中のシルエット。


外への出口へ向かって。


おそらく伝令が夜明けに出発する前に眠っている場所。


何かを届けようとしている。


隠れて。


夜中に。


なぜ?


アルダスは動かなかった。


ヘリオに言うべきか?


それとも単に俺が偏執的になっているだけか?


空のテントを見た——消えた蝋燭、インクの染みがついた乱雑な机。


何かの証拠。


でも何の?


ため息をついた。


自分の部屋に戻った——緑の壁が周りで輝いている。


一時的だ。


これはすべて一時的だ。


光も。平和も。たぶん信頼も。


でも疑念は残った。


キラ・アシェンヴェイル。


何を隠している?


そして本当はどちらの味方だ?




【翌朝】


伝令は夜明けに出発した。


休んだ馬。いっぱいの鞄。


ヘリオは前の晩に報告書を渡していた——注意深く書かれたもの。


曖昧だが外交的。


「状況は改善。新しいインフラにより水と食料は安定。人口は回復中。ただし重大な課題は残る。進捗を固めるための時間を要請する」


悪すぎず。


良すぎず。


『進行中』。


魔法の言葉だ。


伝令は簡潔に挨拶し——馬に拍車を入れた。


そして首都へ向かって去っていった。


鞄の中には、二通の羊皮紙。


一通——ヘリオの公式報告、男爵の紋章付き。


もう一通——下に隠れて、暗い赤色の封印。


より小さい。


より重い。


誰もその中身を知らなかった。


キラ以外は。


そして彼女は話さなかった。




ヘリオは伝令が去っていくのを見ていた——地平線に消えていく小さな姿。


三週間。


知らせが届くまで一ヶ月かもしれない。


時間だ。


時間がある。


エリーゼが隣に来た——朝の訓練のためにすでに鎧を着て。


「王様は何て言うと思う?」


「僕が生きていること。グレンマールがまだ崩壊していないこと。もっと時間が必要なこと」


「それから?」


「それから……様子を見よう」


彼女は頷いた。


「少なくとも進歩はしたわ」


「たくさんね。でも伝令には地上の構造だけを見せたのは正解だった」


「何か疑われたと思う?」


「いや。貯水槽、水路、木を見た。全部もっともらしい。下に何があるかは知らない」


「もし知られたら?」


ヘリオはすぐには答えなかった。


「考えたくない」


エリーゼは微笑んだ。


二人で地平線を見つめた——伝令はもう見えなくなっていた。


雲がまた形成されていた。


でも今回は自然に。


魔法なし。


導かれた物理学なし。


ただの天気。


「行こう」とエリーゼが言った。「まだやることがたくさんある」


「いつもね」


坑道に戻っていった——緑の燐光で輝く壁。


築いている命に向かって。


一歩ずつ。


一日ずつ。


光が消える前に。


そしてどこかで——ポケットに隠れ、赤い蝋で封印されて——一通の羊皮紙が首都へ向かっていた。


誰も知らない言葉とともに。


共有されなかった秘密とともに。


そしてまだ現れていない結果とともに。

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