学校の七不思議 (後編)
音楽室で、ピアノの鍵盤が誰にも触れられずに完璧に曲を奏でているのを目撃したセゼールは、目を大きく見開いた。
セトレ(息を飲んで):「まさか!?本物か!? こ、これが……第三の怪異……『幽霊ピアノ』……本当にあるんだ!!」
慌てて彼は生徒会室へ向かって走り出した。恐怖で叫びながら走る彼の背後で、突然ピアノの音が止まった。
音楽室の暗がりから、小さな人影が現れた。
それはセルリアンの姫の魂が入ったミスティック・ドールだった。
セルリアン(ため息をついて):「はあ……透明化ポーションで学校に忍び込むのは良くないって言ったのに……空いているピアノを見つけた瞬間、我慢できなくなったのね?」
グラシア(透明状態で):「ごめん!こんな遅くに誰か残っているなんて思わなかったの! それに久しぶりに弾いたから……つい懐かしくなっちゃって……」
セルリアン(誇らしげに):「でも本当によく弾けてたわ、グラシア。あの曲の名前は何?」
グラシア:「本当!?何ヶ所か間違えたと思ったんだけど……その曲は『エリーゼのために』っていうの。ベートーヴェンの有名なクラシック曲よ!」
ミスティック・ドールはもう一本のポーションを差し出した。
セリュリアン:「これは可視化ポーション。HQに戻ったら飲んでね。」
グラシア(微笑んで):「わかった、ありがとう、相棒!でも……」
セルリアン(ため息をついて):「今度は何?」
グラシア:「やっぱり、誰かを怖がらせてしまったのが気になっちゃうの!ちゃんと説明したいと、謝らないと!」
セルリアン(信じられない様子で):「説明するって!?自分が透明だったって!?」
グラシア:「ダメ……?」
セルリアン(苛立って):「ちっ!あんたは本当に人良しすぎるわね、小娘!」
グラシア:「褒め言葉……だと思って受け取るわ……」
セルアン(叫んで):「褒めてないわよ!!」
−−
第四の怪異を調べるため、パールとユズは一緒に図書室へ向かった。
ユズ:「確かパールちゃんも図書委員だったわよね?」
パール(緊張しながら):「え、ええ……図書室は本をたくさん読んでも『本の虫』って馬鹿にされない唯一の場所だから……まさに楽園よ!」
ユズ:「ふーん……そして今、私たちはその楽園に向かっているのね……学校の怪異を調べるために。」
パール(怖される):「そ、そのことを思い出させないで!」
ユズ(楽しそうに):「うふふ……」
図書室に着くと、本はいつものように綺麗に整理されていた。
ユズ:「何もおかしいところはないみたい……」
突然、パールが叫んだ。
パール:「きゃああああああああっ!!」
ユズはすぐに彼女の元へ駆け寄った。
ユズ:「パールちゃん、大丈夫!?」
パール(激怒して):「誰よ!経済の本を数学の本の棚に入れたのは!?それにこれ!この本、逆さまに置いてあるじゃない!それからこれ!!高校の図書室に童話の本!?ここは幼稚園なの!?」
ユズ:「ちょっと待って、パールちゃん……」
パール:「え?あ!ごめんユズちゃん……ちょっと熱くなってしまったみたい……」
ユズ:「さっき言った言葉、もう一度言ってくれる?」
パール:「え?熱くなってしまったってこと?」
ユズ:「その前。」
パール:「うーん……童話の本は高校生には合わないってこと……?」
ユズ(微笑みながら):「そう、それ!そして?」
パール(困惑して):「幼稚園向け……?」
突然、ユズが素早く近づいてきた。
パール(びっくりして):「ひゃあっ!?ユ、ユズちゃん!?そんなに急に近づかないで!」
ユズ(不気味に微笑みながら):「聞いて、パール……あなたが子供向けだと言って侮辱した童話の本は、私の人生観を変えた大切な本なのよ。だから……」
パール(怯えて):「だ、だから……?」
深いため息の後、ユズはいつもの優しい表情に戻った。
ユズ(興奮して):「一緒に童話の本を読もうよ!きっとパールちゃんの世界も広がると思うわ!」
パール:「え、ええ…」
調査するはずが、結局二人は童話の本に夢中になってしまった。
こうして第四の怪異も「偽り」と判断された。
−−
第五の怪異を調べるウィルは、恐れも見せず体育館へ向かった。
ウィル(独り言):もし本当に幽霊がバスケットボールをしてるなら、一緒に勝負してみたいぜ!
体育館の扉を開けると、中は普通だった。何も異常は起きない。
ウィル:「やっぱり偽りだったか……」 *リストの五番目を消す
しかし、彼が体育館の床に散らばったバスケットボールに気づいた。
ウィル:「うーん……誰かがボールを片付け忘れたんだな。」
彼は散らばったボールをすべて集め、倉庫に戻した。ついでに体育館の床もモップで綺麗に掃除した。実に勤勉で規律正しい性格だった。
掃除が終わると、体育館はピカピカに輝いていた。床は彼の影を映すほどだった。
ウィル:「よし!もう完璧だ!さて、戻ろうか!」
彼は体育館から出て行ったが、実は誰かが彼が来たことに気づいて隠れていた。
オリンピックが近づいているため、ある少女はこっそりと夜遅くまでトレーニングを続けていた。
バスケ会な少女(感心して、囁き):「あれってウィル先輩、この学校のバスケーのエースですか?……なんて良い人だ!」
−−
廊下を歩きながら、僕はみんなの様子を見つつ、第六の怪異も調べていた。
アストン:「まずは図書室組から確認するか。」
僕はこっそり図書室を覗き込み、パールとユズが本に夢中になっているのを見て安心した。
アストン(安堵して):「彼女たちのことは心配いらなさそうだな……」
その後、他のメンバーの様子を見に行こうと歩いていると、暗い廊下から急な足音が聞こえてきた。
アストン(驚いて):「何だ!?まさかあの怪異が本物か!?」
僕は近くの壁の陰に隠れて真相を確認することにした。心臓の鼓動が速くなる中、足音が近づいてきた。
そして、一瞬でそれが見えた。
見慣れた背の高い女性が、驚くほど速い速度で廊下を歩いていた。普通の人間の走りより速い。
アストン:「え!?待て……あれは……師匠!?」
僕の小さな呟き声を聞きつけたモルアが足を止め、振り向いた。
モルア:「誰だ?」
僕はすぐに隠れ場所から出てきた。
アストン:「師匠!どうしてここに?」
モルア:「おお!私の弟子じゃないか!それはこっちのセリフだ!今は学校全体を巡回中だ。悪魔が襲ってきた時のためにね!」
アストン:「なるほど、僕は生徒会の仕事で……学校を調べているところです。でも師匠、どうしてそんな速く歩いてるんですか?」
——沈黙——
モルア(少し頰を赤らめて):「べ、別に速く歩いてなんかいないぞ。」
アストン:「でも見ましたよ、師匠。確かに速かったです。」
モルア(ため息をついて):「あんた、何も見逃さない目だな……さすが私の弟子!実は最近ちょっと太っちゃって……だから脂肪を落とすために速歩きしてるのよ……」
アストン:「なるほど……巡回しながら有酸素運動も兼ねてるんですね。さすが師匠、天才です!」 *メモを取る
モルア:「そ、そう?もちろんそうだぞ!」
僕はフラックとの試合で溺れかけた時に彼女が助けてくれたことを思い出した。
アストン:「師匠、あの時助けてくれてありがとう!」
モルア:「気にしないで。あのトゲトゲ頭の男を助けようとしてたんだろう?私は状況が悪化した時にみんなの安全を確保しただけだ。」
アストン(微笑んで):「はい……水の中を泳ぐ師匠は本当に美しかった。女神かと思ったよ。」
僕の素直な言葉を聞いたモルアは息を飲み、すぐに背を向けて顔を隠した。
モルア(にやり、少し真っ赤く):「へ、へえ~ このバカ弟子め、ついに私に口説く勇気が出たのか!?」
アストン(赤面して):「口説く!?あ、すみません師匠! そういうつもりじゃなくて! ただ……」
モルア(にやりと笑って):「いいんだよ、アストン……実はあんたの素直なところ、嫌いじゃないぞ!あんたは健康的な思春期の男の子だからな!」 *僕の肩を軽く叩く
アストン:「わ、わかりました……これからも頑張ります、師匠!」
モルア:「よろしい!さてと、私はリシに巡回の報告をしなくちゃ。訓練場で待ってるわよ、弟子よ!」
アストン:「はい、師匠!」
彼女は開いた窓から飛び出して姿を消した。
アストン:「相変わらずすごいですね、モルア師匠! よし、第六の怪異も……偽りだな。」 *リストの六番目を消す
自分の調査を終えた後、僕はみんなが再集合した生徒会室に戻った。
全員が調査結果を報告し合う中、アナスタシアはセトレの報告を見て息を飲んだ。
アナスタシア:「第三の怪異が……本物!?」
セトレ:「そうだ!この目で見たんだ!ピアノが勝手に、しかも完璧に演奏されていた!」
アナスタシア:「じゃあ音楽室を確認しましょう!」
パール(震えながら):「幽霊なんていない……幽霊なんていないわ!」
僕たちはみんなで音楽室に向かった。しかし中には何も異常はなかった。
セトレ(叫んで):「本当だって!信じてくれ!」
レオン:「グレグソン、こんな状況でふざけるな。」
セトレ:「ふざけるなんてねえよ!」
アナスタシア:「でも確かな証拠がないと、みんなには信じられないわ。演奏の録画とかある?」
セトレ:「くっ!慌ててて録画し忘れたんだ! でも本当なんだぞ!」
みんなが顔を見合わせて確認した。
マヤ:「セトレくん……落ち着いて?疲れて幻覚でも見たんじゃないの?」
セトレ:「でも俺は——」
彼はユズの方を向いたが、ユズは目を逸らしていた。
セトレ(劇的に跪いて):「まさか!俺のユズまで!?」
僕はピアノの鍵盤を調べ、埃の付き具合を確認した。
アストン(埃を摘んで):「セトレの言う通りだ。誰かがついさっきピアノを弾いていた。長い間使われていなかったから埃が溜まってる鍵盤が多いけど、ここ……よく使われる鍵盤だけ埃がなくて綺麗だ。」
僕の結論を聞いて、セトレの顔が明るくなった。でも相手が僕だとわかると、彼は咳払いをしてクールぶった。
セトレ:「その通りだ!埃が証拠だ!」
みんながピアノを確認して納得した。
ウィル:「でもこんな時間に誰がピアノを弾いていたんだ?」
すると、扉から一人の少女が姿を現した。
少女の声:「あの、すみません!私が弾いてました。」
グラシアが前に出てきた。ミスティック・ドールは扉の陰で慌てて隠れた。
セトレ:「レディ・グラシア!?」
グラシア:「ええ……みんなに迷惑をかけたくなかったから、ちゃんと説明した方がいいと思って。」
彼女は自分がピアノを弾いていたことを説明した。
アストン:「なるほど……グラシアは音楽が得意だからな。こんなグランドピアノを逃すわけがない。」
グラシア(頰を赤らめて):「そ、そんなに上手じゃないわよ、本当に。」
アナスタシア:「ええ~~?幽霊じゃなくて生きてる人だったのね。」
マヤ:「今度みんなの前で弾いてみてね、グラシアちゃん。」
グラシア:「は、はい!頑張るわ!」
セトレ:「待て待て待て!もし本当にグラシアだったなら、どうして暗闇の中であの美しさに気づかなかったんだ!?グレグソンとして、美しい女性を見逃すはずがないぞ!」
レオン:「それが自慢できる能力かよ。」
セトレ:「黙れ、コッパーフィールド!」
グラシア(慌てて): 「それは……」
グラシアは居心地悪そうにしていた。どう説明していいかわからず、僕の方をチラッと見て助けを求めた。
その視線に気づき、僕は誤解を解くことにした。
アストン:「それはきっと見間違いだよ。何かに集中しすぎると、周りのことが見えなくなったから。セトレが曲に夢中だったから、誰が弾いているかまでは気づかなかったんだろう。」
アナスタシア:「なるほど……それなら納得できるわね。」
ウィル:「スポーツの試合中とか、よくあるよね。」
セトレ:「なんだと!?でっち上げるするな、平民め!俺は確かに——」
突然、ユズが彼の手を握った。
ユズ:「大丈夫よ、セトレ様!たとえ誰も信じてくれなくても、私だけは信じてるから!」
セトレ:「ユズ……」 *劇的に泣きながら抱きつく
ユズ:「セトレ様……」 *抱き返す
すべてが解決した後、僕はグラシアに微笑んでウィンクした。
でも彼女は安心した様子ではなく、顔を真っ赤にしていた。どうしてだろう?
グラシアに別れを告げた後、僕たちは生徒会室に戻った。
残るはあと一つ、七つ目の怪異だけだった。
−−
学校の七不思議 (後編)完




