真の忍耐
水の中で意識が薄れていく中、僕は以前ブラックナイトと出会った馴染みの夢の世界で目覚めた。
アストン(心の中で、うめきながら):「ここは……うう……頭が痛い……」
後ろから、穏やかで優しい声が聞こえてきた。
黒騎士(優しく微笑んで):「ようこそ戻ってきた、若きアストンよ!」
アストン(驚きながら呟いて):「黒騎士さん!? 本当にあなたですか!? ついにまた会えました!! 今、聞きたいことが山ほどあるんです!! 前にいくつか答えてもらったけど……その答えがまた新しい疑問を生むんです! 黒騎士さん! 僕がどうすればいいか教えてください——」
黒騎士(優しく笑って):「ほらほら……まずは落ち着け。話す時間は十分にあるから心配するな! 君の質問にできる限り答えよう」
アストン:「は、はい……」
僕は深く息を吐いて落ち着き、最初の質問を切り出した。
アストン:「黒騎士さん……デス・キングについて知っていることをすべて教えてください!」
黒騎士:「ああ……いきなり一番重い質問だな? 俺が尋問されてるのか?」
アストン(慌てて):「い、いいえ!違います! 無神経で申し訳ありません! 僕は——」
黒騎士(くすくす笑って):「冗談だよ、少年。君は自分に対して真面目すぎるようだな……」
アストン(気まずく):「あ……はは……」
頭の中で僕は思った。
アストン(心の中で):彼のユーモアのセンスは最悪だ! これが『古代ジョーク』というやつか?
黒騎士はデスキングについて知っていることをすべて説明し始めた。
黒騎士:「魔女と冒険していた時に学んだ古代神話によると、デス・キングは最高レベルの魔術や学問でも完全に理解できない存在だと言われている。彼の姿は、彼を一目見た者にとって最も恐ろしいものに変わるらしい」
僕は慎重に頷き、一言一句を胸に刻んだ。
黒騎士:「ただし俺が実際に彼と対峙した時は、人間のような姿をしていた——邪悪な大剣を構え、神秘的な黒曜石の鎧をまとい、長く白い髪と青白い肌をしていた。しかし最も謎めいているのは……彼の中に魂を感じなかったことだ。まるでアンデッドのようだった」
アストン(目を見開いて):「アンデッド!? それはSF映画に出てくるゾンビ見たいってこと!?」
黒騎士(困惑して):「SF?」
アストン:「あっ! すみません! 続けてください!」
黒騎士:「ふむ……君の反応から、すでにアンデッドについては知っているようだな。ならその部分は省略しよう」
アストン(頷いて):「はい、お願いします……」
黒騎士:「俺が彼と剣を交えた経験から言うと、彼の戦闘力自体は俺が期待したほど突出したものではなかった。彼を本当に恐ろしくしていたのは、純粋な力ではないからな……」
アストン:「でもそれだと合わない……彼がそれほど強くなかったなら、どうしてあなたは彼との決闘で負けたんですか?」
黒騎士:「まあ、主に三つの要因があった。
*一つ:俺はデス・キングについてほとんど知識がなく、戦いながら学ぶしかなかった。
*二つ:君も知っている通り、デス・キングは周囲のすべてを無効化する圧倒的なオーラを持っている。体力、マナ、戦意さえも。その有効範囲も極めて広い……俺たちが彼の姿を見る前にすでに届いていた。
*そして三つ:デス・キングには魂がないから、『命』を絶っても彼を止めることはできない。実際、俺はデスレイヤーで彼を何度も切り刻んだ——百回以上、日が暮れるまで、そしてまた朝が来るまで……だが彼は何をしても蘇ってきた。つまり、伝説の剣デスレイヤーですら彼を本当に終わらせることはできなかった……」
僕は無言で息を飲み、その果てしない戦いの凄惨さを想像した。
アストン(目が潤んで):「24時間以上戦ったんですか!? それじゃ……あなたが負けた理由は……」
黒騎士(低い声で):「そうだ……俺の人間の肉体がついに限界を迎えてきた。空腹、眠気、脱水症状、そして精神的な疲労が同時に襲ってきた時……集中力を保てなくなった。そしてその瞬間、デス・キングがついに俺に刃を届かせた……その結果、彼は俺を討ち取った……」
沈黙の中で、僕は歯を食いしばり、拳を握りしめた。気づかないうちに涙が溢れていた。
黒騎士は僕の思いやりを感じ、温かく微笑んだ。
黒騎士:「なに〜? それはただの過去の話だ! そして今、君がここにいるということは、俺たちでデス・キングを倒す方法を見つけられるということだ!」
全てを耐え抜いたにもかかわらず前向きなブラックナイトの言葉に、僕は涙を拭いて微笑み返した。
アストン:「その通りです、黒騎士さん! 一緒に頑張りましょう!」
黒騎士:「最初の質問だけが長かったな……あと一つ、簡単な質問しか答えられないかもしれない……」
アストン(慌てて):「ええと…… 次は何だっけ!? あ、そうだ! あなたは魔女と一緒に冒険していたと言いましたよね……彼女はデス・キングの忠実な僕、最強四人の一人じゃなかったんですか?」
黒騎士:「魔女か? ああ、あれはデス・キングの僕を倒すための潜入任務の時だ。俺はデス・キングから派遣されたダークナイトとして彼女に仕えるふりをした」
アストン:「なるほど……だから彼女はあなたに敵意を抱かなかったんですね」
黒騎士(くすくす笑って):「ああ……彼女は俺にかなり夢中になったよ……俺が実は彼女の最大の敵だったのに。あれは実に興味深い経験だった!」
アストン:「まあ……グラシア——いや、セルレアンの姫自身が、あなたは相当な女たらしだって言ってましたよ!」
黒騎士:「あの女! 俺の心はスカーレトの姫だけにしかないとは知っているくせに……」
彼の威厳ある存在が薄れ始め、時間がほとんどないことを知らせた。
アストン:「黒騎士さん、答えをありがとうございました! 大いに勇気づけられました——もっと強くなり、賢くなるためにも!」
黒騎士:「それは俺の台詞だ、若きアストンよ! さて、もう時間だ……さらばだ、友よ!」
伝説の誇り高き黒騎士に「友」と呼ばれ、僕は心から嬉しくなった。
アストン(叫んで):「また会いましょう、黒騎士さん!!」
視界が白くなり、意識が現実世界に戻った。
僕は目を見開き、保健室のベッドの上に横たわっていた。
フリックを助けようとして溺れた瞬間から、数時間が経過していた。
ベッドの横で、エリセナがずっと僕の手を優しく握ったまま眠っていた。
アストン:「エリ……」
ドアから、グラシアが複数のポーションの瓶を持って入ってきた。
グラシア(必死に呟いて):「この数のポーションなら、あのバカを絶対に起こせるはず!」
彼女の狂った呟きを聞いて、僕は即座に反応した。
アストン:「そんなにたくさん飲ませたら過剰摂取で幾ら僕だって死ぬぞ!」
驚いたグラシアはすべてのポーションを床に落とした。
グラシア(目を見開いて):「アストン……もう目が覚めたの!?」
アストン(心の中で):ああ……あの貴重なポーション……もったいない……
周りの声で目を覚ましたエリセナは突然泣きながら僕に強く抱きついた。
エリセナ:「アストォォン!! よかった!! 死んじゃうかと思ったよ!!」 *すすり泣き
僕は彼女を抱き返し、優しく頭を撫でた。
アストン:「もちろん死なないよ! 実際、フリックを溺れさせないためにああしたんだ……そういえば、フリックの容態はどうだ?」
グラシア(ため息):「目が覚めたばかりでそれを言う? 彼なら疲労でまだ意識不明よ……あんた、手加減しなかったわね?」
アストン(気まずく):「まあ……僕も熱くすぎなって……つい。」
エリセナ(涙を拭いて):「でも本当に良かった!あなたとフリックが溺れていた時には、モルアさんが素早く行動してくれたおかげよ!」
アストン:「師匠が? どういうこと?」
グラシア:「覚えてないの? あなたたち二人を溺れから救ったのはモルアよ」
アストン:「え?」
水の中で見た「美しい女神」が実は自分の師匠モルアだったことに気づき、僕は顔を真っ赤にした。
一方、温泉でくつろいでいたモルアは突然くしゃみをした。
モルア:「はあ……誰かが私のことを話してるのか? ま、美人として平穏に生きるのは難しいものだな……」
蒸気の上がる温泉の上に、澄んだ青い空が広がり、皆にとって平和な日々が続いていた。
心に新たな決意を胸に、そして周りの皆からの温かい支えを得て。僕は、輝かしい未来への道が必ず開けると信じている。
第86章 真の忍耐 終
第4巻 完




