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22.愛が一番のバフ
少し短めです。
私は巨大猪の牙に肩を貫かれている。
槍に魔力を込め、叫ぶ。
「地獄の業火、爆発!」
怒りと共に放った魔法は、内臓まで焼き切りそうだ。体が熱くなり、思わず咽せると夥しい血を吐いた。
槍から放たれた魔法は、巨大猪を内側から爆発させた。
素材はほぼ取れないだろう。
煙が落ち着くと、そこにはボロボロの折れ牙巨大猪が横たわっていた。
「サラ! なんで!」
「貴方には、傷ひとつ付けさせないわよ」
また、ひとつ咽せると血がこぼれ落ちた。
肩に刺さったままの牙は折れていた。
無理やり引き抜いて、投擲する。
「ーーッ!」
アルフレッドの頬を掠め、牙が地面にめり込む。
アルフレッドの側にはいつの間にかヴォルドがおり、顔を引き攣らせている。
「サラ、気持ちはわかるが」
「えぇ、当ててません。本当なら殺してやりたいですよ」
任務がなければ躊躇わず殺していたに違いない。
済んでのところで理性が働いた。危ない。