死の告白
リシテアが僕、エリセナ、グラシアをスレイヤーHQに呼び戻した。
洗練された指揮卓を囲み、卓の縁に光るルーンが浮かんでいる。
リシテア(真剣に):「昨夜、魔力の痕跡を検知したわ。みんなに調査を頼みたいの。」
エリセナ(考え込む):「もしかしてセト? 決闘の時に魔法使ってたし。」
リシテア(首を振る):「違うわ。この魔力パルスは別物……悪魔由来よ。」
全員が身を固くする。
リシテア:「一瞬だけ、かすかな閃光。でも保健室から発信されていたわ。」
アストン(思い出す):「昨夜……セトレと執事たちがそこにいた。」
エリセナ(驚愕):「じゃあ悪魔絡みってこと!? セトが接触した可能性が……!」
モルア(眉をひそめる):「街を回ったけど悪魔の気配はなかった。つまり……すでに学校に潜入してる。」
グラシア(頷く):「人間に化けてるわね。おそらく生徒として。」
リシテア(微笑む):「だから彼女たちに手伝ってもらうことにしたの。」
全員(同時に):「彼女たち?」
空中に紫の光が渦を巻き、ポータルが開く。
そこからヴァルヨネッセと仲間たち——アイビー、レミア、ゴロン——が人間の姿に変装して現れる。
リシテア(ニヤリ):「おかえりなさい、ヴァイオレットの姫様。そして他のみんなさん、ようこそ、人間界へ。」
ヴァルヨネッセ(優雅に):「ありがとう、リシテアさん。招待してくれて。」
レミア:「これが……人間界?」
アイビー:「空気が軽いわね。」 *深呼吸
ゴロン:「人間界……すごい……」
僕に気づいたヴァルヨネッセの目が輝く。
ヴァルヨネッセ(満面の笑み):「アストン!」
彼女は駆け寄ってし僕を強く抱きつく。
アストン(動揺):「ヴァ、ヴァルヨネッセ!?」
ヴァルヨネッセ(笑顔):「すごく会いたかったわ! すっごく~すっごく~! あなたが去ってからダーク・リールムではもう一ヶ月経ってるのよ。」
アストン(優しく):「そうか……」 *髪を撫でる
改めて気づく。こっちの世界で短い時間でも、ダーク・リールムでは6倍の時間が流れるということ。
つまり僕たちがダーク・リールムを離れて5日でも、あっちでは一ヶ月が過ぎていた。
アストン(穏やかに):「おかえり、ヴァル。」
エリセナ(頰を膨らませ):「も〜ヴァルたら……会うたびに彼を抱きつかないでよ。」
ヴァルヨネッセ(ニヤリ):「エリ~まだ付き合ってないの? 意外ね~。じゃあまだチャンスあるわ!」
アストン(困惑):「付き合う? エリ、誰かと付き合ってるの?」
エリセナ(赤面):「ち、違うよ! ヴァルの言うこと真に受けないで、アストン!」
アイビー(からかう):「ふふ……子供っぽいわね。このままじゃ誰かに取られちゃうわよ、エリちゃん。」
エリセナ(慌てて):「うっ……アイビー、うるさい!」
レミア(優しく):「グラシア、紅茶の約束覚えてるよね?」
グラシア(微笑む):「レミア、もちろん。楽しみにしてるわ。」
モルア(ゴロンを撫でる):「その小さい姿、似合ってるじゃない。」
ゴロン(恥ずかしそう):「あ、ありがとう……モルアさん……」
短い再会の温かさの後。
アストン(リシテアに):「で、なんで彼女たちを呼んだの?」
リシテア(光る眼鏡を直す):「もちろん『悪魔を捕まえるなら悪魔を使え』ですわよ。」
グラシア(興味津々):「なるほど。でもどうやって連絡したの?」
リシテア:「それわね、ダーク・リールムに展開したマッピングドローンよ。長距離通信も兼ねてるの。」
アストン:「さすがだな、リシ先生。なんでもありだ。」
リシテア(誇らしげにニヤリ):「え〜、だって『科学+魔法=奇跡』だもの。」
リシテアが指揮卓の前に立つ。
リシテア:「スレイヤーズ。新任務よ。潜伏する悪魔の位置を特定しなさい。コードネーム——オペレーション・デルタ。」
スレイヤーズ全員が敬礼。ヴァルヨネッセたちも真似する。
ヴァルヨネッセ(目を輝かせ):「私たちも正式スレイヤーズなのね!」
アイビー(微笑む):「リシテアさん、姫様は一番のファンなのよ、スレイヤーズに。」
レミア:「そう、そして私は二番目。」
ゴロン:「ゴロンは……三番目……です。」
アイビー(しょんぼり):「じゃあ私は四番目かも……」
みんなが笑う。
グラシア(理解):「なるほど、時間帯を広くとることで、悪魔が動き出した瞬間に検知できるってことね。」
リシテア(くすくす):「その通りよ~。検知したら、こっそり尾行して隠れ家を突き止めるわ。」
エリセナ(決意):「よし!私たちならできる!」
アストン(疑問):「でも、どうやってこの学校がアイビーたちに急に生徒として入学させたの? 一日でそんなに新顔が増えるのはさすがに……」
リシテア:「簡単よ。彼女たちを留学生プログラムに登録しただけだわ。」
モルア(ニヤリ):「言ったでしょ、弟子よ。リシには不可能なんてないって!」
アストン:「『科学+魔法=奇跡』 っか? 分かりました、師匠!」
リシテアが手を叩く。
リシテア:「オペレーション・デルタ、開始!」
解散後、朝のチャイム前に教室に戻る。
ヴァルヨネッセが入室すると、親友クリスタル・ラベンダーが飛びついて抱きつく。
クリスタル(涙目):「ヴァル! 帰ってきた! もう転校したのかと思ったよ!」
ヴァルヨネッセ(抱き返す):「私も会いたかったよ、クリス! すっごく!」
クリスタル:「それで、どうしたの? どこ行ってたの?」
ヴァルヨネッセ:「家族の用事で母国に帰ってたの。」
クリスタル(頷く):「そっか、留学生だもんね。もう消えないでよ! 番号教えて!」
ヴァルヨネッセ(笑う):「もちろん! はい。」
彼女はリシテアから新しく発行したスマホを渡す。
僕は遠くからその温かな再会を見て微笑む。
クリスタルが僕の方を見て、目が合うと真っ赤になってそっぽを向く。
アストン(困惑):「え……?」
グラシア(肩を突く):「あの子が……ラブレターの送り主かもね。」
アストン(驚き):「あっ!完全に忘れてた! 放課後会うって言ってた!」
エリセナは僕とグラシアが囁き合うのを見て立ち上がるが、チャイムが鳴る。ため息をついて座り直す。
昼休み。食堂へ向かう。エリセナが近づこうとした瞬間——
ヴァルヨネッセが腕を絡めてくる。
ヴァルヨネッセ:「アストン~今日は一緒にご飯食べよ?」
クリスタル:「私も混ぜて~!」
エリセナ(心の中で):「認めたくないけど……アイビーの言う通りだわ。このままじゃ私はどんどん後れを取っちゃう……」
エリセナ(グラシアに):「一緒に食べよ?」
グラシア(優しく微笑む):「ええ。尾行しましょう。」
二人はトレイを持って遠くからついてくる。
僕は二人な気女子三人と並んで座る。視線が刺さる。羨望の目が数十。
アストン(気まずく):「ヴァル……腕離してくれない? みんな見てるよ……」
ヴァルヨネッセ(得意げ):「やだよ~!」 *頰を肩に寄せる
クリスタル(好奇心):「あの……二人って……付き合ってるの?」
僕とヴァルヨネッセが同時に答える。
ヴァルヨネッセ(ニヤリ):「うん!」
アストン(慌てて):「い、いいえ! 付き合ってないよ!」
ヴァルヨネッセの笑顔が一瞬で曇る。
ヴァルヨネッセ(頰を膨らませ):「ひどい~!」
彼女が渋々腕を離す。明らかに落ち込んだ様子。
クリスタル(ほっと):「えぇ~……そうですか……」
別のテーブルでエリセナとグラシアが見ている。
グラシア:「一緒に混ざりましょう。」
エリセナ(固まる):「でも……邪魔みたいになっちゃう……」
グラシア(心配):「本当にこれでいいの?」
エリセナ(赤面):「わ……わかんない……」
グラシア(優しく抱きしめる):「なら急がなくてもいいよ、エリ。自分のペースでいいわ。いつかきっと、あなたの気持ちは彼の心を届くから。」
エリセナ(涙目):「グラシア……ありがとう……」
放課後。僕は席から立ち上がり、伸びをする。視線を教室に巡らせると、クリスタルと目が合う。心臓が跳ねる。
彼女の頭上に死の時計が浮かんでいる。
本能が危険を叫ぶ。
クリスタルは別の出口から出て行く。校門ではなく、校舎裏の路地へ。
アストン(心の中で):「待て……ラブレターの待ち合わせ場所だ!」
僕は距離を取って彼女の後をつける。彼女の頭上の時計が不気味に進む。10分……8分……6分……
彼女は木の下で立ち止まり、待つ。死の時計がさらに加速。
アストン(心の中で):「近づくほど時計が速くなる……? つまり……俺が引き金?!」
僕は慌てて足を止める。だが——
クリスタル(手を振る):「あ、来た! アストン! こっち!」
時計が加速:00:40:70……00:38:21……00:36:85……
考える暇はない。平静を装って近づく。
クリスタル(笑顔):「やっと来てくれたね……嬉しい! ラブレター、実は私が出したの。ずっとアストンのこと、憧れてた。ヴァルを探す時に一緒にいた時から……」
アストン(汗):「そ、そう……」
クリスタル(赤面):「特にあの王子との決闘見てから……すごく……かっこよくて、イケメンで……」
アストン(パニック):「う、うん……」
言葉が頭に入らない。僕の視線は彼女の頭上の時計に釘付け。
クリスタル(期待):「アストン……付き合ってくれる? 私と。」
アストン(恐怖):「う、うーん……」
00:05:94……00:04:31……
クリスタル(輝く):「本当?!」
彼女が飛びついて強く抱きつく。僕を後ろに押しやる。
00:02:81……00:01:40……00:00:66——
ゼロになる寸前、死の時計が止まる。
黒と金の魔力の斬撃波が僕のいた場所をわずかに外して背後に飛ぶ。
*ドゴォォン!!
校舎裏の壁が砕け散る。
クリスタル(驚愕):「な、何!?」
影から現れたのは——暗闇に包まれ、金色の輝きを纏ったセトレ・グレッグソン。呪いのエネルギーを帯びた魔刀を握っている。
アストン(衝撃):「セトレ?!」
セトレ(暗く):「この卑しい平民め……今度こそ、お前を完全に潰す!」
――
第45章 死の告白 終




