キャラクター解説とあとがき
最後までお読みいただきありがとうございました。
このお話は三部構成なのですが、前半と後半に別れています。というのも、本作は当初トール編の5話だけを投稿して完結していたのですが、感想欄で言われてしまったのです。
「面白かったけど、キヨハルが転生者である設定っていらないですよね?」
当初は「そんなはずは……」と思ったのですが、改めて読むと確かになくても良かった設定な気がしてきます。そんな悔しさの中で書いた後編なので、本来はコメディを書くはずがダークファンタジーになってしまいました。
なのでキャラクターの性格というか、性質が前半と後半で変わっています。
<トール>
本作主人公です。主人公ですが、後半が出来てしまったためにどんどん影が薄くなっていまいます。最初はみみっちい器の小さい男として書いていたのですが、マリーに「嫌いになるよ」と言われて一生懸命戦ったり、アクアにアドバイスしたりと、何かちょっとカッコイイやつになってしまいましたね。
幼馴染に捨てられて、闇堕ちして、尖った性能の特殊能力を持っている……と最近はやりの主人公そのままなのですが、最初の街からいつまでも出ずにずっと燻っています。マリーが帰ってこなかったら、そのまま王都で、どこに出しても恥ずかしくない『なろう系主人公』になれていたかもしれません。
<マリー>
本作はもともと別作品を投稿したときに感想欄で、「次作は『俺を捨てて勇者についていった幼馴染が出戻ってきた』で書いてください」とネタフリされて出来上がった作品です。
ですがヒロインが寝取られるというのが書いてみてしっくりこなかったので、勇者について行ったアホの子として書かれています。最初の5話だけ見ると、本当にもうわがままなだけのアホの子です。
キャラクターのモチーフは「涼宮ハルヒの憂鬱」のハルヒです。才能があり、行動力があり、突拍子もないことを言い出す。ハルヒ自身が作中でも白眼視されているように、実際に近くにいるとウザい女の子です。本来はコメディ作品のつもりだっが、後半が出来たおかげでアホだけど本質を見る子……のような雰囲気が醸し出されています。でも実際はアホの子です。
<キヨハル>
マリーと別れる前の彼は一昔前の「優柔不断なハーレム系アニメの主人公」でした。ところがマリーと別れた後、悪い意味での「なろう系主人公」になってしまいます。これはマリーの所為と言うか、彼女と別れた時点ですでに女神様からの天意が目減りしてしまっていたからです。彼がこの世界がゲームのようだと言っていたように、奇しくもこの世界は侵食率が上がり過ぎるとバッドエンドになる仕様だったのでしょう。
余談ですが、当初キヨハルは一酸化炭素中毒で死ぬ予定でした。ですが、それだと眠るように死んでしまいます。結果として、酸素と空気塞栓で、脳を破壊され、多臓器不全のショック症状で苦しんで死んでもらうことになりました。後半が出来たせいで一番割を食ったのが彼だったりします。
<セッタ>
幼馴染を寝取られて闇堕ちした男の子です。
もともとは優しい男の子だったのですが、色々拗らせてDV男になってしまいました。かわいそうですが駄目な男です。ドメスティックバイオレンス・駄目・絶対!!
どうして彼がキヨハルを殺す手段を準備出来たのか?
どうして彼がキヨハルを殺せる立場にあったのか?
何気に主人公になれたかもしれない男です。
<ニーナ>
キヨハルのハーレム要員、その1。リンネと対になっており、男勝りなお姉さまです。
アクア編でちょっと寂し気な彼女の姿が登場しますが、国の要職につき、地位も、お金も手に入れている彼女はけっして不幸ではありません。ただ愛だけが手に入りませんでした。
彼女の理想のハッピーエンドはキヨハルを婿として迎え家を継ぐことだったのですが、たまたまそれが叶わなかっただけなのです。
<リンネ>
キヨハルのハーレム要員、その2。ニーナと対になっており、ロリ系お嬢様です。
エロいです。彼女のエピソードのせいで設定がR15に変更されています。
アクア編ではセッタともども壊れてしまっていますが、これはこれで幸せの形のひとつです。ニーナとは対照的に愛以外全て失った女として書かれています。
子どもが出来たら、セッタがちゃんと浄化されて本当にハッピーエンドが迎えられるかもしれません。もちろんその逆も考えられますが……
<アクア>
キヨハルのハーレム要員、その3。そして真ヒロインです。
恋人同然の幼馴染がいながらキヨハルとデキてしまう。作中で彼女自身も言っているように、割とガチめでクズな女の子です。
ただクズですが、たぶん作中で一番普通の人なのが彼女です。トールみたいにいなくなった女の子を追いかけもせず2年以上もうじうじしていたり、マリーみたいに考えなしのアホだったり、キヨハルみたいなナチュラルクズの方が、実際にはよっぽどヤバい人達です。
地元に恋人がいるのにチャラいサークルの男子に浮気した田舎の女子大生みたいなイメージです。筆者自身は浮気や不倫は否定派ですが、世の中ってそういうのが溢れているので、そういうのも仕方がないかな……とも思います。
失敗もするし、反省もするし、償いたいと思っている。すごく普通の女の子です。
<セイヤ>
フォーラ王国の勇者です。もともとは別で投稿した「みんな聞いてくれ、俺の名前は剣崎聖也~」という作品の主人公です。こっちは完全にコメディです。キヨハルの比較対象として登場します。
これは異世界転生の勇者が使い捨てられて謀殺される世界ではなく、ちゃんとプレイしたらハッピーエンドになれたよ。という示唆でもあります。
ちなみに彼とキヨハルの違いは、セイヤは鉄道や農業技術という誰にでも使える技術を開放して(特許料とか使用料はガッツリ取っていますが)いたのに対して、キヨハルは自分しか使えない勇者だけの力で技術と知識と利益を独占していた点です。この世界の女神様は献身とか自己犠牲が大好きなので、そういうのがアウトだったのです。
ただ後づけのコラボのため読み比べていると細部の設定が微妙に違うガバガバ設定だったりもします。
コメディを書くつもりが趣味全開のダークファンタジーになってしまった『俺を捨てて勇者についていった幼馴染が出戻ってきた』はいかがだったでしょうか?
ちょいちょい新作を投稿しておりますので、感想欄やポイント評価などで感想を教えていただけると嬉しいです。最後までお読みいただき重ねてありがとうございました。




