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四つの基本的な力の魔法使い ー 物理学者から魔法使いへ、状態変化を経て  作者: Adriano_P


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「真実ほど、魔法的で力強いものはない」

誰かが、そう言った。 誰だったかは、思い出せない。

呪文が顔の前で爆発した。 また、だ。 鼻を突く刺激臭の煙。ポンという情けない音。生まれる前に消えた火花。 そして、沈黙。 笑い声の前にいつも訪れる、あの重い沈黙。 「ヌルのヘリオがまた挑戦したぞ!」教室の奥から誰かが叫んだ。 どっと笑い声が上がった。 誰が言ったのかは見えなかった。煙が目に染みる。だが、見なくても分かる。カエルだ。それともドリアンか。どちらもルシアン王子の取り巻きだ。 どうでもよかった。 手を下ろす。まだ力みの余韻で震えていた。手のひらが熱い。炎の熱ではない――その炎は一度も現れなかった――言うことを聞かない経路に、無理やりマナを流し込もうとしたせいだ。 完璧だ、と苦々しく思った。また一日、また顔面爆発。明日あたり自己記録を更新して、机ごと吹き飛ばすかもしれないな。 「ヘリオ」オールドウィン教授の声は疲れていた。 怒ってはいない。ただ……疲れている。「座りなさい」 「でも、僕は――」 「座りなさい。頼むから」 座った。 二十二対の目が僕を見ていた。何人かは露骨に笑い、何人かは隠しきれない哀れみで首を振っている。 三列目のヴィヴィアンが、僕を見ていた。憎みながらも感謝してしまう、あの庇うような眼差しで。 笑っていないのは、彼女と、あとせいぜい二、三人だけ。 それでは、足りなかった。 オールドウィン教授は黒板へ向き直った。「先ほど話したように、元素の視覚化には、その元素との自然な親和性が必要です。親和性がなければ、マナは……」 声が、遠い雑音に溶けていった。 自分の手を見つめる。普通の手だ。痩せてはいる――昔から棒のように細い体つきだった――が、普通だ。体の中にマナを感じる。本に書かれた経絡を、弱々しくとも流れていくのが分かる。 僕には、ある。 マナをまったく持たない本物のヌルとは違う。僕には、ある。 ただ……働かないだけだ。 そして、それは持たないことよりも質が悪かった。 「棒切れを二本、擦り合わせてみたらどうだ?」背後で誰かが囁き、また忍び笑いの波が広がった。 机の下で拳を握る。 息をしろ、ヘリオ。息を。 家族は、僕をここへ送るために家を売った。 母は家庭教師として一日十六時間働いている。 父はかつて学んだアカデミーで、司書として日々の屈辱に耐えている。 かつては魔法理論の天才と謳われた人だ。 その理論を、実践に移す時が来るまでは。 まさに、僕と同じだ。 「ランク∅」十歳のとき、試験官はそう言った。親和性クリスタルが、弱く、濁った、どの元素の色も持たない光を放つのを見つめながら。「珍しいな。不運だ」 「不運」とは、優しすぎる言い換えだった。 欠陥品――それが、彼らの本音だった。 アカデミーの鐘楼が正午を告げる。授業の終わりだ。 学生たちは一斉に立ち上がり、本や羊皮紙をまとめ始めた。何人かは数人ずつ固まって、昼食の相談でもしているのか、それともまた僕の最新の失態を肴に笑っているのだろう。 僕はゆっくりと荷物を片づけた。十分に待てば、僕が出る前にみんな出て行ってくれるかもしれない。 「ヘリオ」 固まった。 あの声。 振り返る。 ルシアンが僕の机の脇に立っていた。腕を組み、面白がっているのか、それとも侮蔑しているのか分からない表情で。ソルマール王国の王子。完璧な金髪、冷たい炎のように青い瞳、熟練の仕立て屋が縫いつけたかのように体に馴染んだアカデミーの制服。 おそらく、本当にそうなのだろう。 十七歳でランクB。 ランクは下からF(初心者)、上はS(伝説級)まで。たいていの学生はCで頭打ちになる。十七歳のランクBは、神童を意味した。ランク∅――僕のことだ――は、失敗を意味した。 「殿下」できるだけ平静を装った声で言った。 「挑戦を続けているそうだな」彼は柔らかく、しかし鋭い声で言った。「なぜだ?」 答えなかった。 「自分がこのアカデミーの汚点だと、気づいているか?」彼は続けた。「お前の両親は蓄えを無駄にした。教授たちは時間を無駄にしている。同級生はお前のせいで、授業の進みを遅らせなければならない――」 「ルシアン」ヴィヴィアンの声が、刃のように空気を裂いた。「彼を放っておきなさい」 王子は振り返り、片眉を上げた。「これはヴィヴィアン嬢。相変わらず落ちこぼれには手厚いことだ」 「彼も私たちと同じ、このアカデミーの学生よ」 「現実を受け入れられないヌルだ」ルシアンは言い返した。「世の役に立つとすれば、司書か。あるいは書記か。魔法の力など要らない、その手の仕事だな」 司書なら少なくとも字は読める。殿下、あなたはまだ指で数えているのでは? 止める間もなく、その考えが頭をよぎった。 言ってやりたかった。 だが、言葉はそこに留まった。内側に。 安全な場所に。 口にすれば命取りになる、その一線の手前に。 ルシアンの言葉は、拳のように僕を打った。 なぜなら、彼は正しかったからだ。 完全に、何ひとつ間違いなく、正しかった。 そして僕自身、それを知っていた。 「もう行きなさい、ルシアン」ヴィヴィアンが一歩前へ出た。 王子はしばらく彼女を見つめ、それから肩をすくめた。「いいだろう。落ちこぼれに時間を費やすより、やるべきことがある」 取り巻きを引き連れ、彼は去っていった。 僕は座ったまま、鞄を強く握りしめていた。 「ヘリオ――」 「平気だ」嘘をついた。 ヴィヴィアンが隣に腰を下ろした。「あんなの、真に受ける必要ないわ」 「事実を言っているだけさ」 「でたらめを並べているだけよ」一拍おいて、「まあ、認めるけど。あなたの『火球』、病気のスライムのげっぷそっくりだったわね」 彼女を見た。「……ありがとう、ヴィヴィアン。本当に。おかげですごく気が楽になったよ」 「どういたしまして。それが親友の務めだもの」 それでも、僕は微笑んだ。ほんの少しだけ。「君は僕の唯一の友達だよ。少なくとも、ここではね」 「むしろ好都合。競争相手が少なくて済むもの」彼女の口調が、少し真剣になった。「本当よ、ヘリオ。あなたには理論の才能がある。オールドウィン教授だって何度も言ってる。ランクCの学生の大半より、あなたのほうが魔法を理解してるって」 「理解するだけじゃ足りない」微笑みを消して言った。「理解しても、実行できなきゃ何の意味がある?」 彼女は、しばらく答えなかった。 僕は立ち上がった。「ありがとう、ヴィヴィアン。本当に。でも、もう行くよ」 「ヘリオ――」 「平気だ」もう一度、繰り返した。 本当ではなかった。 だが、嘘をつくのはもう、すっかり上手くなっていた。

アカデミーの図書館は、僕の避難所だった。 三階建て。フレスコ画の天井まで届く書架。古い紙と、魔法クリスタルの粉の匂い。父はこの一階で、ほとんどの学生が開きもしない本の目録を作っている。 僕は三階へ上がった。誰も来ない場所だ。 〈上級魔法理論〉の区画。 本、また本。マナの流れに関する論文。元素構造の分析。魔法そのものの本質をめぐる仮説。 いつもの窓際の机に着いた。アカデミーの中庭を見下ろせる窓だ。 二週間前に借りた本を開く。魔導士コルネリウス著『元素顕現の基礎』。 「魔法とは」と、最初のページにあった。「創造を構成する四つの基本元素――火、水、土、風――を通じて、現実に意志を課す術である。すべての魔法使いは、これらの元素のひとつ、あるいは複数と、生まれながらの親和性を持つ……」 この一節を、もう百回は読んだ。 そして、読むたびに思うのだ。もし、間違っていたら? 親和性ではない。マナでもない。前提そのものが、だ。 四つの基本元素。 子供の頃、母が夕食のために水を沸かすのを眺めていた。 水が湯気になる。冬には、井戸の水が氷に変わる。 氷。水。湯気。 これは三つの別物なのか? それとも、姿を変えただけの同じものなのか? 本は、水を元素だと言う。ならば氷は何だ? 別の元素か? 水と……冷たい空気の混合物か? どの本も、本当のところは何ひとつ説明していなかった。 そして火は……火は、いつも燃やすものを必要とした。木。油。布。 それなしには、存在できない。 火の魔法使いは、無から炎を生み出せる――この目で見た――が、その炎も、何か食らうものを見つけなければ、すぐに消えた。 ならば火は、本当に「元素」なのか? それとも……作用か? 変換か? 分からなかった。 そして何より厄介なのは、こうした問いを教授たちにぶつけると、まるで愚か者を見るような目を向けられることだった。 「火は火だ、ヘリオ。基本元素だよ」 「でも、なぜです?」 「千五百年前、四元素賢者が証明したからだ」 議論は、そこで終わる。 何かがおかしい。 だが、どの本も同じことを言う。どの魔法使いも、同じことを信じている。 千五百年前、四元素賢者がこれらの元素を「発見」し、体系づけた。 以来、誰ひとりその体系を疑わなかった。 口を封じられた、わずかな異端者を除いて。 ため息をつき、本を閉じた。 しょせん僕は、言い訳を探しているだけの落ちこぼれなのかもしれない。 体系のほうは、僕以外のすべての人間には、完璧に機能しているのかもしれない。 僕は本当に、欠陥品なのかもしれない。 「ヘリオ?」 振り返る。 父が書架の端に立っていた。腕いっぱいに本を抱えて。鼻先に眼鏡、インクで汚れた司書の服。 アルドリック・ヴァロリン。 かつては、国立アカデミーでも指折りの優秀な学生だった。 今は、ただの司書だ。 「父さん」 「授業は早く終わったのか?」 「いや。普通に……終わっただけ」 父はすぐに察した。抱えていた本を置こうとして―― 一冊が、山から滑り落ちた。 続いて、もう一冊。 そして、全部。 ガシャン。 父は小声で毒づいた――聞いたこともない言葉だった――それから、しゃがんで拾い始めた。 僕もかがんで手伝う。 「ここで十五年だぞ」父はぶつぶつ言った。「それでもこの忌々しい本どもは、僕を憎み続けている」 「きっと、根に持ってるんだよ」僕は言った。「どこかの秘術書を、目録で取り違えたんじゃない?」 「かもしれんな」父はかすかに笑った。「死霊術の本は、とりわけ気難しいからな」 ほんの一瞬だけ、ただ……普通だった。本を拾う、父と息子。 それから父は、最後の一冊を拾い上げると、僕の向かいに腰を下ろした。 「また、か?」 うなずいた。 「いいか」父はゆっくりと言った。「母さんと僕は……お前が親和性テストに落ちたとき、もう終わりだと思った。僕のような理論家になるか、あるいは、もっと悪い末路かと」 「全然、励ましになってないよ、父さん」 「だが、その後で」僕の言葉を無視して父は続けた。「気づいたんだ。お前の中の、何か奇妙なものに。お前のマナの反応の仕方に。普通のヌルとも違う。普通の魔法使いとも違う。何か……別のものだ」 もう、聞いていた。何千回も。 そして、聞くたびに僕は尋ねる。「別のものって、何さ?」 そして、そのたびに父は、答えを持たない。 「挑戦を続けろ」父は僕の肩に手を置いた。「諦めるな。お前がここにいるのには、理由がある。ただ……それを見つけ出さなきゃならんだけだ」 ああ、そうだろうとも。 信じたかった。 だが、難しかった。 日に日に、難しくなっていた。

その夜、僕は鞄から一通の手紙を取り出した。ほかに三人の学生と相部屋の、狭い部屋でのことだ。三人とも全員ランクE以上で、運が良ければ僕を完全に無視してくれる。 今朝、届いたばかりだった。 母は毎週、手紙をくれる。 羊皮紙を広げた。

「親愛なるヘリオへ  勉強が順調に進んでいることを願っています。お父さんから、魔法理論で進歩があったと知らせがありました。とても誇らしく思います。  お仕事は順調です。ソーンウィック侯爵家のお嬢様、エリーゼは、文法も剣術も上達なさっています。先日、あなたのことを尋ねてこられました。子供の頃に一緒に遊んだことを、今でも覚えていらっしゃるそうです。  来学期の授業料も、十分に蓄えができました。心配はいりません。勉強を続けなさい。  愛しています。   母より」

手紙を、握りしめた。 家を売った。 母は、召使い同然に扱う貴族の家のために働いている。 父は、かつての同級生で今は教授になった連中の、嘲笑と陰口に耐えている。 すべて、僕のためだ。 何の価値もない人間のために。 火花ひとつ起こせない、ランク∅の息子のために。 諦めるわけにはいかない。 どれほど痛くても。 何度、失敗しても。 方法を、見つけなければならない。 手紙を畳み、枕の下にしまった。 ドアが、勢いよく開いた。 セバスチャンが、見るからに酔ってよろめきながら入ってきた。テオが必死に支えている。 「しっ」テオが囁いた。「マティアスが寝てるんだ――」 「ヘリオ!」セバスチャンが僕を見つけ、咎めるように指さした。「ヌ……ヌルだ!」 完璧だ。ここでもか。 「酔ってるな」僕は言った。 「べろべろにな」セバスチャンは物知り顔でうなずいた。「だがな、知ってるか?」今にも倒れそうな足取りで近づいてくる。「お前はいい奴だ。いい奴だよ。ルシアンはクソ野郎だ。お前は……お前はいい奴だ」 怒るべきか笑うべきか分からないまま、僕は彼を見つめた。 「セバスチャン、ベッド!」テオが囁く。 「お前はいい奴だ!」もう一度そう繰り返して、セバスチャンはベッドに派手に倒れ込んだ。 沈黙。 「ごめん」テオがばつが悪そうに言った。「飲み比べでさ。負けたんだ」 「見れば分かるよ」 「でも……」テオは戸口で足を止めた。「あいつの言う通りだ。お前はいい奴だよ。でも、ルシアンを敵に回すわけにはいかない」 「分かってる」 そして、静かにドアを閉めて去っていった。 暗闇の中に座り、天井を見上げる。 全員に憎まれてるわけじゃない。たぶん、大半に、ってだけだ。 明日もまた、別の授業。 別の挑戦。 そして、おそらくはまた、別の失敗。 だが、続ける。 諦めることは、奴らが正しかったと認めることになるからだ。 僕が本当に、欠陥品だったと。 そして、それを認める覚悟は、まだできていない。 まだ、だ。

【お知らせ】 31/05/2026

本日より、第一章からの翻訳改稿を始めました。物語の中身はそのままに、より自然な日本語で読んでいただけるよう、訳文を一話ずつ見直してまいります。

もし以前、文章の読みづらさからこの物語を離れてしまった方がいらっしゃいましたら、どうかもう一度だけ、お付き合いいただけましたら幸いです。

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