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鏡に写したい姿は偽装  作者: 橘菊架
サラとレオンハルト
21/33

21.愛より重いものはない


ミレンナは怪我をしていた。

服の一部が破れ、血で濡れていた。動けていたのでポーションで大丈夫だとは思うが。


さっさとミレンナの婚約者を助けて戻りたい。

レオンハルトと二人で二つ名持ちの魔獣を倒すのはまだ力不足だ。


「レオン!」


レオンハルトの近くで、呆然と立ち尽くしている様子のアルフレッドの姿が見える。

巨大猪(ワイルドボア)は一度距離を取って、助走をつけようとしている。突進されたら、ひとたまりもない。

魔法学教師の魔力を覚えているので、そこに転移しようと、二人に手を伸ばす。


「なぁ、どんな姿でも、愛せるんだよな」


アルフレッドは、私を見据えて、そう言うと、レオンハルトの手首を掴んで、笑った。


「何してるの! 巨大猪(ワイルドボア)が攻撃を仕掛けようとしてるのよ! 死ぬわよ!」


レオンハルト達まで、少し距離が足りない。

巨大猪(ワイルドボア)は猛スピードでレオンハルト達に迫っている。


手首を掴まれているレオンハルトは、振り解こうとしているが、巨大猪(ワイルドボア)の攻撃は素早く。


「どんな姿でも、愛せよ」


そしり笑う、その顔が、ひどく醜く見えた。


世界の時間が急に遅くなった様に感じる。

どうにかアルフレッドを振り払えたが、レオンハルトはバランスを崩し、アルフレッドが追い討ちを掛ける。

レオンハルトを巨大猪(ワイルドボア)の方へと突き飛ばす。


目を見開いたレオンハルトが、私を見ている。

気味悪くニヤけたままの、アルフレッドも、私を、見て、いた。


筈だった。


だが、私が居たはずの場所には、バランスを崩して尻餅をついたレオンハルトが。


そして、私は、咄嗟に弓から槍に持ち替え、それを突き出した状態で、レオンハルトと位置を変えた。


交換転移を成功させたのは、初めてだ。


「サラ!!」


レオンハルトの絶叫が響き、世界の速度は元に戻る。


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